2024/01/15

行政サービスとしての労働相談

労働基準監督署、ハローワーク(略してハロワ、正式には公共職業安定所)の上部組織として都道府県ごとに労働局があり、これらは国、厚生労働省の出先機関です。労働基準監督署というところをまちがえて労働基準局という回答をみかけますが、こちらは厚生労働省の一部局で労働局以下を指導監督する部署です。

さらにややこしいのは、都道府県ごとに雇用労働を取り扱いする部局があり、さらに労働委員会という行政組織も都道府県ごとに設けられています。労働委員会は労働組合と事業者の間を取り持つ機関で、行政サービスとして労働組合がかかわらない個別労使紛争をあっせんするサービスをおこなっているところもあります。労働委員会の上部組織は、中央労働委員会になります。一方県庁組織のほうは、産業振興としての労働雇用推進が主眼で、労働相談を受けているところもあります。こちらは国とは関係のない、都道府県庁の一部門 です。

労働相談受け付ける県庁組織や労働委員会は労働問題に詳しいですが、取締り機関でありませんので、はなから事業者取締り処罰を指向するなら、司法警察官たる労働基準監督官がいる労働基準監督署をお訪ねください。

このほか民間でも、労働相談やあっせんをとりもつ組織があります(例:社会保険労務士会等)。昔にくらべ、労働者の困りごと解決の道は、多種多様にアクセスできるようになりました。もちろん例外もあるかもしれませんが、事業者からの労働相談も受け付けています。

全国の県庁のなかでも特筆できるのは、東京都庁の労働法・就業規則に関する資料、神奈川県庁の労働問題対処ノウハウ集でしょう。内容充実しています。

今後もこの手のサービス見かけたら、紹介したいと思います。

(2024年1月15日投稿)

2024/01/01

36協定のチェックボックス

働き方改革法で新様式になった36協定にチェックボックスが設けられたのは、ご存じのとおりです。それから1度マイナーチェンジされて、もう2種類のチェックボックスが追加されました。これとは別に届け出に届出者印鑑押印不要となりました。ただし、協定届書様式でもって協定書に代替する場合は、労使で協定締結した証としての署名、または記名押印が必要です。


今回は、チェックボックスについてです。

上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。□(チェックボックスに要チェック)

これは、36条6項にもうけられた、協定事項そのものでなく、個人ごとの労働時間管理に関する条文です。法定休日労働を含む時間外労働が、単月、複数月平均の上限を設けたもので、協定時数内であっても、この上限に達しまたは超えることができません。これは、特別条項をつけない一般条項だけの様式にも設けられています。これにチェックいれない協定届は全体が無効になります。なお、36協定の有効期限をまたいでも6カ月にわたる期間内すべて計算となり、転職してきた労働者にも過去5カ月の労働時間数を自己申告いただくなりして、計算に乗せることになります。

次に、協定当事者、労側の資格についてのチェックボックスです。2種類あります。(引用内の符号 A B はブログ筆者が振りました。)

目をとおせばわかるのですが、事業所過半数組織労働組合が当事者になる場合は、(A)のチェックボックスだけにしるしを入れればよく、(B)はブランクでかまいません。後者は、事業所過半数組織労働組合がない事業所で、労働者過半数の信任を得て代表となる人の資格についてのチェック項目です。ここにしるしを入れてしまうと、過半数組織労働組合が、そうでないのに事業所内に半数以下の組合員しかいないことを自任してしまうことになります。

項目過半数組織労働組合労働者過半数代表
(含む半数以下労組が代表として選出)
上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である又は上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること。□(チェックボックスに要チェック)
上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。□(チェックボックスに要チェック)
(ブランク)

(2024年1月1日投稿、2024年5月8日編集)

関連資料

押印原則の見直しQ1-6参照

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