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2023/09/15

年休取得、新規付与数からの減数

ときどき、年次有給休暇繰越数があるのに新規付与分から減数させられるという苦情、質問をたまに見かけます。ところがこの方式は民法にて規定されており、こちらの方がむしろ法にかなっているのです。すなわち当事者間で取り決め(意思表示)がなければ、年次有給休暇の減数は、債務者ここでは会社側有利な方から減数して扱ってよいのが、民法の定めです(民法488条4項2号)。

(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)

第488条 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第1項に規定する場合を除く。)は、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

2 弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは、弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし、弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは、この限りでない。

3 前2項の場合における弁済の充当の指定は、相手方に対する意思表示によってする。

4 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは、次の各号の定めるところに従い、その弁済を充当する。

一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは、弁済期にあるものに先に充当する。

二 全ての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。

三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは、弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。

四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は、各債務の額に応じて充当する。

比較的ながい条文の引用ですが、構造は明確です。古い繰り越し分からでなく新規付与から減数する方が、債務者の会社は有利となります。どれだけ有利(労働者にとって不利)かは、こちらの繰越展開図をごらんください。

有利な扱いを就業規則に明確にしてもしなくても、民法に規定したとおり取り扱ってよいのです。そういった取り扱いをして労働者とのトラブルをさけていきたのでしたら、就業規則に明確にしておくことが望ましいです(同条1項、3項)。

ただし、これまでしてきた減数を「古い繰越分」から「新規付与」へ変更することは、就業規則にあらたに規定することも含め労働者に対し不利益変更ですので、変更するに合理的理由、労働者への説明等、労働契約法にそった手続きを経ないことには、簡単には有効とはなりません。また学説には、この民法の規定は、年次有給休暇にあてはまらない、とする立場もあります。


(2023年9月15日投稿)過去記事を分離再編集

参考記事

年次有給休暇制度の改正経緯 

年次有給休暇の取得率計算 

年次有給休暇の付与数と保持数の変転 

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年次有給休暇の時季指定義務(規定例) 

計画年休 運用上の論考 

2023/09/01

年次有給休暇制度の改正経緯

年次有給化の制度改正経緯を記録しておきます。改正時期は公布時で、施行時期ではありません。企業規模等で猶予期間が設けられたものもあります。

制定時初回
勤続1年
8割出勤
6日付与1年継続1日増  
昭62年改正10日付与短時間労働者比例付与計画年休
不利益取り扱い禁止
平5年改正初回
勤続6か月に短縮
平10年改正勤続2年6か月超2日逓増付与日数見直し
平20年改正時間単位付与創設
平30年改正年5日時季指定義務、管理簿創設

労基法制定当初は、勤続1年8割出勤を満たした労働者に6日付与、以後1年ごとに1日逓増でした。

昭和62年改正:初回6日から10日付与に引き上げ、パート短時間労働者への比例付与、計画年休制度(要労使協定)、不利益取り扱いの禁止条項の新設。

平成5年改正:初回勤続1年経過後付与が、6か月経過後に短縮。

平成10年改正:勤続3年6カ月以降から2日逓増、比例付与日数の見直し。

平成20年改正:年5日の範囲で時間単位での取得が可能に(要労使協定)。

平成30年改正:法定10日以上付与する労働者に対し年5日時季指定義務、年次有給休暇管理簿の創設。

(2023年9月1日投稿、2023年10月20日編集)

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2022/12/08

年次有給休暇の取得率計算

各種労働統計調査で年次有給休暇の平均取得数や取得率を問われる機会があります。定義があいまいだからでしょう、それにまつわる質問をちらほらみかけます。

労働者に付与してから、労働者が取得するわけですが、一斉付与ならともかく、法定通りの各自付与(入社日基準等)の付与日はばらばらで、さらに繰越数を計算に含めない、となるとどう計上したらいいかわからないというのです。

統計調査の記入要領が詳細に定義してあるなら、それに沿って回答ください。ここでは、ただ単に付与数、取得数、労働者数を記入せよと、詳しく説明のない調査への道案内とします。

一定期間(1月~12月、4月~翌年3月等)において、文字どおり付与した総数、付与した時期が期初、期中、期末かは問いません。そして取得数も同様に、付与時期を問わず、対象期間中に労働者が年次有給休暇で休んだ日数を計上します。

「新規付与日数とその付与日からの1年間の取得」との連携をなぜ断ち切るのか、「繰越数を無視しながら、当人新規付与前の取得は繰り越し数からの取得」なのになぜ取得数のほうを計上するのか。なかなか理解できないのはわかるのですが、ここでの分母とする付与日数(総和)は企業規模を表している、そして個々の労働者への付与と取得に関連付けはしない、と割り切られるといいです。

付与数対象期間中に新規付与した総日数 繰越日数を含めない
取得数同一期間中に取得消化した総日数
時間単位はその労働者の所定労働時間を基準に日に換算
労働者数その期間中に取得可能な労働者総数
繰り越し数を保持する中途退職者を含める(期中、新規付与されるかは問わない)。
期中入社者で最初の付与日が、対象期間外であれば、労働者数に含めなくてよい。

平均取得日数=取得日数(総和)÷ 労働者数

取得率=取得日数(総和)÷ 付与数(総和)

出典
厚生労働省就労条件総合調査

(2022年12月8日投稿)

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2021/10/31

年次有給休暇の付与数と保持数の変転


ある人の年次有給休暇の保持数の変転について具体例をあげて説明します。ここでは、平成31年1月1日入社、勤続0.5年からの法定付与で説明します。毎年8割出勤率はみたしているものとします。また時効は付与してから2年で消滅するものとします。

付与日勤続0.5年   保持数
R1.7.110日付与   10日
 5日取得勤続1.5年   
R2.7.1残5日11日付与  16日
 4日取得 勤続2.5年  
R3.7.1残1日消滅残11日12日付与 23日
  11日取得4日取得勤続3.5年 
R4.7.1 残0日残8日14日付与22日
 勤続4.5年 5日取得  
R5.7.116日付与 残3日消滅残14日30日
  勤続5.5年 7日取得 
R6.7.1残16日18日付与 残7日消滅34日
 16日取得3日取得勤続6.5年  
R7.7.1残0日残15日20日付与 35日
  15日取得1日取得勤続7.5年 
R8.7.1 残0日残19日20日付与39日
 勤続8.5年 19日取得  
R9.7.120日付与 残0日残20日

40日

新規付与から減数する方式で、保有数の推移を表にしてみました。毎年の保有数が増えないことは一目瞭然です。

付与日勤続0.5年   保持数
R1.7.110日付与   10日
 5日取得勤続1.5年   
R2.7.1残5日11日付与  16日
  4日取得勤続2.5年  
R3.7.1残5日消滅残7日12日付与 19日
  3日取得12日取得勤続3.5年 
R4.7.1 残4日消滅残0日14日付与14日
 勤続4.5年  5日取得 
R5.7.116日付与 残0日残9日25日
 7日取得勤続5.5年   
R6.7.1残9日18日付与 残9日消滅27日
 1日取得18日取得勤続6.5年  
R7.7.1残8日消滅残0日20日付与 20日
   16日取得勤続7.5年 
R8.7.1 残0日残4日20日付与24日
 勤続8.5年  19日取得 
R9.7.120日付与 残4日消滅残1日

21日

別の人の例を別の形にて説明してみます。先に説明した労働者有利な付与、消化のさせかたでの推移です。

勤続0.5年目
10日付与
                     
勤続1.5年目
6日取得4日繰越11日付与、残15日
                                           
勤続2.5年目 
5日取得10日繰越12日付与、残22日
                                                         
勤続3.5年目
5日取得5日時効消滅12日繰越14日付与、残26日
                                                                   

(2021年10月31日投稿、2023年9月15日編集)

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表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2021/10/02

年次有給休暇制度の詳細

年次有給休暇をどう付与運用するかは、就業規則の絶対記載事項のひとつとして規定しておかねばなりません。単純に付与する日数を決めるだけでなく、種々のケースに対応できるように、これまでの法改正を踏まえ、また将来の改正にも柔軟におうじられるよう、制度設計しておく必要があるでしょう。

そのための理解の一助として、労働基準法制定当初から、制定法をめぐる労基署と本省との質疑応答に目をとおしておくことも有益です。お読みになるときは、下記投稿編集日付当時の内容であることにもあわせて注意されてください。内容の正確性については通達本文が優先することとし、このサイトの文章は理解の足掛かりにされてください。

年次有給休暇の通称略称を{有給」「有休」と表現される場合が多いですが、ここでは「年休」と略して記載しています。通達は法令ではありませんのでのちの裁判により否定されることもあります。確定裁判により、通達が補強または変更されて発出することがあります。基発:労働基準局長名の通達、基収:同職の疑義に答えてする通達です。一部学説等からアレンジして補足しています。

概要

休日は労働義務のない日ですので、休日に年休を取得することはできません。使用者責めの休業日に年休を与えなくても違法ではありません。逆にその日に労働者の請求で年休を認めてもさしつかえありません。年休の昨年付与の繰り越し分と当年付与分とがある場合、取得によりどちらを先に減数するかは、当事者の取り決め(就業規則など)によります。

「時期」でなく季節を意味する「時季」という用語からして、まとまって休暇取得を予定した法制度です

入社時付与

法定の入社半年経過する前に年休付与することも可能です

一斉付与の扱い

  • 法定付与:各人の入社日を基準に勤続6カ月経過後に初回付与、以後1年ごとに出勤率8割以上の労働者に法定数を付与
  • 一斉付与:法定付与にかえて全労働者に一律の基準日を設け年休付与する制度。初回は6カ月経過前基準日と6カ月経過の遅い方にあわせる、あるいは年2回基準日といったパターンもあり。
  • 分割付与:初年度の一括して与えるのでなく、法定日数の一部を基準日以前に付与し、残りを基準日までに付与する制度

一斉付与、分割付与にあたって8割出勤算定の期間が1年(入社時は6カ月)より短縮された場合、短縮された期間は全出勤したものとして計算します。次年度以降の付与日は、初年度の繰り上げた期間分繰り上げ、またはさらに繰り上げて付与します。すなわち次回付与は1年内に付与しなければなりません。逆に言えば、合間が1年超えてからの付与は違法となります。分割付与の起算日は最初の付与日となり、その1年内に次回付与とします

法定を超える年休付与

法定の付与数を超えて付与する会社独自の付与日数の年休は、法とは異なる労使間で定める取り扱いとできます。それが、法より劣っても差し支えありませんブログ者注:法定の年休より劣った取扱(例:1年で消滅)にすると、年5日時季指定義務の控除対象とならないと考えられ、そちらから優先して労働者の取得が進むと時季指定義務の障害となりえます。法定と同一または法定消化後付与としておくことがおすすめです。ただし就業規則変更するにも合理的理由が必要です。また法定を超える日数に対しては、買取も可能となります。

付与における勤続年数

継続して雇用関係にあるかどうかは実態に即して判断します。次の場合は継続しているものとして扱い、年休付与の勤続年数は通算します。

  • 定年退職後、引き続き嘱託等で再雇用(相当期間空いている場合を除く)
  • 法21条に該当する労働者を引き続き雇用している場合
  • 臨時工が有期契約更新し引き続き6カ月経過した場合
  • 在籍出向者
  • 休職中の者が復職した場合
  • 非正規労働者を正社員に登用した場合
  • 解散した会社を包括的に新会社に承継した場合
  • 全員解雇し、一部再採用して事業を継続している場合

8割出勤率関係

遅刻早退しても、労働日の一部に出てきたことにより、出勤した日として扱います。賞与規定や退職金規定によく見られる「遅刻早退3回につき1欠勤に換算する」ということはできません。

8割出勤率を求める際の全労働日とは、計算期間中の暦日数から、就業規則等できめられた所定休日数をのぞいた日数とします。労働者ごとに異なることがあります。所定の休日に労働させた日は、全労働日に含まれません

労働者の責に帰すべき事由によらない不就労日は、出勤率の算定に当たって出勤日数(分子)に算入すべきものとして全労働日(分母)にも含まれ、すなわち全出勤したものとします。たとえば解雇無効の判決確定、労働員会の救済命令による使用者の解雇取り消しによる、解雇日から復職日までの不就労働日数

当事者間の衡平の観点から出勤日数(分子)、全労働日数(分母)に含まれないもの

  • 不可抗力による休業日
  • 使用者起因する経営管理上の休業日
  • ストライキ等争議行為による不就労日

勤続6か月目からの1年間、出勤率8割未満で付与日数0としたとします。次の勤続1年半からの1年間、出勤率8割以上での付与は11日でなく12日です

出勤率計算にあたって、年休でお休みした日は出勤したものとして扱います

法定の産前産後休業期間中は出勤扱いですが、出産予定日に遅れて出産し6週を超える産前休業も、出勤扱です

生理日休暇日を欠勤と扱うか出勤と扱うかは雇用契約、就業規則、労働協約によります

法37条代替休暇と年休は別物です。1日代替休暇した日は、年休8割出勤率算定にさいし、全労働日数に加えません

出勤率8割に満たない労働者への付与数0日は新規付与についてであって、繰り越してきた分には影響しません

スト等でいったん解雇され、のちに取り消しを受け復職した労働者には、いわゆる解雇期間中は事業主責めの休業全出勤したものとして扱います。その出勤率算定の1年間所定労働日が0となる者は、年休付与はありません

短時間労働者への比例付与

年度の途中で契約勤務日数の変更が行われた労働者には、次回付与基準日に所定契約日数と勤続年数に応じた新たな付与をすればよく、保持している日数に調整は入りません

計画年休関係

労使協定による計画年休日において労働者は時季指定権を、使用者は時季変更権を共に行使できません

計画年休協定で盛り込む事項として、

  • 一斉休業の場合は、具体的な日付
  • 班別の交替付与の場合は、班ごとの日付
  • 個人ごとの付与の場合は、期間、手順

入社日に5日、6カ月後の基準日に残り5日分割付与する労働者に、入社6カ月内に計画付与する年休はありません

一斉休業の計画年休に、年休の日数を保持しない労働者を休ませた場合、使用者責めの休業手当の支払となります

計画日前に退職する労働者には、計画日分の年休を取得できます

計画年休にあてがう年休は、個人が保持する5日を超える部分です。足りないもしくは年休がない労働者には、付与日数を増やす等の措置が必要ですブログ者注:この他に、特別の有給休暇、休業手当の支払い、出勤させて労務提供させるといった施策もあるでしょう。

5日を超える部分は、新規付与分のみならず繰越分を含みます

時間単位年休

実施する事業所において労使協定締結により導入できます。日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、労働者の意思によります。労使協定締結により実施する場合でも、就業規則「休暇」として時間単位年休に関する記載が必要です。時間が単位ですので、時間未満の分刻みの制度とすることはできません。

労使協定の記載事項として

  • 対象労働者の範囲
  • 時間単位年休を与える日数(最大5日)
  • 1日分の時間数(所定労働時間。うち時間未満切り上げ。日ごとに一定しない場合は、年間平均所定労働時間をもってする)
  • 1時間以外を単位とする場合の時間数

利用目的に限定を設けることはできません。時間単位も時季変更権の対象です。日で請求して時間でとらせること(逆も同様)は時季変更権の行使でありません。時間単位をとれない時間帯を定めること、1日にとれる時間数の上限をさだめることはできません(ブログ者注:下限は労使協定でさだめることができます。ただしその単位時間数倍の取得となります。)。時間年休は計画年休の対象になりません。休暇時間の賃金は、その日の所定労働時間で除した額です。従前からの半日年休に変更はありません

5日をこえて時間年休取得させる場合またはした場合、会社独自の有給付与とし、法定付与数から減じることはできません。会社独自付与をもって分単位とする運用はできるでしょう。

年5日の時季指定義務

法定の10日以上付与した日から1年が対象です。その1年内に労働者が5日先行して取得した場合、計画年休で5日以上取得した場合は、使用者の義務は免れます。前倒しで10日以上付与する場合は、その日からの1年となります。その1年が経過するまでに新たに10日以上付与して重複期間が生じる場合、最初の付与日とあとから付与した1年が終わる期間の長さに比例按分した日数でもってすることができます。入社時分割して付与する場合は、10日に達した日からの1年とし、達する前に労働者が取得した日数もカウントできます。半日年休については、労働者が取得希望する分については対象とします。使用者が時季指定するにさきだって、労働者の意見を聞き、意見にそった指定をすることが望まれます

時季指定は、1年の期首に限らず、当該機関の途中でも可能です。対象となる労働者は、繰越をふくめた保持日数でなく新規付与が法定の10日以上の労働者です。時間単位で指定することは認められません。労働者が自ら取得した半日単位で取得した日数は0.5日としてカウントします。半日単位での指定は、労働者に意見を聞き労働者が希望した場合に限ります。時間単位の取得は、5日義務にカウントされません。育休から復帰した労働者にも期末までに時季指定の対象となります(復帰して期末までに5労働日に満たない場合を除く)。先行して5日取得した労働者に、時季指定することはできません。逆に時季指定が先行して、その指定日より前に労働者が取得5日に達しても、先行した時季指定は、労使の特段の定めがないかぎり有効です。特別の有給休暇は、時季指定義務の対象とならなりません。だからといってその特別休暇を廃するには、合理的理由が必要です。時季指定義務の対象労働者の範囲、指定方法についても、就業規則の記載事項です

短時間労働者への比例付与で、法定の10日未満のところ上乗せして10日以上付与しても、年5日指定義務の対象となはならない

高度プロフェッショナル労働者も時季指定義務の対象です

入社日が不明な者

本人に問合せる、同僚の証言を取り付けるなど、入社日を確認をしてください

2日にわたる勤務者

  • 1昼夜交替勤務は、1勤務を2労働日として扱います。
  • 交替勤務の日を跨ぐ場合、常夜勤者は、当該勤務を含む始業から継続24時間を1日として扱えます。
  • 交替勤務で番方変換日に連勤、超過勤務する場合、労働時間の長さにかかわらず1労働日として扱う

半日年休

年休は1労働日を単位とするから、使用者は半日単位で付与する義務はありません

長期療養と休職

私傷病で長期療養にさいし年休取得はできます。一方で、労働義務がないとする休職期間中に年休を請求することはできません

振り替え

労働者が欠勤したあとから労働者の求めにより年休に振り替えることは違法でなく、就業規則にその定めを記載する必要がある

育児休業との優劣

育児休業を後出しで申し出てきた労働者が、先行した年次有給休暇を取り消さない限り、先行の年休が優先され、賃金支払い日となりますブログ者注:休業申し出と計画年休の労使協定締結も同様に、申し出と締結の後先によるでしょう。協定が先なら労働者の取り消しはできず、協定の計画日が優先、ただし協定に計画期間だけがあり具体的に休む日を個別労使協議となるならその協議と育休申し出の後先によることになるでしょう。

ストライキと年休

正常な労使関係にあっての休暇取得ですので、次のいずれでも差し支えありません。

  • ストライキ目的での休暇請求に対し、使用者は拒否すること
  • 年休指定した日に実施されたストに参加した場合、取得を認めないこと
  • スト参加後、その日を年休に振替請求したことを認めないこと、あるいは認めること

解雇(退職)との関係

労働者は解雇予告を受けたら、在職中に行使しないと年休の権利は消滅します

使用者は解雇予告日(最終在職日)を超えて時季変更権を行使できません

ブログ者注:通常の退職における退職日との関係においても同様でしょう。退職者に退職日まで全休されるのをふせぐ最善の対策は、業務を属人化させないで共働対策をとる、業務のマニュアル化および最新化、そして何よりも付与したその年のうちに全部使い切らせることです。事業継続リスクを軽減するイロハを常に志向するにつきるでしょう。

時季変更権の行使

事業の正常な運営を妨げるかは、個別、具体的、客観的に判断します。事由消滅後は速やかにあたえなければなりません。変更権は、労働者の意に反して行使すること、年度をまたいでの行使も可能です。

派遣社員と年休

派遣社員の年休行使対し、時季変更権を行使できるのは、派遣元です。派遣先の事情にでなく、派遣先に代替社員を送り込めない、といった派遣元の正常な運営をさまたげるかで判断することになります

休暇日賃金関係

休暇日の賃金は、就業規則にあらかじめ次の3つの中から選択して規定し、賃金を支払います。

  • 通常働いた時間分の賃金
  • 平均賃金
  • 健康保険の標準報酬日額

平均賃金の場合、日額満額支給であって、6割を乗じることはありません。標準報酬日額を選択するには、事業所ごとに労使協定締結を要します。

通常の時間分の賃金には、時間外割増賃金は含みません。月給者については、所定の労働時間働いたものとして減額しないで所定の賃金を支払えば、休暇日賃金をかさねて計算する必要はありません

変形労働時間制の時給者に支払う休暇日の通常の時間分の賃金とは、各日の所定時間分の賃金です

平均賃金算出にあたって、週払い、月払いのたとえば家族手当、通勤手当が含まれる場合、休暇日賃金から当該手当の1日分相当分を差し引いて支給してよく(差し引く計算は労基法規則19条による)、計算せず2重払いしてもかまいません

平均賃金算定する3カ月間に年休取得日と、休暇日賃金を含みます

通常の賃金と歩合給の関係

法規則25条6項を適用する歩合給総額を総労働時間で除し、1日平均所定労働時間を乗じた額を計算するにあたり、6項中「賃金がない場合」とは欠勤等で労働日が0日で歩合給0円のケースを指します

年休と買い上げ

買い上げを予約し、年休を与えない、もしくは日数を減じることは法違反です

退職にあたって未使用分を買い取ることまでは違法ではないですが、取得抑制をまねき好ましくありません。法定を超える付与日数の未消化分に対しての買取はさしつかえありません。

年休の時効

年休の未取得分は、2年の時効が認められます

繰り越さないと就業規則に定めても、時効にかからない分は消滅しません

入社日に5日、6カ月経過後に残りの5日を付与した場合の時効起算日は、それぞれ付与した日となります

近時の労基法改正で、時効が5年(当面3年)に伸長されましたが、年休権は2年のままです。伸長されたのはあくまで金銭債権ですので、年休行使し、お休みし、休暇日賃金が支払われなくて、はじめて時効3(5)年が適用されます(支払日が改正法施行後の部分から)。

年次有給休暇管理簿

  • 時季(取得日付)
  • (取得)日数
  • 基準日(付与日のこと、付与から1年内に第2基準日もあれば併記)

を労働者ごとに明らかにした帳簿を作成し、3年保存しなければなりません。賃金台帳、労働者名簿と合わせて作成することもできます

(2021年10月2日投稿 2023年9月1日編集)

2020/12/30

年次有給休暇の付与日数

年次有給休暇の付与日数は、正社員(フルタイムまたは週所定30時間以上)、短時間の別に応じ、勤続年数、過去1年間(入社時は6カ月間)の出勤率8割(=出勤日数÷所定勤務日数)を満たす労働者に対し、付与日の雇用契約形態に応じ、付与しなければなりません。前倒しで付与する場合は、前倒しした期間は全出勤したものとして出勤率計算します。なお赤字の日数を付与された労働者は、付与してから1年内に使用者に課せられた最低5日時季指定義務対象となります。


付与日数

通常の労働者(週5日契約労働者、週30時間以上契約労働者を含む)の付与日数(0.5,1.5…は、0年6カ月、1年6カ月…を表します。)

勤続年数(年)0.51.52.53.54.55.56.5
付与日数(日)10111214161820

上記以外の労働者(週4日以下かつ週30時間未満契約)の付与日数

勤続年数(年)0.51.52.53.54.55.56.5
週所定労働日数年間所定労働日数
4日169日~216日10121315
3日121日~168日1011
2日73日~120日
1日48日~72日

年間所定労働日数とは、契約から週所定日数を算出できない不規則勤務の場合に用います。


8割出勤率の計算方法

付与日の前日からさかのぼること1年の期間で出勤率を計算します。勤続6カ月の場合は、その入社半年間で判定します。法定付与日より前倒しで付与する場合、前倒しで未経過期間は、全出勤したものとして算入します。(例:法定付与日7月1日のところ5月1日に前倒し付与する場合、5/1~6/30の間の所定労働日は全出勤扱い)

分子に入れる日数分子に入れなくてよい日分母分子に入れない日分母分子に入れるか入れないかは事業者が決めることができる日
・所定労働日の出勤日数
(遅刻、早退した日も含みます)

所定労働日にあって
・年次有給休暇取得日
・労災で休業した日
・産休育休、介護休業した日
・代休日※
・休日労働した日
・欠勤日
・休職期間
・使用者責めの休業
・ストライキ
・生理休暇ほか
分母に入れる日数分母にいれなくてよい日
・その労働者の所定労働日・所定休日(法定休日を含む)
※代休日は、労働日にあって休んでいい日と使用者が認めた日であって、欠勤した日でない。なお、労働日と休日を事前に入れ替える正規の振替休日であれば、労働日となった日の勤務状況をみる。


(2020年12月30日投稿 2022年12月13日編集)
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2020/01/05

年次有給休暇管理簿

2019年4月施行改正労働基準法、同法改正施行規則において、年次有給休暇管理簿なるものが、労働者名簿、賃金台帳といった重要な労働関係帳簿ではないものの、作成保管義務帳簿として制定されました。使用者に作成義務を課し、期間中に記録し、そして期間後閉鎖して3年保管です。同名の帳簿は従前から任意の様式で紹介されていましたが、法令で記載項目が制定されましたので、ネット検索したものを利用する際は、改正法令準拠の様式か確認する必要があります。

必須の記載項目として

  • 基準日(付与日のこと。付与日から1年経過する前に2度目の付与があればその第2基準日も記載)
  • 日数(上基準日から1年間の取得日数のこと、第2基準日があるならその1年後にいたる日までの取得日数を記載)
  • 時季(取得日付のこと)
管理簿のサンプル
基準日(第1)2022年4月1日(第2)
取得日数2.5日2時間
取得時季(全日)(半日)(時間単位)
4月2日4月3日4月4日(2時間)
4月5日  
   
   
   

太文字は法定項目。青文字は法定記載部分。灰色部分は、時季指定対象外を表します。付与日である第1基準日から1年経過するまでに法定数を新規付与する日を第2基準日として記入し、その日から1年間までを記録します。

前期からの繰越日数、当期の付与日数、次期繰越日数の記載を必須項目としていないことから、この管理簿は保持日数の把握でなく、付与日からの1年間、使用者に課した年5日時季指定義務の履行状況を把握する目的で制定されたものとみることができます。繰越日数等の記載は任意ですが、記載しなくてよいことから前期からの繰越数がない、あるいは新規付与から消化するという根拠にはなりません。

時季指定対象労働者は、施行日以降最初に法定10日以上付与されてからですので、入社日(のあと半年後)基準なら付与の都度、一斉付与基準ならその日全員にて作成です。ただ取得5日義務対象者か否かは、各人ごとに明記されたほうがよろしいでしょう。たとえば、8割未満出勤で付与してなくてもいい労働者に10日以上付与する、パートといった比例付与する場合の、法定は10日未満のところ会社独自に10日以上付与しても義務対象ではありませんから、区分けできる表示が望ましいです。

なお、日数には、半日休暇の回数、時間単位年休の時間数もあわせて記載のことと通達にありますので、時季は、1日単位、半日単位の日付、時間年休の日付と時間数を区分けしての記載をするといった工夫が必要でしょう。利用のたびに、日数は更新されますので、エクセルといったスプレッドシートで作成でしょうか。時間年休は法律上時季指定義務カウントの対象外ですので、別計上にて日(および半日)だけで5日満たしたかの区別も必要でしょう。


労働基準法施行規則
第24条の7
 使用者は、法第39条第5項から第7項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第55条の2において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後三年間保存しなければならない。

第55条の2
 使用者は、年次有給休暇管理簿、第53条による労働者名簿又は第55条による賃金台帳をあわせて調製することができる。

(2020年01月05日投稿 2022年9月3日編集)

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2019/05/03

年次有給休暇時季指定義務の事業主対応

年次有給休暇の時期指定義務をクリアするにはという相談が見受けられるようになりました。

祝日休・振替休日制度のある会社なら、次の方策があります。

休日を減らして指定年休に充てる必要はなく、たとえば今度の祝日休(例えば7/15)を、同一週の平日労働日(同7/19)と振替出勤命令を発令します。

休日となった元労働日(7/19)は、休日出勤命令し、労働日となった祝日(7/15)は、随意で年次有給休暇をとっていただいてかまわない、と申し渡します。ただしその日休場完全閉鎖の事業場なら、計画年休としての労使協定は必要です。またいずれの休日出勤日も125%または135%賃金支払いとなるなら、その休日出勤日(7/19)は、その料率の割増賃金支払いが必要です。

遊軍的な労働者を雇えない、業務効率化して生産性を上げられない会社は、この手の人件費出費にたえられないなら、どうぞ倒産廃業してしまってくださいという政策が発動されたということです。労働者を失業者にして労働者不足になやむ業界に供出してくれたらそれはそれで経済は循環し、めでたしめでたし。倒産してしまった会社を使っていた企業は、いやおうなしに手間賃上乗せしてでも代替企業を探すしかなく、利子率は上昇していきます。

(2019年5月3日投稿・2021年5月25日編集)

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2018/10/21

年次有給休暇の時季指定義務(規定例)

就業規則の規定例が出てましたがちょっと簡易すぎるので、考案してみました。例は、厚労省モデル就業規則をベースにしています。

規定例はじめ===>

9 第1項または第2項により10日以上の年次有給休暇を与えられた労働者は、与えられた日より1年内に努めて5休暇日以上取得しなければならない。

10 会社は年次有給休暇管理簿(以下「管理簿」という)を作成し、付与日、付与数、取得日、取得数を記録するものとする。前項の付与して6カ月経過後、第4項の計画年休で取得させる日を含めても取得数が前項の規定の数に達していない労働者とその上司に対し、会社は管理簿の情報を提供する。提供を受けた労使は協議して前項の残り期間内に不足数に見合う取得する日を決めるものとする。

11 第9項の期間が残り3カ月に達しても、前項の取得が進んでいない者に対し、その上司は、不足数にあたる日を指定して、休暇させるものとする。指定する日は労働者の希望にそった日とし、指定された労働者は従わなければならない。

===<規定例おわり

一斉付与を規定している就業規則ですと、ダブルトラックについても規定せねばならないでしょう。そうなると、百社百様ですので、どこに穴があいていないか、専門家にあたってもらうことも必要です。逆にダブルトラック期間中の比例按分した日数を採用しない場合、原則の法定10日付与した日からの1年で5日をそれぞれの期間にカウントをします。1年経過しない前にあとから付与して生じた重複期間中に取得した分は、いずれの期間の実績にも加味できます。

第1基準日   取得実績 計5日(◇◇◆◆◆)  
▼4月1日翌年3月31日▽  
 2日取得 ◇◇3日取得 ◆◆◆ 1日取得 □ 
  ▲10月1日翌年9月30日△
  第2基準日  取得実績 計4日(◆◆◆□)

2018年10月21日投稿 2023年12月9日編集

参考サイト

モデル就業規則

今回の法改正にまつわるパンフ等

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2018/01/28

計画年休 運用上の論考

計画年休の詳細はネット上随所に解説されていますのでそちらを参照ください。ここでは、労使協定締結と時季指定権・時季変更権のかかわりや運用についての論考です。

計画年休の設定で、労使協定を要求(労基法39条6項)していますが、なにが労使協定特有の免罰効果があるのかというと、労働者・使用者双方にみとめた形成権(時季指定権・時季変更権)をはく奪しているからです。そして数ある他の労使協定と違うところは、実際の計画年休日を指定して労働者に権利義務を附帯する労働契約の一面をもちあわせています。他の労使協定には見られない特質です。

さて本題、計画年休日が到来して、5日しかもってなかった人がいたら、という質問をよく見かけます。

心配いりません。計画日にでなくその労使協定を締結した時点で、協定した計画年休日数分につき労働者の付与日数を減じることができます。減じて5日を割り込まなければいいのです。

一方で締結日には、5日+計画年休日数以上もっていたのに、計画日に5日割り込んでいたけど、特別の有給休暇あたえなければなりませんかという質問があります。先に述べたように、協定締結時点で労働者が保持する保有日数から5日残して計画日数分消滅します。ですので締結日から計画日までの間に、残りの保持日数を消費してしまっても、計画日においては消滅させた日数からあてがいます。

計画年休日到来前に消化しきった、というのは、日数管理のミス、といことになるでしょう。協定制定例にあるように、出社いただくか、特別の有給休暇付与することとなるでしょう。

具体例をあげていきます。

例)協定の年間計画日数 7日

締結日において

保持日数   消滅日数   消滅後の保持日数
 7日の人  2日消滅    5日保持(5日不足)
10日の人  5日消滅    5日保持(2日不足)
12日の人  7日消滅    5日保持
14日の人  7日消滅    7日保持

次に計画日が到来したら、締結時に消滅した休暇日をあてがいます。あてがいつつ不足していた人については、次の計画日と新規付与日の後先で次のように決せられます。

計画日が先:協定に記した「特別有給」「事業主責めの休業手当」「出社させて労務提供」といった措置
新規付与日が先:不足分が充当される。ただし最低5日を割り込めない。


毎年付与日を統一してする一斉付与のタイプですと、計画年休協定も同時に締結し、管理上計画日数分減じておくのが望ましいです。


いずれにせよ、計画年休日が到来する前に退職する人は、未到来の計画年休日数も休めることができますので、注意が必要です。

計画年休の労使協定は、他の労基法で定める労使協定とは意味合いが異なります。労使協定とは、違法行為に対し、要件をそろえば免罰される効果を生み出します。しかし協定だけでは、労使間になんらの権利義務は生じず、別途就業規則、労働協約による規定を必要とします。たとえば36協定だけでは、使用者の違法行為(法定労働時間を超えて労働を命じること)に対し、司法官憲の取り調べを免れるだけで、労働者には、時間外労働命令に従う義務は生じません。協定とは別途就業規則等の定めを必要とします。

しかし、この計画年休の労使協定にあっては、協定にとりきめた計画日において、労働者の時季指定権はく奪する(違法行為への免罰)だけでなく、その日において休むませるという拘束力も生じています。その点が、他の労使協定と違いがあります。


(2018年01月28日投稿、2021年10月2日編集)

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