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2024/05/14

36協定に書く文言

以前書いた記事「36協定に書く数字」の続編です。今回は協定届に書く文言についてです。

「特別条項」に対して「一般条項」という呼称が用いられているのを、働き方改革法施行時の特別条項つき36協定届(様式第9号の2)様式がでていたのを見て知りました。それまでは特別条項を旧法様式(現様式第9号の4に類似)欄外に、内容を付記補充する形でした。

業務内容を細分化して残業させる事由、人数、協定時数等を記載するのですが、一般条項に書く「時間外(休日)労働させる必要のある具体的事由」と、特別条項にある「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の欄に書く事由は同じものを書けません。あくまで臨時的な内容に限るということで、同じ内容書いたら指導ものになります。

ここでは、厚労省検討会での資料に実際の36協定届集計結果がでていましたので、特別条項に記載された特別な事情の集計結果から抜粋してみました。

事由
顧客都合による仕様変更対応、納期逼迫45.5
季節要因等による受注・顧客集中による業務繁忙19.8
機械故障トラブル対応11.0
予算決算・経理業務8.0
急な離職等による人員不足3.9
クレーム対応3.7
事業所の移転新設2.3
人事業務(採用・異動)2%
未満
事業・経営計画策定見直し
株主総会対応
大規模システム導入更新
新規プロジェクト立ち上げ
取引先・官公庁対応
天候不順等自然要因による業務増加
災害事故からの復旧作業
事務所新設移転

つづいて、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」です。前掲の集計はおおまかな集計手法になっており、細部不問で「通告」83.9%、「協議」15.4%でした。だれへの協議、通告かは不明です。通告協議相手は労働者自身、中には労働者代表(組合)ということもあるでしょう。

さいごに健康福祉確保措置については、届け出様式裏面にある記載要領からの番号選択しての具体的内容の記述になります。

参考資料

労働基準関係法制研究会

時間外休日労働協定届集計結果

関連記事

36協定のチェックボックス 

猶予事業の36協定 

36協定における休日の限度時間 

36協定に書く数字 

労働者過半数代表 

2024/03/15

交付書面の交付タイミング

前回投稿「無期転換は5年以上、5年超?」の続きです。

有期雇用の雇い入れ時の交付書面(労基法15条、法令事項が網羅されていればタイトルは「雇用契約書」でも「雇い入れ通知書」でもなんでも可ですが、ここでは「交付書面」で通します)、本年4月から増える記載事項がいろいろありますが、そのうち有期特有のには、次のものがあります。

・更新上限の記載

・無期転換に関する事項

有期雇用にあって、交付書面の交付のタイミングが問題になります。雇い入れ時は入社しても渡せてないのは論外ですが、入社当日も実は遅いのです。あなたを雇います、来週から来てくださいと言い終わらないうちに、求職者の手になければなりません。そして、有期の場合は更新くりかえすごとに交付です。更新決定した段階で交付しなければなりません。

さて後者の無期転換関連ですが、転換権発生する契約期間に向けての交付書面には、「転換権が発生し申し込み可能」と明示せねばなりません(労働条件通知書(有期雇用向け)「その他の有期雇用向け」参照)。そしてもう一つ、行使した場合の無期転換後の労働条件も記載せねばなりません。雇用期間以外に労働条件変更が伴わない、有期時分と同様なれば、「なし」とだけ記載すればいいことになります。変更点あるなら、列記もしくは別紙にて交付せねばなりません(労働条件通知書(有期・別紙)参照)。それではこれら記載したものをいつ交付せねばならないかみてみましょう。

1年契約を6回くりかえせば、6回目の契約部分で、5年を超える時点をふくみますので、無期転換権が発生し、その期間が申込受付期間であることを前回説明しました。

では、その記載書面をいつ交付することになるでしょうか。受付期間の6回目を控えた、5回目の終わりごろ、6回目契約を更新すると決定した時点にて交付することになります(本図1回目▲参照)。5年超える部分がなくてもです。以後、申し出なければ同様に記載して交付することになります(本図2回目▲参照)。

最後に、無期転換権行使された場合、無期雇用の交付書面は、無期直前で交付すればいいのでしょうか。これについてふれた記述を見ていませんが、労働者の申し出が使用者の承諾を兼ねているので、申し出時点で交付となりましょう。

(2024年3月15日投稿)

関連資料
厚労省パンフ
関連項目

労働条件通知書(有期雇用向け)

労働条件通知書(有期・別紙)

無期転換は5年以上、5年超?

2024/03/01

無期転換は5年以上、5年超?

5年の有期雇用でよくみかける無期転換の質問からです。無期転換は労働契約法第18条に根拠があり、要件満たした労働者が雇用主に宣告したら、労働者の宣告そのものが雇用主の承諾を兼ねる、という法律構成となっています。ようするに宣告受けた雇用主は拒絶できないということになります。

さてその5年ですが、5年「以上」でなく、5年を「超える」と条文にあります。すなわち、1年契約を5回くりかえし(更新はあいまの4回)ても正味5年ですが、契約5回のどこを見ても、5年を超える部分がありません。更新5回目、1年契約6回目にして5年を超える部分を有しますので、無期転換権を得、宣言すればその契約の終わった翌日(6年と1日目)から無期雇用となります。

では、1年契約できた労働者、実は試用期間的に3か月の有期雇用を初回にしていればどうでしょうか。1年契約の5回目にして、5年を超える部分を持ちますので、通算にして4年3カ月以降の時点で無期転換権を得、宣言すれば、その契約のおわった翌日の5年3カ月にて無期雇用となります。本図では、6回目の1年契約の部分が無期雇用となります。

この違いの1番わかりいいのは、3年契約を繰り返した場合です。1度更新した2度目の3年契約、5年経過をまたずに通算3年1か月で無期転換権を得、権利行使すれば、2度目の3年契約終わった6年と1日目から無期雇用となります。これが5年契約だとすると、1度の更新した2度目の5年契約期間中に無期転換権を得、同行使により2度目の5年契約終わった10年と1日目に無期雇用となります。

関連記事

労基法の有期雇用契約 

2023/02/01

古いままの就業規則

一度作った就業規則を10年20年手つかずに放置しているのはよくあるようで、ところどころ部分改正するのでしたら、いっきに全面刷新してしまうのが一番でしょう。そうでなくどこから改正に手をつけたらいいか、就業規則の最終改正時期を目安に、逆年表というか足掛かりを作ってみました。就業規則の箇所だけでなく会社が取り組む計画策定、社内規定等の範囲もふれてあります。重複する項目は、最新のみ掲載している場合があります。詳細は労基署ほか関係各庁ホームページを参照ください。改正時期等の正確性や網羅性は保証してません。あしからず。

凡例:灰色文字は採用任意ながら、適用している場合は要見直しの場合あり
(◇)は、当ブログ内の参考記事へのリンクです。
毎年10月ころ最低賃金引き上げ
2025(R7)年4月希望者全員65歳までの雇用の場提供義務完全実施(◇)
2024(R6)年4月
  • 建設事業等の時間外休日規制適用(◇)
  • 雇入れ通知書(記載事項増)(◇)
  • 裁量労働制拡充(要締結協定見直し)(◇)
  • 障害者雇用率引き上げ(◇)
2023(R5)年4月時間外割増賃金(中小企業月間60時間超5割増し)(◇)
2022(R4)年7月男女(正規、非正規)別賃金比率公表(301人雇用以上企業)
6月内部通報者保護対応改正
4月、10月育児介護休業法(有期雇用者の制限緩和、出生時育児休業他(ほぼ全面見直し))(◇)
4月
2021(R3)年4月希望者全員70歳までの就業の場提供努力義務
1月育児介護休暇の時間取得可(Q&A)
2020(R2)年6月ハラスメント対応改正(中小は2022年4月)
4月賃金消滅時効5年(当面3年)関係帳簿の保存期間5年へ延長(当面3年) (◇)
2019(H31)年4月働き方改革法施行
  • 年次有給休暇の年5日指定義務(◇)
  • フレックスタイム制の拡張(◇)
  • 時間外休日労働の上限規制等(◇)
2018(H30)年1月虚偽求人とみなされない対応(職業安定法改正)(◇)
2016(H28)年4月障害者雇用差別の禁止、合理的配慮提供義務
3月青少年雇用情報シート開始(職場環境開示義務)(◇)
1月マイナンバー対応制定
2013(H25)年4月
2011(H23)年4月仕事子育て両立支援行動計画策定公表義務(301人雇用企業から101人雇用企業に拡大)
2010(H22)年4月H22労基法改正
  • 時間外割増 月間60時間超5割増し(中小は2023年4月)
  • 特別条項適用時の割増賃金率
  • 時間単位年休、代替休暇

(2023年2月1日投稿、2024年1月4日編集)

関連項目

労働者過半数代表 

就業規則制定(変更)届 

新設の社内規定は、就業規則の一部なのか 

労働局の就業規則案内 

就業規則案内見本 

労働法関連の改正時期一覧 


表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/10/16

就業規則案内見本

各労働局の就業規則手続き案内を探索してみましたら、貧弱なページが大半(なかには作りかけなのか「就業規則」というタイトルだけも)でした。そこで秀逸な北海道労働局さんのページをベースに、せめてこれくらいのページは作成をしてもらおうと、ここに応援ページをつくりました。

就業規則を作成したら届出、周知しましょう

 就業規則とは、労働者の賃金や労働時間などの労働条件に関すること、職場内の規律などについて定めた職場における規則集です。職場でのルールを定め、労使双方がそれを守ることで労働者が安心して働くことができます。あわせて労使間の無用のトラブルを未然に防ぐことができるので、就業規則の役割は重要です。

1 就業規則を作成しましょう

 常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成する義務があります。複数事業場をもつ事業者は、企業共通の就業規則であっても常時10人以上の労働者を使用している事業場ごとに作成する義務があります。(労働基準法第89条)。

※「10人以上の労働者」には、正社員だけでなく短時間労働者、有期契約労働者なども含まれます。送り出しする派遣労働者を含み、受け入れている派遣労働者を含みません。在籍出向者は受け入れ送り出し双方の事業者に含みます

2 就業規則の記載に関する事項

 就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります(労働基準法第89条)。

◎必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(臨時の賃金等を除く。)
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

◎定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)

  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金(賞与等)、最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品など労働者に負担させる場合、それに関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. その他全労働者に適用される事項

退職金や育児介護休業の定めを就業規則とは別規定にできますが、就業規則の一部ですので、制定したり変更した都度、届け出周知の手続きが必要です。

 モデル就業規則はこちら(厚生労働省サイトへ)

 就業規則作成支援ツールはこちら(スタートアップ労働条件)

3 労働者代表の意見を聞きましょう

 常時10人以上の労働者を使用している事業場をもつ事業者が就業規則を作成、変更したときは労働者に提示して、事業場の過半数組織労働組合がなければ事業場の労働者の過半数代表を選出してもらいましょう。事業場過半数組織労働組合または過半数労働者代表からの意見を聞き、意見書に記入してもらいましょう(労働基準法第90条)。意見は本社だけでなく、労働者10名以上使用する事業所ごとに労働者代表を選出、意見を聞かなければなりません。

4 就業規則を届け出ましょう

 常時10人以上の労働者を使用している事業場が就業規則を作成したときは、過半数組織労働組合または労働者の過半数代表者からの意見書を添付し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。就業規則を変更したときも同様です。(労働基準法第89条、90条)。本社だけでなく、労働者10名以上使用する事業所ごとに作成届け出をお願いします。

 管轄監督署はこちら(〇〇労働局管内労働基準監督署一覧のページへ)

 就業規則(変更)届・意見書の用紙はこちら(厚生労働省サイトへ・任意様式)

注:就業規則本体に変更はなく、別冊の育児休業規定の変更を例にしました。制定だけの場合は、届出書、意見書、制定規定の組み合わせになります。
        
  育児休業規定(本文) 
  新旧対照表(変更時) 
  意見書 
 

就業規則(変更)届    

  
 
  
 
  
   
   

 就業規則届は2部(うち1部は写しでかまいません。)提出していただいています。受付印を押し、1部を控えとしてお返ししています。管轄の労働基準監督署への郵送での届け出も受付します。2部送付する場合は、控え返戻用の返信封筒(切手貼付、返信先明記)を同封ください。

 電子申請もできます。申請方法はこちら

 本社から全事業所一括申請もできます。申請方法はこちら

5 就業規則を労働者に周知しましょう

 制定、変更した就業規則は、労働者に周知しなければなりません。周知していない就業規則は、有効になることはありません。締結した労使協定もあわせて周知しましょう(労働基準法第106条)。

◎周知方法

(1)常時各作業場の見やすい場所に掲示する、または備え付ける。

(2)書面で全労働者に交付する。

(3)電子的データとして記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できるパソコンなどの機器を設置する。


※ご不明な点は、〇〇労働局労働基準部監督課または最寄りの労働基準監督署にお尋ねください。


以上、未製の各労働局様のための応援ページでした。

(2022年10月16日投稿)

関連項目

労働者過半数代表 

就業規則制定(変更)届 

新設の社内規定は、就業規則の一部なのか 

労働局の就業規則案内 

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/09/25

労働局の就業規則案内

就業規則を作成したら、意見書をつけて管轄の労働基準監督署に届け出る義務があります(労働者10人以上の事業所ごと)。就業規則の変更も届け出となりますが、変更が「ほんの一部」にとどまった場合の手続き案内がどうなっているか、各労働局ホームページを探査することにしました。そのリストです。地元労働局へは管轄労基署の所在を調べ、届け出手順については、他の労働局も参考にしてください。

労働局名特記事項
北海道労働局就業規則のページ優良な手続き案内あり
青森労働局就業規則のページ労務管理の留意点
岩手労働局就業規則のページQ&A
宮城労働局就業規則のページ解説パンフ
秋田労働局就業規則のページ作成の手引き
山形労働局就業規則のページ 
福島労働局就業規則のページ 
茨城労働局就業規則のページ解説ページ
栃木労働局就業規則のページ解説ページ
群馬労働局就業規則のページ 
埼玉労働局就業規則のページ 
千葉労働局就業規則のページ意見書記載例
東京労働局就業規則のページ作成手引き(届出書、意見書の見本あり)
Q&A
神奈川労働局就業規則のページ 
新潟労働局就業規則のページ 
富山労働局就業規則のページ作成解説パンフ
石川労働局就業規則のページQ&A手引き
福井労働局就業規則のページ標準型の表紙・意見書ながら使用を推奨しています
作成ハンドブック
山梨労働局就業規則のページQ&A
長野労働局就業規則のページ周知義務についてのパンフあり
Q&A
岐阜労働局就業規則のページ 
静岡労働局就業規則のページ 
愛知労働局就業規則のページ作成の手引き
三重労働局就業規則のページ 
滋賀労働局就業規則のページ派遣元就業規則パンフ(厚労省HPへリンク)
京都労働局就業規則のページ届け出手引き中に、手続き案内あり
大阪労働局就業規則のページ 
兵庫労働局就業規則のページ 
奈良労働局就業規則のページ 
和歌山労働局就業規則のページ独自様式(意見書と1枚もの)あり
鳥取労働局就業規則のページ就業規則見直し啓蒙パンフ
島根労働局就業規則のページ 
岡山労働局就業規則のページ手続き案内あり
広島労働局就業規則のページ優良な手続き案内あり
山口労働局就業規則のページ 
徳島労働局就業規則のページ完全独自な届出表紙(意見書と1枚もの)あり
香川労働局就業規則のページ 
愛媛労働局就業規則のページ 
高知労働局就業規則のページ
福岡労働局就業規則のページ中小企業判断のための添付資料(添付要請)あり
佐賀労働局就業規則のページ完全独自の届出書(意見書と1枚もの)
長崎労働局就業規則のページ 
熊本労働局就業規則のページ 
大分労働局就業規則のページ作成周知のポイントパンフあり
宮崎労働局就業規則のページQ&A
鹿児島労働局就業規則のページ福岡労働局へリンク(別添書類添付を要請、中小企業判断のため)
Q&A
沖縄労働局就業規則のページ作成についての解説ページ

さて探索目的の「ほんの一部変更手続き」への言及は、東京労働局および長野労働局(Q1)ページ、石川労働局および富山労働局提供パンフ(ポイント8)にありました。ただショックだったのは、就業規則制定または変更して届出る手続き案内を載せている労働局はごく少数でした。今後に期待しましょう。

調査期間は2022(令和4)年10月中旬、今後特記事項があれば更新していく予定です。

労働局関係者様

あらためて各局のトップページから検索してみました。特記事項ブランクな労働局様におかれましては、せめて北海道労働局ページレベルの案内作成をお願い申し上げます。

(2022年9月25日投稿、2022年10月12日編集)

関連項目

就業規則案内見本 

労働者過半数代表 

就業規則制定(変更)届 

新設の社内規定は、就業規則の一部なのか 

2022/05/22

求人票、雇い入れ通知書、就業規則

 たまに、雇入れ時に就業規則を交付すればいいか、という質問を見かけます。求人条件の提示とその異同を見てみましょう。

求人票雇入通知書就業規則
職業安定法5条の3,規則4条の2第3項労基法15条1項、規則5条労基法89条
従事すべき業務内容従事すべき業務内容 
契約期間契約期間 
 有期の場合更新基準 
試用期間  
就業場所就業場所 
始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日始業終業時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換始業終業時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
賃金額(臨時の賃金賞与を除く)賃金の決定、計算、支払い方法、締め日、支払日、昇給賃金の決定、計算、支払い方法、締め日、支払日、昇給
 退職(解雇事由を含む)退職(解雇事由を含む)
 退職手当(範囲、決定、計算、支払い方法、支払い期)退職手当(範囲、決定、計算、支払い方法、支払い期)
 臨時の賃金、賞与、最低賃金臨時の賃金、賞与、最低賃金
 労働者負担とする食費、作業用品労働者負担とする食費、作業用品
 安全衛生安全衛生
 職業訓練職業訓練
 災害補償、業務外傷病扶助災害補償、業務外傷病扶助
 表彰制裁表彰制裁の種類程度
 休職制度
適用される社会保険  
労働者を使用する事業者名  
派遣労働者として雇用する旨  
受動喫煙防止措置  
  労働者すべてに適用される定め

就業規則に、たとえば就業場所の明示がありませんが、事業所単位でそこに働く労働者に集団的に規律する規則ですので、性格を異にしており、明示の必要はないわけです。雇入れ時に就業規則を交付してすますには、あなたを労働者として雇う旨、従事させる業務内容、契約期間に関する事項、就業場所、賃金額といった個別に適用される項目を補充する必要があります。中には就業規則でなく、求人票交付でいいかという質問も同様に、雇う旨、中列にあって左列にない事項の補充が必要でしょう。

労働条件の相違

求人票と雇入れ通知書の相違は、職業安定法違反虚偽求人企業として、刑事処罰の対象です(懲役6カ月、罰金30万円)。


65条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

八 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者

九 虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つた者


ところが雇入れ通知書と事実の相違は、刑事処罰の対象でなく、即日退職の権利を労働者に付与しているだけです。通知書そのものの不交付は30万円の罰金です。


(2022年5月22日投稿、2023年2月18日編集)

関連項目

労働条件通知書(有期雇用向け) 

労働条件通知書(無期雇用向け) 

雇用契約書と雇い入れ通知書 

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/04/02

労働者過半数代表

労働基準法の中には、労使協定の締結、就業規則の意見聴取するための労働者代表が登場します。その役割についてまとめてみました。

労側代表者

法第41条管理監督者でないこと(その事業所に管理監督者しかいない場合、締結できる協定(たとえば強制貯金協定、賃金控除協定)により、管理監督者の中から選出することになります。)

過半数代表者、代表になろうとした人、代表としての正当な行為にたいし、不利益取扱をしてはならない。不利益取扱には、解雇、減給、降格等が含まれる。正当な行為としては、締結拒否、1年単位の例外運用の不同意が含まれる

締結手順

次の事項を明らかにして選出される選挙等であること。

  • 労使協定の締結当事者
  • 就業規則の制定変更につき使用者から意見を聴取する労働者

使用者の意向によって選出されるものでないこと

選挙、挙手等のほかに労働者の話し合い、持ち回り決議等、労働者の過半数が当該者の選出を支持することが明確である民主的な手続きです

派遣労働者は派遣元との協定は、派遣事業所の労働者と派遣中の労働者を含む。派遣先が異なり意見交換の機会がない場合、労働者代表の選出と合わせ意見希望を集約することが望ましい

事業場ごとに過半数組織労働組合があれば、本社において会社と組合とが締結した協定に事業所ごとの協定事項を網羅してあれば、それをもって事業所所轄労基署に届出て差し支えない

複数の事業所のうち、事業所労働者過半数で組織する労働組合がある事業所は、組合代表者と事業主とで同一内容の協定を締結することができる。組合員過半数に達しない事業所においては、その事業所の過半数代表の選出が必要。この場合に、会社側当事者は事業所の使用者代表でも、会社代表でも可

過半数要件

その事業所に労働者過半数組織組合がある場合、その組合と締結すれば足り、その他の組合と協定する必要はない

要件を具備していれば、使用者、第1組合、第2組合の連署も可

事業所に常用労働者と日雇い労働者がおり、常用労働者がその事業所の過半数を代表するなら、そのものとの締結で足りる

事業所の労働者過半数が加入する労働組合であれば、支部分会代表が設置されていなくとも、当該組合との締結が必要

労働者の範囲は協定の対象者限定でなく、事業所に所属する管理監督者、病欠、出張者、休職者すべてを含む

送り出し派遣社員はカウントに入るが、受け入れ派遣社員は人数にはいらない。ただし一斉休憩時間除外協定は、受け入れ派遣社員を含む。

短期の有期雇用者を雇入れこれらを含めた締結時点の労働者過半数代表であれば足りる

労使協定の効力

労使協定の効力は、協定に定めるところにより労働者を使用しても労基法に違反しないとするものであって、労働者の民事上の義務は協定から生じるものでなく、就業記憶、労働協約に根拠をおく

私見

以下は、通達等を読んで導き出した私見です。すでに通達が出ていた場合、確立した判例がある場合はそれが適用されます。

過半数組織労働組合と締結した労使協定は、その後組合が過半数割れを起こしても、協定の効力に影響はありません。一方でユニオン・ショップ協約をむすんだ労働組合が、過半数割れをおこすと、その労働協約は失効します。

事業所の一部の労働者に適用される協定、就業規則は、適用される労働者の過半数でなく、事業所の所属労働者の過半数です。なお、事業所のパート有期労働者に適用される場合、その労働者群の過半数の意見をきくことが努力義務となっていますが、労基法の手続きを経てない限り、その代替とはなりません。

労働組合は常設機関ですが、労働者代表は一部を除き、常設機関ではありません。上の見出し「締結手順」の通達にもあるように、締結等必要な都度、案件を明らかにして選出手続きを経ねばなりません。それをすることがない任期制等の労働者代表等は、案件を民主的手続きをもってもんでいない以上、労働者代表に締結権限は生じません。

常設を予定される労働者過半数代表

  • 1年単位の変形労働時間制における労働日・労働時間の例外運用における同意者
  • 労使委員会の労側委員の欠員補充

企業全体で共通した協定(就業規則)であっても、本社で過半数従業員代表と締結しただけでは、その効力は締結した本社のみしかありません。いわゆる選挙権者(投票権のある人)は、事業所ごとにカウントし過半数を認識し、その事業所ごとの過半数でもって選出させます。一方被選挙権(いわゆる立候補、選ばれる人)は、事業所内に限定されず、事業所の過半数が信任するなら本社の労働者が選出されることもありえます。また複数事業所をもつ企業全体の労働者過半数といった選出は無効です。あくまで本社に属する人数、支店に属する人数の過半数です。

代表を選出させようと苦労することがあります。あらかじめ立候補がない場合は、会社推薦することがあるとしておき、立候補がでなければそこで推薦者の信任を事業所労働者たちに取り付ければいいことになります。会社が推薦してそのままでは労働者代表にはなりえないということです。

(2022年4月2日投稿、2024年3月24日編集)

関連項目

労働局の就業規則案内 

就業規則制定(変更)届 

労使協定の協定項目 

労働協約と労使協定 

労使協定 

2022/03/24

就業規則制定(変更)届

就業規則制定(変更)届け出のシーズンとなりました。届出表紙、意見書は任意様式です。法令できめられていませんが、管轄の労働基準監督署(労働局)ホームページに掲載していることがあります。様式は随意であるか確認のうえ、ご利用ください。


就業規則制定(変更)届


      
      労働基準監督署長 殿

就業規則を制定(変更)しましたので、意見書をつけて届出ます。

事業所名
所在地
使用者職・氏名
業種
労働者数   名(企業全体   名)



 厚労省サイトの推奨様式では、変更事項の新旧対比を書かせる欄があります。記載が大分量になるなら、下記のような新旧対照表をつけ、「別紙新旧対照表のとおり」と記載するといいでしょう。


意見書

 過半数組織労働組合
 ・労働者過半数代表 

          殿

使用者職・氏名          
このたび、下記の規定を制定(変更)しますので意見書の提出をお願いします。
1.パート就業規則(変更)
2.〇〇規定(制定)

 使用者

          殿

      日意見を求められたので、次のとおり意見します。
1.特にありません。
2.意見は下記(別紙)のとおりです。
      
□□事業所
 過半数組織労働組合
・労働者過半数代表         (印)






以 上

 

新旧対照表

 パート就業規則
第 条 年次有給休暇は、週所定日数に応じ、入社時に別表1の日数を付与する。ただし、次の各号に該当する場合は、正社員就業規則の例により付与する。
1.週所定30時間以上契約
2.…
第 条 年次有給休暇は、週所定日数に応じ、入社6カ月後に別表1の日数を付与する。

 

 パート就業規則(改正後全文)


 〇〇規定(全文)


新設制定、既存変更にあわせ、「制定」「変更」等不要文字を抹消等してください。労基署によっては、変更の場合、対照表まででよいとするところもあります。保管するかさをへらしたいのでしょう。書類万能の時代から電子申請への移行がなかなかすすまない過渡期の悩みです。

(2022年3月24日投稿、2023年3月25日編集)

関連項目

就業規則案内見本 

新設の社内規定は、就業規則の一部なのか 

労働局の就業規則案内 

労働者過半数代表 

労使協定の協定項目 

労働協約と労使協定 

労使協定 

2022/03/20

労働契約法の変転

 労働契約法は、比較的新しい法律です。しかし、数次の改正を経て、条数が移動したりして、ものの文献をあたるとき、条数が一致しないなど戸惑うことがあります。そこでもっと工夫のしようがあるのでしょうが、遍歴を時系列に並べてみました。なお、附則は制定もしくは改定時点のみの内容を掲載しています。

変転早見表
内容H20.3.1
から
H24.8.10
から
H25.4.1
から
R2.4.1
から

有期解雇等

17171717

無期転換

1818

有期更新等

181919

不合理条件禁止

20削除移記

船員特例

18192120

適用除外

19202221

※正確性は保証できません。官報をごらんください。


労働契約法(法律第128号(平成19年12月5日公布))

施行(平成20年3月1日)時~平成24年8月9日まで


目次

 第1章 総則(第1条-第5条)

 第2章 労働契約の成立及び変更(第6条-第13条)

 第3章 労働契約の継続及び終了(第14条-第16条)

 第4章 期間の定めのある労働契約(第17条)

 第5章 雑則(第18条・第19条)

 附則


   第1章 総則

 (目的)

第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。


 (定義)

第2条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。


 (労働契約の原則)

第3条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。


 (労働契約の内容の理解の促進)

第4条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。


 (労働者の安全への配慮)

第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


   第2章 労働契約の成立及び変更

 (労働契約の成立)

第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。


第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。


 (労働契約の内容の変更)

第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。


 (就業規則による労働契約の内容の変更)

第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。


第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。


 (就業規則の変更に係る手続)

第11条 就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条の定めるところによる。


 (就業規則違反の労働契約)

第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。


 (法令及び労働協約と就業規則との関係)

第13条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。


   第3章 労働契約の継続及び終了

 (出向)

第14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。


 (懲戒)

第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。


 (解雇)

第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


   第4章 期間の定めのある労働契約

第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。


   第5章 雑則

 (船員に関する特例)

第18条 第12条及び前条の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。


 (適用除外)

第19条 この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。


   附 則

 (施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


平成20年1月23日公布 政令10号

労働契約法の施行期日を定める政令

内閣は、労働契約法(平成19年法律第128号)附則第1条の規定に基づき、この政令を制定する。

労働契約法の施行期日は、平成20年3月1日とする。



労働契約法の一部を改正する法律(法律第56号(平成24年8月10日公布))

改正法公布時施行~平成25年3月31日


目次

 第1章 総則(第1条-第5条)

 第2章 労働契約の成立及び変更(第6条-第13条)

 第3章 労働契約の継続及び終了(第14条-第16条)

 第4章 期間の定めのある労働契約(第17条・18条

 第5章 雑則(第19条・第20条

 附則


第1章1条~第3章16条 制定時に同じ


   第4章 期間の定めのある労働契約

(契約期間中の解雇等)

第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

2 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

(有期労働契約の更新等)

第18条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

 一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

 二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。


   第5章 雑則

 (船員に関する特例)

第19条(旧18条) 第12条及び前章の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。


 (適用除外)

第20条(旧19条) この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。


 附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第2条並びに次項及び附則第3項の規定は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。(注:ここでいう第2条以下の規定とは改正法条文中を指します)


平成24年10月26日公布 政令第267号

労働契約法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令

内閣は、労働契約法の一部を改正する法律(平成24年法律第56号)附則第1項ただし書の規定に基づき、この政令を制定する。

労働契約法の一部を改正する法律附則第1項ただし書に規定する規定の施行期日は、平成25年4月1日とする。


労働契約法の一部を改正する法律(法律第56号(平成24年8月10日公布))

平成25年4月1日施行~令和2年3月31日


 第1章 総則(第1条-第5条)

 第2章 労働契約の成立及び変更(第6条-第13条)

 第3章 労働契約の継続及び終了(第14条-第16条)

 第4章 期間の定めのある労働契約(第17条-第20条

 第5章 雑則(第21条・第22条

 附則


第1章1条~第4章17条 改正前に同じ

 (有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)

 第18条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が6月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が1年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に2分の1を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。


 (有期労働契約の更新等)

 第19条(旧18条) 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

 一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

 二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。


 (期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

 第20条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。


   第5章 雑則

 (船員に関する特例)

第21条(旧19条) 第12条及び前章の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。


 (適用除外)

第22条(旧20条) この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。


附則

1(改正法公布時に同じ)


 (経過措置)

2 第2条の規定による改正後の労働契約法(以下「新労働契約法」という。)第18条の規定は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用し、同項ただし書に規定する規定の施行の日前の日が初日である期間の定めのある労働契約の契約期間は、同条第1項に規定する通算契約期間には、算入しない。


 (検討)

3 政府は、附則第1項ただし書に規定する規定の施行後8年を経過した場合において、新労働契約法第18条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。



働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(法律第71号(平成30年7月6日公布))

令和2年4月1日施行~

目次

 第1章 総則(第1条-第5条)

 第2章 労働契約の成立及び変更(第6条-第13条)

 第3章 労働契約の継続及び終了(第14条-第16条)

 第4章 期間の定めのある労働契約(第17条-第19条

 第5章 雑則(第20条・第21条

 附則


第1章1条~第4章19条 改正前に同じ


第20条を削る(短時間・有期雇用労働法第8条に移す・附則11条に注意)


   第5章 雑則

 (船員に関する特例)

第20条(旧21条) 第12条及び前章の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。

2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。


 (適用除外)

第21条(旧22条) この法律は、国家公務員及び地方公務員については、適用しない。

2 この法律は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用しない。


附 則 (平成30年7月6日法律第71号) 抄

(施行期日)

第1条 この法律は、平成31年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

2 第5条の規定(労働者派遣法第44条から第46条までの改正規定を除く。)並びに第7条及び第8条の規定並びに附則第6条、第7条第1項、第8条第1項、第9条、第11条、第13条及び第17条の規定、附則第18条(前号に掲げる規定を除く。)の規定、附則第19条(前号に掲げる規定を除く。)の規定、附則第20条(前号に掲げる規定を除く。)の規定、附則第21条、第23条及び第26条の規定並びに附則第28条(前号に掲げる規定を除く。)の規定 平成32年4月1日

(短時間・有期雇用労働法の適用に関する経過措置)

第11条 中小事業主については、平成33年3月31日までの間、第7条の規定による改正後の短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下この条において「短時間・有期雇用労働法」という。)第2条第1項、第3条、第3章第1節(第15条及び第18条第3項を除く。)及び第4章(第26条及び第27条を除く。)の規定は、適用しない。この場合において、第7条の規定による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律第2条、第3条、第3章第1節(第15条及び第18条第3項を除く。)及び第4章(第26条及び第27条を除く。)の規定並びに第8条の規定による改正前の労働契約法第20条の規定は、なおその効力を有する

(検討)

第12条 

3 政府は、前2項に定める事項のほか、この法律の施行後5年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この項において「改正後の各法律」という。)の規定について、労働者と使用者の協議の促進等を通じて、仕事と生活の調和、労働条件の改善、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保その他の労働者の職業生活の充実を図る観点から、改正後の各法律の施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

(政令への委任)

第30条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。



(2022年3月20日投稿、2022年8月20日編集)

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法律の改正作法 

2022/03/05

2022年4月育児介護休業規定の見直し漏れ

令和4年4月と10月の2回にわけて、改正育児介護休業法が施行されます。規定の見直しは完了していますでしょうか。4月の改正の目玉は、有期雇用者の適用範囲緩和ですが、改正か所は育児休業だけでなく、介護休業にもあります。

4月有期雇用者の適用範囲の緩和(育児、介護休業とも)、育児休業取得促進に向けての働きかけ義務化
10月出生時育児休業の導入、休業取得回数の拡大、柔軟化

10月と同時期に社会保険料免除対象の変更も行われますので、働きかけの一環として制度案内する場合にもバージョンアップがかかれません。

その10月の育児休業の新制度(出生時育児休業)は介護休業規定にも及びますので、見落としがないようにしましょう。

見直すにも現行規定は、最終改正がもれなく反映していることが最低条件です。数次にわたる改正に応じて改正漏れがあるなら、法より労働者有利な規定を残して、全面改正してしまうのがお勧めです。

詳細版規定例の入手先(厚労省サイト

最後に介護休業の有期雇用者適用範囲緩和以外で、見落としやすい10月の介護休業規定(詳細版)の改正部分をあげておきます。

令和4年9月30日まで令和4年10月1日から

(介護休業の期間等)

9

1項から4項(現行のまま)

(介護休業の期間等)

13

左に同じ

5 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、介護休業は終了するものとし、当該介護休業の終了日は当該各号に掲げる日とする。

(1)家族の死亡等介護休業に係る家族を介護しないこととなった場合

当該事由が発生した日(なお、この場合において本人が出勤する日は、事由発生の日から2週間以内であって、会社と本人が話し合いの上決定した日とする。)

5 次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、介護休業は終了するものとし、当該介護休業の終了日は当該各号に掲げる日とする。

(1)家族の死亡等介護休業に係る家族を介護しないこととなった場合

当該事由が発生した日(なお、この場合において本人が出勤する日は、事由発生の日から2週間以内であって、会社と本人が話し合いの上決定した日とする。)


(2)申出者について、産前産後休業、育児休業又は新たな介護休業が始まった場合

(2)申出者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は新たな介護休業が始まった場合

産前産後休業、育児休業又は新たな介護休業の開始日の前日

産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業又は新たな介護休業の開始日の前日

 同様の要改定規定文が、所定外労働の制限(育児、介護とも)、時間外労働の制限(同)、深夜業の制限(同)にもあります。

見直し漏れ追加

厚労省サイトで改正法施行の10月に向けたFAQが掲載されていました。Q4-3によりますと、入社1年未満の有期雇用者には、法の上で育休を申し出る権利を認めていませんでした(雇用主の一存で認めたり、認めることを規定に盛り込むことは差し支えない)。その条項が本年4月に削除されたので、入社1年未満の有期雇用者からの申出拒否するには、あらためて協定締結が必要だというのです。

要は、改正法前に締結してあった協定は無期雇用者の入社1年未満が対象で、法の解除(削除、権利の発生)により、入社1年未満有期雇用者も拒否するなら、別途協定が必要だということでしょう。改正前のまま締結せずにおくと、ちょっとしたトラブルになりそうです。

(2022年3月5日投稿、2022年9月18日編集)

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産前産後休業、育児休業 

育児休業給付金の計算 

2021/12/25

労使協定の協定項目

労基法の定める労使協定には、労基署に届け出義務があるものとないものがあり、一覧にしてまとめました。届け出義務のあるものは、協定届の様式があるものの、協定書として流用できる旨があり、その場合記載事項にない締結項目があるようなので、整理してみました。マークしたところが協定届け出様式に記載欄がない項目ですので、届け出様式をもって協定書とする場合は、枠外か別紙に付記せねばならないでしょう。これに反して、法定の協定項目以外の、労使に権利義務を課す内容を盛り込み、就業規則には反映させないなら、その協定書自体、就業規則の一部を構成しますので、届け出義務のある事業所は所定の手続きをせねばなりません。なお、協定締結は企業単位でなく、事業所ごとに締結を要しますので、内容が全社共通でも事業所ごとに過半数組織労働組合、なければ労働者過半数代表を選出しての締結となり、事業所管轄の労基署への届け出となります。


根拠条項
内容
協定事項
    • 施行規則
届け出義務(ありの場合、様式)
コメント

18(2)
強制貯金
    • 預金者の範囲(以下則5条の2による)
    • 1人当たりの預金限度額
    • 利率及び利子の計算方法
    • 受払い手続
    • 保全の方法
あり、様式一号

24(1)ただし書
賃金の一部控除(法定控除以外)
(なし)
(なし)
規定例は、厚労省サイト、またはネット検索ください。口座振込の例は通達によるものです。

32-2(1)
一カ月単位の変形労働時間制
  • 1箇月以内の期間を平均し一週間あたりの法定労働時間を超えない定め
    • 起算日(就業規則またはこれに変わる書面でも可)則12条の2
    • 有効期間(労働協約による場合を除く)則12条の2の2第1項
あり、様式第三号の二
協定締結は必須ではない。就業規則またはこれに変わる書面(就業規則制定義務のない事業所に限る)でも可。協定締結した場合でも、就業規則に変形での就業を規定していないなら就業規則変更のうえ、協定ともども届け出義務がある。

32-3(1)
フレックスタイム制
  • 対象労働者の範囲
  • 清算期間
  • 清算期間における総労働時間
  • 施行規則12条の3第1項に定めるところの
    • 標準となる一日の労働時間
    • コアタイムの開始終了時刻(任意)
    • フレキシブルタイムの開始終了時刻(任意)
    • 有効期間(清算期間1カ月を超える場合で労働協約による場合を除く)
    • 起算日(就業規則またはこれに変わる書面でも可)則12条の2
あり(清算期間1カ月を超える場合)、様式第三号の三
清算期間は3カ月以内。

32-3(3)
フレックスタイム制を完全週休二日制で運用する場合の例外適用
労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を日の法定労働時間に乗じて得た時間とする定め
(なし)
同条のフレックスタイム協定に盛り込むことも可。通達運用だった法定総枠の例外を、今回の働き改革法にて法定化。法定総枠<例外の月に、この協定しておけば例外時間超えたところから時間外労働。なお例外<法定総枠の月は、例外時間超えたところから時間外労働。

32-4(1)
一年単位の変形労働時間制
  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間(一箇月を超え一年以内の期間に限る)
  • 特定期間(繁忙期間、任意)
  • 対象期間における労働日と労働日ごとの労働時間※
  • 施行規則12条の4第1項に定めるところの
    • 有効期間(労働協約による場合を除く)
    • 起算日(就業規則またはこれに変わる書面でも可)則12条の2
あり、様式第四号
※対象期間をつうじての労働日、労働時間の定めにかえて、例外あり

32-5(1)
一週間単位の非定型的変形労働時間制
(なし)
あり、様式第五号
規定例は、厚労省サイト、またはネット検索ください。

34(2)ただし書
一斉休憩の例外
  • 一斉に休憩を与えない労働者の範囲
  • 休憩の与え方
なし

36(1)
時間外、休日労働
  • 対象労働者の範囲
  • 対象期間(1年限定)
  • 対象ケース
  • 限度時間(日、月、年)、休日労働日数
  • 施行規則17条第1項に定めるところの
    • 有効期間(労働協約による場合を除く)
    • 1年の起算日
    • 月100時間未満、2カ月ないし6カ月平均80時間以下を満たすこと
    • 特別条項を適用するケース(以下、任意)
    • 健康福祉確保措置
    • 割増賃金率
    • 特別条項適用手続き
あり(届け出が発効要件)様式第九号、第九号の2ほか
他の労使協定届け出は刑罰付きの事務手続きであり、協定締結をもって発効している。

37(3)
代替休暇(割増賃金部分支払い免除)
  • 代替休暇の時間数算定方法
  • 休暇の(一日、半日といった)単位、他の有給休暇との組み合わせの可否
  • 休暇取得可能期間(最長二カ月)
なし
月時間外60時間超のプラス25%部分の免除。150%の50部分、もしくは全額まるまるではない。

38-2(2)
事業場外みなし労働の必要時間の定め
  • 前項ただし書の通常所定労働時間を超えて労働する場合の当該業務の遂行に通常必要とされる時間
  • 施行規則24条の2第2項に定めるところの
    • 有効期間
あり、様式第十二号(三六協定に付記可)
そもそも事業場外のみなし労働時間策定そのものが労使協定の対象でない。所定を超える必要時間数を協定するかは任意、協定した時間が日の法定労働時間を超える場合に届け出義務となる。

38-3(1)
専門型裁量労働時間制
  • 労働者の裁量に委ねる対象業務
  • 算定する労働時間(いわゆる1日のみなし労働時間)
  • 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと
  • 使用者が講ずる健康福祉確保措置
  • 使用者が講ずる苦情処理措置
  • 施行規則24条の2の2第3項に定めるところの
    • 対象労働者の同意取り付け、および不同意労働者への不利益取り扱いしないこと
    • 同意労働者の撤回手続き
    • 有効期間の定め(労働協約を除く)
    • 健康福祉確保措置、苦情処理措置、同意及び撤回の記録保存期間を前項有効期間終了後5年(当分3年)とすること
あり、様式第十三号
対象業務は施行規則に限定列挙。次条の企画型は労使協定でなく、労使委員会結成決議による

39(4)
時間単位年次有給休暇
  • 対象労働者
  • 対象年休日数(5日以内)
  • 施行規則24条の4に定めるところの
    • 一日あたりの時間数(日所定労働時間を下回らない)
    • 1時間以外で付与数場合の時間数(日所定労働時間未満)
なし
計画年休、使用者の時季指定義務の対象でない。

39(6)
計画年休
有給休暇を与える時季に関する定め
なし
規定例は、厚労省サイト、外部サイトを参照ください。労基法の定める他の労使協定とことなり、免罰効力のほか協定した日程に規範性(労働者に権利義務)を生じさせる。

39(9)ただし書
休暇日賃金の選択
休暇日賃金を健保標準報酬月額の30分の1による定め
なし

【お断り】正確性は法令記載の条項が優先するもとし、本ブログは理解の一助としてください。

(2021年12月25日投稿、2024年5月13日編集)

関連項目

労働者過半数代表 

就業規則制定(変更)届 

労働協約と労使協定 

労使協定 

2021/12/11

労基法の有期雇用契約

労基法には、労働者保護を名目に有期雇用契約に制限を設けています。

長期契約制限

ひとつは3年を超える長期有期契約を禁止しています(14条)。やむを得ない事情がないかぎり退職できず長期拘束をともなうからです。ただしその例外として、

  • 事業の完了が見込まれる有期事業にて雇用する契約
  • 専門知識、技術経験を活かしてもらう厚労大臣基準の資格をもつ労働者との契約(後述)
  • 60歳以上の労働者との契約

です。前1者は必要とする期間、後2者は最長5年となります。前者はダム工事期間中等、プロジェクトの終結がはっきりしていることが条件で、必要とする例えば、7年、10年という長期契約を結ぶことができます。

さらに有期雇用に関する法的対処を講ずるまでの経過措置として、上にあげた3つの例外以外の雇用契約で、1年を超える期間の雇用契約は、やむを得ない事情(民628条)がなくても、1年を経過した日以降、いつでも即日退職する権利を労働者に付与しました(137条)。これにより1年を超える有期契約をみかけなくなったゆえんです。それにしても平成15年改正法に盛り込まれて今にいたるまで、有期短時間雇用について法的整備がなされてきたものの、この面の法的措置について合意に達せないのは残念なものです。

有期5年を結べる専門的知識を有する例(限定列挙)

  • 博士号の学位を有し、その専門知識を活かせる業務
  • 国家資格を有し、その専門知識を活かせる業務(公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士)
  • システムアナリスト、アクチュアリー
  • 特許発明者、登録意匠創出者、登録品種育成者
  • 人文系をのぞき所定の学科を修め従事させる業務の所定年数経験のある者(年収1075万円以上)
  • すぐれた知識技術経験を持つ者として国等により認定を受けた者

更新基準の明示

雇入れ時に労働条件を明記した書面でもって労働者になる人に交付せねばなりません。更新するときも同様です。別ページにも書きましたが、更新後交付でなく、更新をきめたならその場で交付義務が発生します。明記する労働条件は法令で定められていますが、有期雇用にあっては契約期間だけでなく、次回更新の有無、更新有りなら更新する判断基準の条件を具体的に記載せねばなりません。これは平成25年4月施行規則改正により、大臣告示の紛争防止基準(いわゆる努力義務)から法定義務となりました。

更新の有無更新判断基準の例
  • 更新しない
  • 自動的に更新する
  • 更新する場合がある
  • 契約期間満了時の業務量による
  • 労働者の勤務成績、態度による
  • 労働者の能力による
  • 会社の経営状況による
  • 従事している業務の進捗状況による

有期雇用にあっては、ちょっとしたことでいさかいがたえないので、個別労使紛争への発展することへの抑止を目的に、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」が設けられています(労働基準法14条2項を根拠として大臣告示。「紛争防止基準」と呼ばせてもらってます)。ここでいう雇止めとは契約にもうけられていた期間終期において、新しい契約を結ばない更新しないことを言い、期間途中で契約解除する解雇とは区別します。労働契約法で、雇止めが無期雇用者の解雇と同視される場合についての扱いを述べていますが、あくまでも雇止めです。

雇止め予告

更新する場合がある有期雇用契約において、次のひとつにでもあてはまる場合は、雇止め30日前予告を勧告しています。

 該当するケース該当しない例
3回以上更新している場合2回更新して、3回目の更新を前にする雇止め(次項にあたる場合をのぞく)
契約更新して継続通算1年を超える場合契約期間満了時の雇用期間がちょうど通算1年になる雇止め(前項にあたる場合をのぞく)
1年を超える有期雇用契約の場合契約当初から更新しない契約
 この終期をもって雇止めする場合の30日前通告対象契約
 以後同様
契約期間
1年1年未満1年超
6カ月8カ月2カ月
タイプB タイプB タイプC
 
タイプA
タイプB 
  
 
     
 
 
  
   
自動更新

有期の労働契約にあって自動更新とは、どういう契約を結ぶのか疑問でしたが、次の例のようになります。

第 条 本契約の終期1か月以上前に一方が他方に書面にて期間満期をもって契約の終了を通知することがなければ、本契約終期の翌日において同一条件で更新するものとし、以後同様とする。

あらたな疑問です。自動更新で契約をあたらしく起こすことはありませんが、では更新のたび書面交付義務は消えるのでしょうか。労働条件通知書を都度渡しておく、という安全パイで。令和6年4月施行の労働条件通知書の記載項目に対応するには、毎回ではありませんが、無期転換権発生対応等応じなければならなくなりました。また、助成金対応ですとそれに応じた自動更新条項にしておく必要がありますので、官庁に事前問い合わせください。

追補

令和6年4月、雇い入れ通知書および紛争防止基準等に、あらたな項目が増える予定です。( ⇒ 下記関連記事参照)


(2021年12月11日投稿、2024年3月10日編集)

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労働条件通知書(有期雇用向け) 

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