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2024/01/15

行政サービスとしての労働相談

労働基準監督署、ハローワーク(略してハロワ、正式には公共職業安定所)の上部組織として都道府県ごとに労働局があり、これらは国、厚生労働省の出先機関です。労働基準監督署というところをまちがえて労働基準局という回答をみかけますが、こちらは厚生労働省の一部局で労働局以下を指導監督する部署です。

さらにややこしいのは、都道府県ごとに雇用労働を取り扱いする部局があり、さらに労働委員会という行政組織も都道府県ごとに設けられています。労働委員会は労働組合と事業者の間を取り持つ機関で、行政サービスとして労働組合がかかわらない個別労使紛争をあっせんするサービスをおこなっているところもあります。労働委員会の上部組織は、中央労働委員会になります。一方県庁組織のほうは、産業振興としての労働雇用推進が主眼で、労働相談を受けているところもあります。こちらは国とは関係のない、都道府県庁の一部門 です。

労働相談受け付ける県庁組織や労働委員会は労働問題に詳しいですが、取締り機関でありませんので、はなから事業者取締り処罰を指向するなら、司法警察官たる労働基準監督官がいる労働基準監督署をお訪ねください。

このほか民間でも、労働相談やあっせんをとりもつ組織があります(例:社会保険労務士会等)。昔にくらべ、労働者の困りごと解決の道は、多種多様にアクセスできるようになりました。もちろん例外もあるかもしれませんが、事業者からの労働相談も受け付けています。

全国の県庁のなかでも特筆できるのは、東京都庁の労働法・就業規則に関する資料、神奈川県庁の労働問題対処ノウハウ集でしょう。内容充実しています。

今後もこの手のサービス見かけたら、紹介したいと思います。

(2024年1月15日投稿)

2024/01/01

36協定のチェックボックス

働き方改革法で新様式になった36協定にチェックボックスが設けられたのは、ご存じのとおりです。それから1度マイナーチェンジされて、もう2種類のチェックボックスが追加されました。これとは別に届け出に届出者印鑑押印不要となりました。ただし、協定届書様式でもって協定書に代替する場合は、労使で協定締結した証としての署名、または記名押印が必要です。


今回は、チェックボックスについてです。

上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。□(チェックボックスに要チェック)

これは、36条6項にもうけられた、協定事項そのものでなく、個人ごとの労働時間管理に関する条文です。法定休日労働を含む時間外労働が、単月、複数月平均の上限を設けたもので、協定時数内であっても、この上限に達しまたは超えることができません。これは、特別条項をつけない一般条項だけの様式にも設けられています。これにチェックいれない協定届は全体が無効になります。なお、36協定の有効期限をまたいでも6カ月にわたる期間内すべて計算となり、転職してきた労働者にも過去5カ月の労働時間数を自己申告いただくなりして、計算に乗せることになります。

次に、協定当事者、労側の資格についてのチェックボックスです。2種類あります。(引用内の符号 A B はブログ筆者が振りました。)

目をとおせばわかるのですが、事業所過半数組織労働組合が当事者になる場合は、(A)のチェックボックスだけにしるしを入れればよく、(B)はブランクでかまいません。後者は、事業所過半数組織労働組合がない事業所で、労働者過半数の信任を得て代表となる人の資格についてのチェック項目です。ここにしるしを入れてしまうと、過半数組織労働組合が、そうでないのに事業所内に半数以下の組合員しかいないことを自任してしまうことになります。

項目過半数組織労働組合労働者過半数代表
(含む半数以下労組が代表として選出)
上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること。□(チェックボックスに要チェック)
上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。□(チェックボックスに要チェック)
(ブランク)

(2024年1月1日投稿、2024年5月8日編集)

関連資料

押印原則の見直しQ1-6参照

関連記事

猶予事業の36協定 

36協定における休日の限度時間 

月間時間外集計 

2カ月ないし6カ月平均 

36協定に書く数字 

時間外労働のカウント 

労働者過半数代表 

2023/06/11

労働審判雑感

労働審判を在職中3回ほど経験させていただきました。3回とも労側からの訴えで始まったものの、みな雇用主側が満足する結果に落ち着きました。そこで労側に訴えられる雇用主サイドからみた雑感を書き残しておきます。

訴えられた場合、こちらの準備期間は正味1か月あるかないかです。顧問弁護士がいればいいですが、いなければ受件してくれる弁護士を早急に確保せねばなりません。相手は、準備に数カ月かけて申立書を立案できますが、訴えられたこちらはそうはいきません。第1回期日はきめられておりその1週間前だか答弁書を送付しておかねばならないからです。これが正味1か月あるかないかの正体です。

訴えられるかにかかわらず問題社員をかかえるのは、雇用主にとっては向き合わねばならないリスクですが、対策はないわけではありません。ともかく普段から克明に記録を取っておくことです。日時場所天候、その日その日どういう仕事をさせたか、労働者の言動、対する使用者の教育指導、誰がかかわっていてなにを言いきかせ、そのリアクションがどうだったか、その後の効果の有無までみっちり記録しておくことです。こういった記録を残してあれば、相談を受けた弁護士も勝ち筋を見いだせやすいでしょう。

送られてきた申立書にあることないこと書かれてあるものです。訴える弁護士も労働者の言い分だけから、訴状に書きやすい部分を、定型文におとしこんで作文書面にするのでしょう。だいたい問題社員は、勤務部署でも上司同僚と衝突しがちで、コミュニケーション力に疑問符がついてます。上司同僚側に問題あるなら別ですが、当の本人に問題があるのに、自身に問題があるとは自覚してないので、そこがなかなか厄介なのです。当然、受件した労側弁護士も当人との意思の疎通が成立しているのか、申立書を読んでみても垣間見えます。訴える労側に塩を送ることになりますが、送付前の作文された申立書を読んでみて、ここは違う、こうだとしっかりと、受件してくれる弁護士とやりとりされることです。無いことをさも有利に書いてもらって、結局反論で足すくわれるのはあなたなのですから。

使用者側に話を戻します。答弁書も、記録をもとに回答作成していきます。矛盾点があれば丁寧に指摘しておきます。業務で当人と接触したことのある顧客や外部の関係者に協力してくれるなら、当人との接触体験を書面にしてもらいます。申立書も定型文からのコピペがあるので、期日の審判員たちは労側の申立を一方的にうのみにすることはないです。先に書きましたがこちらの筋の通った裏付けのある答弁書を読んでもらえたなら、労側訴えに眉唾して双方の訴えを聞き分けてもらえます。審判の席でもこちらに非がなければ、問題のある社員をかかえて困っているのだと淡淡と堂々としていればいいです。なにかにつけ逆上あるいは居丈高な態度は、かえってこちらの非のある何かを隠したいと思われてしまいます。

当日は、地方裁判所の玄関ロビーに、事件名、開始時刻と審判場所が掲載されています。指定の階の受付をすますと相手方と接触しないよう、審判室をはさんで別々の部屋で何組かの当事者と待機します。訴訟とことなり審判は非公開です。当事者以外傍聴されることはありません。順番が回ってきたら、労側、使用側交互にこれまた接触しないよう審判室によばれ、それぞれの言い分を聞きます。20人くらいは向き合える大きな丸テーブル正面に本職裁判官の審判官、その両側に労側使用者側の経歴をもつ審判員が1名ずつ座っています。答弁書の内容について尋ねられ、いったん退室し待機し、どこまでゆずれるかも聞かれます。そうしたやり取りを何度か繰り返し相手方の希望でか、審判室で相手方とはじめて対峙します。

審判員から審尋があり双方回答し、または主張し、審判員からの提言で折り合えば、その内容を記した審判調書が作成されます。折り合わなければ、その地裁が抱える件数によるのでしょうけどおおよそ1カ月後の第2回期日が指定され、それでも折り合わねば第3回期日と進み、そこでも折り合わなければ審判委員3人の審判書が作成されます。それに対しては一方、または双方異議あるなら、審判は失効し本訴にすすむのでしょう。体験させてもらった審判では3回まですすんだことはありますが、調停成立となり内容的には労側のでっちあげを認めてもらえ、満足な結果となりました。

労働者と雇用主の間の個別労使紛争解決の場で、件数は圧倒的に労側利用ですが、使用者側からも申立できます。おかげで解雇社員のいすわる社宅立ち退きを期限を決めて調書にしてもらえたのには、金銭解決オンリーと思い込んでいただけにそこまで効力をおよぼせるのかとおどろきでした。ほどなく退去していきました。確定していない審判と違い、成立した調停は強制力があるとききます。あと付加金対象の申立ですと、本訴に移行してもいいように、申立書に予備的に書き込んでおくことだそうです。審判で決着した場合は日の目をみませんが、本訴に移行する際、追加できないとか。

(2023年6月11日投稿、2023年11月11日編集)

参考サイト
裁判所 労働審判

2023/06/08

官製ブラックリスト

厚労省(労基署)がブラックリストを公表するとひところ話題になったのですが、その内容のほとんどは、労災事故でヘルメットを着用させてなかったといった労働安全衛生法違反です。毎月更新して掲載されており、この掲載件数が毎月の新規案件なら労基署頑張ってるね!と言いたいのですが、1年掲載つづけるというので新規件数は掲載数の12分の1相当となり、ちょっとがっかりです。

労安衛法違反以外では最低賃金法違反が目立つくらいで、労基法違反はほとんどないです。でもこの程度でも立件送検するという労基署の本気度を知ってもらいたく、案件をピックアップします。転載でなく内容デフォルメしてありますので、個別詳細は 厚労省サイトをごらんください。

  • 雇入れに際し労働条件の書面を交付していなかった(15条違反)
  • 即日解雇に予告手当を支払わなかった(20条違反)
  • 労働者1名に賃金1か月分を支払わなかった(24条違反)
  • 労働者複数名に36協定を超える時間外労働を行った(32条違反)
  • 労働者1名に36協定を超える休日労働を行った(35条違反)
  • 労働者1名に月100時間以上の時間外休日労働を行った(36条違反)
  • 労働者1名に割増賃金を支払わなかった(37条違反)
  • 監督官に虚偽の報告をした(104条の2違反)
  • 法定帳簿に遅滞なく記載しなかった(108条違反)
  • 賃金台帳に虚偽の労働時間を記載した(同)
  • 労働者名簿等法定帳簿を保管していなかった(109条違反)
  • タイムカードを保管していなかった(同)

こちらはちょっと毛色のかわった事件です。

  • 4日以上の労災休業事故があったのに死傷病報告を遅滞なくなさなかった(安衛法100条違反)
  • 同虚偽の報告をした(同)

掲載場所が、長時間労働対策のページです。掲載場所に恥じない取り組みを監督官にはお願いしたいものです。

(2023年6月8日投稿)

2023/04/19

労働関係書類の保管期間

令和2年の法令改正で、改正民法にあわせ労基法の時効が2年から5年(当分3年)に延長されました。その案内Q&A中に、保管義務をさだめた書類である「その他労働関係に関する重要な書類」の一覧が示されました。

 種類書類例保管起算日
労働者名簿労働者の死亡、退職、解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日※
雇入れに関する書類雇入決定関係書類、契約書、労働条件通知書、履歴書、身元引受書等労働者の死亡、退職、解雇の日
解雇に関する書類解雇決定関係書類、解雇予告除外認定関係書類、予告手当または退職手当の領収書等労働者の解雇の日
災害補償に関する書類診断書、補償の支払、領収関係書類等災害補償を終わった日
賃金に関する書類賃金決定関係書類、昇給・減給関係書類等書類記入完結の日※
その他労働関係に関する重要な書類出勤簿、タイムカード等の記録、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類(使用者自ら始業・終業時間を記録したもの、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書)、労使協定書、各種許認可書、退職関係書類、休職・出向関係書類、事業内貯蓄金関係書類等書類記入完結の日※

上記のほか、保管期限が同様に延長される書類として、次の書類があります。

⑧時間外・休日労働協定における健康福祉確保措置の実施状況に関する記録(則第17条第2項)
⑨専門業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録(則第24条の2の2第3項第2号)
⑩企画業務型裁量労働制に係る労働時間の状況等に関する記録(則第24条の2の3第3項第2号)
⑪企画業務型裁量労働制等に係る労使委員会の議事録(則第24条の2の4第2項)
⑫年次有給休暇管理簿(則第24条の7)
⑬高度プロフェッショナル制度に係る同意等に関する記録(則第34条の2第15項第4号)
⑭高度プロフェッショナル制度に係る労使委員会の議事録(則第34条の2の3)
⑮労働時間等設定改善委員会の議事録(労働時間等設定改善法施行規則第2条)
⑯労働時間等設定改善企業委員会の議事録(同第4条)

今回の労基法改正で、賃金債権が2年から当分3年に延長されましたが、関係書類の保管期間は元から3年でしたので、実質延長は、賃金債権にからむ起算日に関連して、次の書類の記入完結の日よりも、その書類にかかる賃金支払日がおそい場合は、賃金支払い日が保管期限の起算日となる変更となります。たとえば、3月20日締め3月中に記入完結しても、4月10日支払なら、後となった支払日が起算日です。

②賃金台帳
⑥賃金に関する書類
⑦その他労働関係に関する書類
⑨~⑯(上記参照)

出典:改正労働基準法に関するQ&A(令和2年4月1日)

(2023年4月19日投稿、2024年1月9日編集)

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/05/03

法律の改正作法

 日本の法律はおよそ1900あるといわれています。国会の両院で審議され幾多の法案が法として成立し公布されていきますが、六法全書にかかれているような状態であるのは、制定されてから1度も改正されてない場合です。全面改正(旧法を廃し、新法を制定する)をするのでなければ、改正法は下記の表のような条文構成をとっています。溶け込み方式とも呼ばれ、見る人が見てもどこが改正されるのか、まったくわかりません。これをはじめて官報で見たときは、コンピュータープログラムのアップデート、現プログラムのどの位置のどの部分をどう書き換える(マージとかいいます)命令のかたまり、プログラミング言語そのものだと思いました。既存の法律を、別の法律で書き換えを命じる、そういう力関係にあるのでしょう。

労働基準法は昭和22年に制定公布され、その後幾多の「労働基準法の一部を改正する法律」という名の法律、または他の改正法の附則などに書かれているのを含めると、50はくだらないのでしょう。イメージで言うと昭和22年制定「労働基準法」+「労働基準法の一部改正する法律」+「労働基準法の一部を改正する法律」+「…」という約50個の法律を束ねた形が現行の労働基準法本来の姿です。六法全書で見かける現在形の「労働基準法」という法律文の状態ではありません。全書を編纂する出版社が、「一部改正法」が出るたびに、現在形の法律文を書き換えて次年の全書に掲載出版しているのが実情です。中には公布したが施行していない改正法を改正する「…法の一部を改正する法律の一部を改正する法律」といったものも(あるいは他の改正法の1条項として組み込み)でてくる始末です。

この溶け込み式をやめて新旧対照表の形でだそうという動きもあります。改正省令公布では見うけられますが、法案としては添付参考資料にとどまっています。

甲乙法の一部を改正する法律

第1条 甲乙法(昭和 年法律第〇号)の一部を次のように改正する。

  第〇条中「ABC」を「ADC」に改める。

  第□条第1項中「BCD」を削る。

  第n条を第n+1条とし、第n-1条の次に次の1条を加える。

  第n条 ASD…。

  第△条第m項を削り、第m+1項を第m項とする。

  第◇条第1項中、「
 
」を「
 
」に改め、「
 
」を削る。(※)

第2条 …

附則

第1条 この法律は公布の日から施行する。ただし第2条の規定は、公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

※:ボックスは、条文中表形式を用いる場合の例示です。また、行頭の高さ(官報は縦書き)位置も変更関係をあらわす重要な要素ですが、下記対照表を含めここでは踏襲していません。


甲乙法(昭和 年法律第〇号)一部改正の新旧対照表の例

  (参考:アンダーラインの引き方等、独自のルールがあるようです。)

改正後改正前

第〇条 ADCEFG。

第□条 HIJ、KLM。

第n条 ASD…。

第n+1条 NOPQ。

第△条 RSTU。

   (削る)

   ZZZ。

第◇条 (以下略)

第〇条 ABCEFG。

第□条 HIJ、BCDKLM。

   (新設)

第n条 NOPQ。

第△条 RSTU。

   VWXY。

m+1 ZZZ。

第◇条 (以下略)

最後に、昭和22年制定の労働基準法には、条番号はありますが、項番号はありません。行頭をさげて、あたらしい項をあらわしている形になります。六法全書の凡例と照らし合わせてみてください。

(2022年5月3日投稿、2023年11月18日編集)

関連記事

労働法関連の改正時期一覧 

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2021/10/09

労働法関連の改正時期一覧

労働関連法規の改正時期の一覧です。改正法が施行された時期はわかった範囲で追加します。労働法の回答をしていると、いつから施行になるのか、なったのかを押さえておかないといけないことがままあります。

労働基準法
公布時期内容施行時期
R5/3/30
  • 雇入れ時交付書面記載事項
  • 裁量労働制の拡充
( 施行規則変更による。交付書面裁量労働制
R6.4.1
R2/3/31
R2.4.1
H30/7/6
  • 年次有給休暇の年5日使用者への時季指定義務
  • フレックスタイム制の清算期間3カ月拡張、総枠時間の例外労使協定化
  • 高プロ制導入
  • 36協定の時間外協定限度時間数の法定化、休日労働を含め絶対上限時間の設定(中小企業R2.4より適用、建設、自動車運転、診療医師、新製品技術開発はR6.4より一部適用)
  • 時間外月60時間5割増し賃金の中小猶予廃止(同R5.4より適用)
H31.4.1
H24/10/26
  • 有期雇用契約締結時における更新の有無および判断基準の交付書面への記載が、法令上の義務に
(紛争防止基準から施行規則へ移行による変更
H25.4.1
H20/12/12
H22.4.1
H19/12/5
H20.3.1 
H18/6
  • 女性の坑内労働禁止ほか緩和
 
H15/7
  • 有期雇用の期間上限1年を原則3年(例外5年)に延長
  • 1年超契約の1年経過後任意即日退職を可能
  • 大臣告示として有期雇用の締結更新雇止めの基準
  • 解雇濫用法理、解雇事由明示
  • 就業規則に解雇事由明記
  • 裁量労働制の改正
H16.1.1
H11/12
  • 中央省庁改革により労働大臣を厚生労働大臣に変更
 
H10/9
  • 契約期間の上限
  • 労働条件の明示
  • 退職証明に退職事由を追加
  • 変形労働時間制の整備
  • 労使協定により一斉休憩解除
  • 時間外労働の限度時間の基準
  • 企画型裁量制と労使委員会
  • 年次有給休暇、2年6カ月超えて2日逓増
  • 就業規則の別冊制限の撤廃
  • 周知義務に労使協定労使委員会決議をくわえる
  • 8条の業種列記を別表へ
H11.4.1
H9/6
  • 多胎妊娠の産前休を10週から14週に延長
  • 女性の時間外休日深夜労働の見直し
 
H5/7
  • 一部猶予を除き週40時間完全実施(H6/4)
  • 1年単位の変形労働時間制の導入
  • 割増賃金率を政令で決める
  • 裁量労働制の対象業務を省令で定める
  • 年次有給休暇制度 初回勤続6カ月に短縮
  • 同 出勤率において育休を出勤扱い
 
H3/5
  • 育休法制定により育休期間の平均賃金計算の期間賃金控除
 
S62/9/26
  • 法定労働時間の短縮(週40時間へ順次短縮)
  • 各種変形労働時間制の導入
  • 事業場外、裁量労働制
  • 年次有給休暇制度の改正(6日から10日へ)
  • 短時間労働者への比例付与、計画年休、不利益取り扱い禁止
  • 通貨以外の賃金支払
  • 退職手当の就業規則記載、時効を5年に延長
S63.4.1
S60/6
  • 女子保護規定の見直し
S61.4.1
S51/5
  • 雇入れ時賃金の明示が書面交付義務となる
 
S47/6
  • 労働安全衛生法の制定により、43条から55条を削除
 
S40/6
  • 労災保険法の大幅改正により労基法との関係を整理
 
S34/4
  • 最低賃金法の制定により28条~31条を削除
 
S33/5
  • 第7章技能者育成の規定が、職業訓練法にとりこまれる。
 
S27/7
  • 社内貯金、賃金控除、年次有給休暇賃金の労使協定方式を取り入れる。
 
S22/4/7

労働基準法公布

S22/9/1(一部11/1)
制定前
  • M44 工場法 制定 T5施行
  • M38/7 鉱業法施行
  • T11 健康保険法制定
  • S13 商店法制定
 
労働契約法
公布時期内容施行時期
H30/7/6
  • 不合理労働条件の禁止を、パート有期労働法に移記(働き方改革法による)
R2.4.1
H24/8/10
H25.4.1
H19/12/5

労働契約法公布

H20.3.1
高年齢者雇用安定法
公布時期内容施行時期
R2/3希望者を70歳まで働ける就業の場提供を努力義務とするR3.4.1
H24/9/5原則希望者全員の65歳までの雇用を義務化。例外措置として施行前に締結してあった労使協定があれば、厚生年金報酬比例部分支給開始年齢にあわせ引き上げることで選別適用可能に。義務違反企業名公表H25.4.1
H16これまで努力義務だった65歳までの雇用確保措置の段階的義務化(厚生年金定額部分支給開始年齢引き上げにあわせる(施行当時62歳))。例外措置として労使協定締結で、選別条件設定を可能に。締結不調でも、施行後3年(中小は5年)間就業規則での規定化を可とする。H18.4.1
H1265歳までの雇用確保措置を努力義務化
(参考)公的年金制度の改正。2013年度から2024年度にかけ厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げる(女性は5年遅れ)
H12.10.1 
H660歳未満定年制を禁止。努力義務だった60歳定年の義務化が始まる。
(参考)公的年金制度の改正。2001年度から2012年度にかけ厚生年金の定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳へ段階的に引き上げる(女性は5年遅れ)
H10.4.1
H1定年後65歳までの雇用継続の努力義務が新設 
S61「中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法」を全面改正した「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(「高年齢者雇用安定法」)により60歳定年が努力義務にS61.10.1
育児介護休業法
公布時期内容施行時期
R3/6/9
  • 有期雇用の取得要件緩和
  • 育休取得の個別勧奨周知の努力義務から義務化(以上R4.4.1施行)
  • 出生時育児休業の創設(出生8週内に4週以内の休業
  • 育児休業の分割取得可能に(前項を除き2回可能)
  • 休業申し出2週前に短縮
  • 休業延長の開始日要件緩和
  • 休業中の就業可能に
  • 育休取得の個別勧奨周知の努力義務から義務化へ
  • 取得状況の公表義務付け(対象1,000人超企業R5.4.1施行)
R4.10.1
R1
  • 子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得が可能
  • 同 全労働者の取得が可能
(施行規則改正による)
R3.1.1
H29/3/31
  • 育休最大2歳まで延長可能に
  • 育休取得の個別勧奨周知の努力義務
  • 未就学児の育児目的休暇設置の努力義務
H29.10.1
H28/3/31
  • 93日の介護休業3分割取得を可能に
  • 子の看護休暇・介護休暇の半日単位を可能に
  • 介護短時間勤務を利用開始3年内2回取得可能に
  • 介護の所定外労働免除の新設
  • 有期雇用の育児休業・介護休業取得要件の緩和
  • 特別養子等育児休業の対象に
  • マタハラ等防止措置の義務化
H29.1.1
H21/7/1
  • 3歳までの短時間勤務制度制定義務化
  • 未就学複数児の子の看護休暇10日
  • 1歳2カ月までのパパママ育休プラス
  • 8週までの父育休再度取得可能
  • 子の擁護者のいる育休取得不可の廃止
  • 介護休暇の新設
H22.6.30(100人以下企業H24.7.1)
H16/12/8
  • 有期雇用者に適用
  • 育休期間の1歳半まで延長
  • 子の看護休暇義務化
H17.4.1
H13/11/16
  • 時間外労働の制限
  • 短時間勤務制度措置(3歳未満まで伸長)
H14.4.1
H7/6/9
  • 介護休業をとりこむ
H7.10.1
H3/5/15

育児休業法制定

  • 育休1年
  • 短時間勤務制度措置(1歳未満)義務化
H4.4.1(30人以下企業H7.4.1)
S61
  • 勤労婦人福祉法が男女雇用機会均等法に
 
S47
  • 勤労婦人福祉法 育児休業等育児に関する便宜の供与の努力義務
 

  育児休業法に関する厚労省サイト

(2021年10月9日投稿 2024年3月1日編集)

関連項目

労働者派遣法の沿革 

雇用保険制度の沿革 

古いままの就業規則 

労働契約法の変転 

2021/03/15

契約と実際

労働相談や労働法の理解を困難にしている原因のひとつについて、考察してみます。

雇用(労働)も契約の一形態です。労働者は労務を提供し、使用者は「実際」働いてもらった働きに対価を支払う、ということを「あらかじめ」取り決め意思の合致することで、契約が成立します。

この「あらかじめ」「所定」「契約」という概念と、それにしたがって労務が提供され賃金が支払われる「実際」とが区別されることなく相談がなされ、それに応じてどちらともつかない回答がみられます。たとえば「振替休日」と「代休」を混用している人にとって、両者の違いが理解できないのもその表れです。前者は契約の変更であり、後者は働いたのちに発生する権利(使用者にとっては義務回避)についての制度です。休日と休暇の違いが理解できないのもその一端でしょう。

この両者の混用混同の極みは、「働き(労働者の義務)」なのか「賃金(使用者の義務)」なのかでも見られます。

たとえば「固定残業制」や「割増賃金」の相談がそのいちばんいい例でしょう。相談者は残業代の相談なのに残業時間で相談し、回答者は回答者で残業代の回答になっていて、両者の混乱に拍車がかかっています。時間外労働と代休とでは時間の相殺はできず、相殺できるのは賃金においてであって、支払うものは支払い、控除するものは控除して、賃金相殺することになります。賃金控除したからといって休日・時間外労働させた時間も同等に控除されることはありません。休日・時間外労働させた事実は残ります。

質問者さんは、結んだ契約の相談なのか、契約に応じて提供した労働の相談なのか、はたまた使用者が結んだ契約にそって賃金支払いに応じてくれてない相談なのかしっかり区別して相談されてください。そうして回答者も相談内容が所定なのか実際のことをさしての相談なのか不明ならそれを質問者に問いただし、相談内容を取り違えないよう回答することが望まれます。

労働法の勉強をされるかたも、契約なのか実際なのかしっかり区分けされて学習されてください。

(2021年3月15日投稿、2021年5月1日編集)

2018/08/14

労基法の事業所区分

労基法8条は削除になっていますが、前は別表1の産業分類が載っていました。時代の進展とともに、どの号に属するのかわからないことがおおいのですが、加筆してみます。

別表第一(第三十三条、第四十条、第四十一条、第五十六条、第六十一条関係)

一 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)

・清酒製造のうち瓶詰包装部門、精米部門(杜氏の指導なし)

・歯科技工所(歯科医院外)

・学校給食

・鉄道車両工場

・農林水産業の併設加工所

・新聞社印刷部門

・障害者補装具作成

・点字出版

・電力会社営業所(現業部門をもつもの)、発電所

・遭難船サルベージ(引上、解体)

二 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業

三 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業

・鉄道工事事務所

・電力会社工事建設部門

四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業

・鉄道本社、駅、電気、保線区、車両点検

五 ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業

・運送会社(独立して4号を行う事業所を除く)

・電力会社資材センター

六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業

・清酒製造のうち醸造部門、精米部門(杜氏の指導下)

八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業

・卸・小売り

・散髪店、美容院

・倉庫、不動産管理

・出版業、新聞社(印刷部門を除く)

九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業

十 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業

十一 郵便、信書便又は電気通信の事業

・テレビラジオ放送

十二 教育、研究又は調査の事業

十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

・病院、医院、診療所、接骨院

・保育園、老人介護福祉施設

・銭湯

・障害者学校の寄宿舎

・社会福祉施設

十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業

・ホテル、飲食店

・列車食堂(含む車内販売)

・ボーリング、ゴルフ、結婚式場、保養所、公園遊園地

十五 焼却、清掃又はと畜場の事業

いずれにも属さないもの

・電力会社本店、支店、支社

・警備会社の本社、支店、営業所

・社会福祉施設授産所

(2018年08月14日投稿)

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