2022/12/13

自己都合か、会社都合か

ハロワサイトに掲載されている特定受給資格者、特定理由離職者の範囲を一覧表にしてみました。いわゆる会社都合退職と言われているのは、「Ⅰ.」「Ⅱ.1」(当面※)です。

  項目詳細 / 例示対象外
Ⅰ.特定受給資格者の範囲
1倒産等による離職
 (1)倒産等破産、民事再生、会社更生、手形取引停止等 
(2)大量離職再就職援助計画申請 
(3)事業所の廃止再開見込みのない事業活動停止を含む 
(4)事業所の移転による通勤困難(概ね往復4時間以上) 
2解雇等による離職
 (1)解雇 重責解雇
(2)雇入れ時に明示された労働条件の著しい相違 
(3)賃金遅配2カ月連続、または半年間に3回遅配額が1/3以下
(4)賃金低下85%未満に低下した場合低下が予見可能であるもの
(5)過重労働離職前6カ月間に
・連続3カ月45時間以上
・1か月100時間以上または連続する2カ月以上平均80時間以上
・行政指摘による健康障害防止措置を講じなかったために離職
 
(6)産休育休介護休等の不当な利用制限により離職した者 
(7)職種転換に際して必要な配慮(研修等)を受けられずに離職した者 
(8)3年以上の有期雇用者への不更新 
(9)更新(延長)確約のある有期雇用者への不更新本人更新希望していない場合
(10)各種ハラスメントに対する雇用管理上の措置が講じられなかったために離職した者 
(11)退職勧奨・直接の勧奨
・人員整理等退職募集(募集期間3カ月以内)
常設の早期退職優遇制度
(12)3カ月以上にわたる使用者責めの休業 
(13)法令違反業務を理由に離職 
Ⅱ.特定理由離職者の範囲
1有期雇用期間満了し、更新がないことによる離職(更新確約はないが、更新する場合があるケース)※本人更新希望していない場合
2正当な理由のある自己都合離職
 (1)体力減退、心身障害、疾病負傷等 
(2)妊娠出産育児等で離職し、給付期間延長した者 
(3)父母の死亡疾病負傷等で、家庭事情急変による扶養義務履行によりやむを得ず離職した者 
(4)配偶者、扶養親族との別居生活継続困難により離職したもの 
(5)通勤不可、または困難者・結婚による住所変更
・育児による保育所、親族への保育依頼
・事業所の通勤困難地への移転
・自己の意に反する転居(住居立ち退き、天災被災等)
・公共交通期間の廃止、運行時間変更
・転勤(出向)命令による別居の回避(配偶者側を含む)
・結婚転居で離職から転居までひと月超える場合
(6)Ⅰ.2(11)に該当しない人員整理に応じた離職 

表に転記するとき、簡略・言い換えした部分が多分にあります。また随時内容の見直しが行われています。ご自身の退職のいきさつ境遇があてはまるかは、ハロワーが個別に両方の言い分等をもとに判断します。そろえる裏付け書類(就業規則、給与明細、出勤簿、通勤関連は時刻表等)に何が必要かはハロワーに照会ください。

※:離職の日が平成21年3月31日から令和7年3月31日までの期限付き暫定措置。到来のつど延長されてきました。


(2022年12月13日投稿、2023年5月27日編集)

出典

ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

同 判断基準

参考記事

特定受給資格者、特定理由離職者 

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/12/08

年次有給休暇の取得率計算

各種労働統計調査で年次有給休暇の平均取得数や取得率を問われる機会があります。定義があいまいだからでしょう、それにまつわる質問をちらほらみかけます。

労働者に付与してから、労働者が取得するわけですが、一斉付与ならともかく、法定通りの各自付与(入社日基準等)の付与日はばらばらで、さらに繰越数を計算に含めない、となるとどう計上したらいいかわからないというのです。

統計調査の記入要領が詳細に定義してあるなら、それに沿って回答ください。ここでは、ただ単に付与数、取得数、労働者数を記入せよと、詳しく説明のない調査への道案内とします。

一定期間(1月~12月、4月~翌年3月等)において、文字どおり付与した総数、付与した時期が期初、期中、期末かは問いません。そして取得数も同様に、付与時期を問わず、対象期間中に労働者が年次有給休暇で休んだ日数を計上します。

「新規付与日数とその付与日からの1年間の取得」との連携をなぜ断ち切るのか、「繰越数を無視しながら、当人新規付与前の取得は繰り越し数からの取得」なのになぜ取得数のほうを計上するのか。なかなか理解できないのはわかるのですが、ここでの分母とする付与日数(総和)は企業規模を表している、そして個々の労働者への付与と取得に関連付けはしない、と割り切られるといいです。

付与数対象期間中に新規付与した総日数 繰越日数を含めない
取得数同一期間中に取得消化した総日数
時間単位はその労働者の所定労働時間を基準に日に換算
労働者数その期間中に取得可能な労働者総数
繰り越し数を保持する中途退職者を含める(期中、新規付与されるかは問わない)。
期中入社者で最初の付与日が、対象期間外であれば、労働者数に含めなくてよい。

平均取得日数=取得日数(総和)÷ 労働者数

取得率=取得日数(総和)÷ 付与数(総和)

出典
厚生労働省就労条件総合調査

(2022年12月8日投稿)

参考記事

年次有給休暇の付与数と保持数の変転 

年次有給休暇制度の詳細 

年次有給休暇の付与日数 

年次有給休暇管理簿 

2022/12/03

退職届と退職願

よく似た提出物ですが、機能的に異なると言われています。

退職届

令和4年11月30日

株式会社 ど・ぶろぐ政策所
代表取締役 一心 不乱 様

営業部第二営業課
新進 気鋭

このたび、一身上の都合により、令和4年12月15日をもちまして、退職いたします。

以上


退職願

令和4年11月30日

株式会社 ど・ぶろぐ政策所
代表取締役 一心 不乱 様

営業部法人営業課
破竹 之勢

このたび、一身上の都合により、令和4年12月15日をもちまして、退職いたしたく願い出ます。

以上


縦書きのサンプルです。

退職届    

このたび、一身上の都合により、
令和四年十二月十五日をもちまし
て、退職いたします。

令和四年十二月一日

管理部管理課  
勤倹 力行

株式会社 ど・ぶろぐ政策所
 代表取締役 一心 不乱 様

受理されれば実質的な違いがあるわけではありません。またタイトルによるのでなく、文面中身内容によります。願とありながら、中身が通告なら相手の同意は無用。ここでは、その内容にそって「退職届」「退職願」として見ていきます。「退職届」は一方的通告、対して「退職願」は、受け取る相手方の了承を願いでる手続きです。後者は遺留されたり拒否される余地を残しているといえます。その書面が人事権者のもとに届くまでは、撤回が可能とも言われています。「退職届」の一方的通告では、相手方の同意は必要なく、使用者に渡れば解約成立です。ただし懲戒事案があり、退職日までに懲戒処分の可能性はあります。

さて雇用契約関係の解除にあって労働者からする退職届、退職願とパラレルな関係にあるのは、雇用主からする解雇、退職勧奨です。

退職届相手に対する一方的通告。相手に達すれば解約の効力が発生する。解雇
退職願相手に対する解約の申込。相手が同意すれば解約の効力が発生する。退職勧奨

解雇や退職勧奨を受けて退職願をだせ、という詐術に乗ってはいけません。ただし勧奨に対しては、「一身上」を「御社の退職勧奨を受けて」と事実関係を明記する退職届は可能です。退職勧奨は拒否できますが、解雇なら拒否しても一方的通告ですので、通告受けたことをもって効力が発生します(なお労基法上は解雇予告、予告手当支払という要件を満たすことを要求しています)。成立したものを労働者が拒否しても無意味で、最終的には民事裁判で不当解雇として争うことになります。出せと言われた書面について、まずはそれを言い渡してきた方、意思表示をした使用者側に解雇証明書という書面を出させるものです。労基法22条によりすみやかに出せと要求しましょう。

参考記事

退職証明書・解雇証明書 


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