2024/05/14

36協定に書く文言

以前書いた記事「36協定に書く数字」の続編です。今回は協定届に書く文言についてです。

「特別条項」に対して「一般条項」という呼称が用いられているのを、働き方改革法施行時の特別条項つき36協定届(様式第9号の2)様式がでていたのを見て知りました。それまでは特別条項を旧法様式(現様式第9号の4に類似)欄外に、内容を付記補充する形でした。

業務内容を細分化して残業させる事由、人数、協定時数等を記載するのですが、一般条項に書く「時間外(休日)労働させる必要のある具体的事由」と、特別条項にある「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」の欄に書く事由は同じものを書けません。あくまで臨時的な内容に限るということで、同じ内容書いたら指導ものになります。

ここでは、厚労省検討会での資料に実際の36協定届集計結果がでていましたので、特別条項に記載された特別な事情の集計結果から抜粋してみました。

事由
顧客都合による仕様変更対応、納期逼迫45.5
季節要因等による受注・顧客集中による業務繁忙19.8
機械故障トラブル対応11.0
予算決算・経理業務8.0
急な離職等による人員不足3.9
クレーム対応3.7
事業所の移転新設2.3
人事業務(採用・異動)2%
未満
事業・経営計画策定見直し
株主総会対応
大規模システム導入更新
新規プロジェクト立ち上げ
取引先・官公庁対応
天候不順等自然要因による業務増加
災害事故からの復旧作業
事務所新設移転

つづいて、「限度時間を超えて労働させる場合における手続」です。前掲の集計はおおまかな集計手法になっており、細部不問で「通告」83.9%、「協議」15.4%でした。だれへの協議、通告かは不明です。通告協議相手は労働者自身、中には労働者代表(組合)ということもあるでしょう。

さいごに健康福祉確保措置については、届け出様式裏面にある記載要領からの番号選択しての具体的内容の記述になります。

参考資料

労働基準関係法制研究会

時間外休日労働協定届集計結果

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2024/05/01

2024雇用保険みなおし

雇用保険制度の見直しが予定されています。

支給制限

自己都合退職ですと、給付制限2カ月(重責解雇、過去5年間3回目以上は同3カ月はそのまま)を1カ月に短縮し、離職中、離職前1年間に自ら教育訓練を行った場合は、給付制限そのものを解除することとしています。(令和7年4月施行予定)

対象者拡大

被保険者の対象は、平成元年におこなわれたフルタイムの3/4以上から1/2(週20時間相当、当時は22時間)以上へ拡大されたのに匹敵する改正が、令和10年10月に予定されています。フルタイム1/4にあたる週所定10時間以上(20時間未満)労働者を被保険者とするものです。すると今まで11日以上といった基準が根こそぎ変更されることになります。

 改正後改正前
賃金支払基礎となった日が月間6日以上月間11日以上
ない場合働いた時間が月40時間以上月80時間以上
失業認定基準日2時間未満日4時間未満

これまで失業認定にひっかからない、半日に達しない時間で小遣い稼ぎできたのが、2時間でアウトになるのでは働いていないのも同然で、そういう仕事があるのかも含め厳しいものがあります。

副業関係

社会保険とは異なり、複数の雇用主のもとで働いていても、雇用保険はどちらか主とする方のみ資格取得となります。これが10時間で資格取得できるなら、複数雇用主に雇われている対象者が増えるでしょうが、雇用保険に関しては1社のみの扱いにかわりありません。マルチジョブホルダー制度として65歳以上をして複数勤務いずれでも満たせないが合算して雇用保険資格満たすなら労働者申し出で加入扱いを令和4年から施行しており、その制度の長短をこれから検証するとのことで、それが将来的に全年齢展開されるとしても、まだもう少し先になるでしょう。

その後の経緯

改正雇用保険法が成立し、2024年5月17日公布されました。これとは別の法案で、育児休業給付金8割給付が審議中です。

(2024年5月1日投稿、2024年5月17日編集)

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