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2022/08/16

労働時間法制の詳細*

法定労働時間

法32条の1項に週、2項に日の順に法定労働時間を定義したのは、週の法定労働時間48時間から40時間への短縮をし、各日に割り振る上限という考え方に基づきます。1項2項とも法定労働時間です。1週間とは就業規則等に別段の定めがなければ、暦に従い、日曜日にはじまり土曜日に終わります。1日は0時にはじまり24時に終わります。日を跨ぐ勤務でも、1勤務として扱い始業時刻の属する日の勤務として扱います

任意の7日をとって40時間に収まるとはしません。就業規則等に週の起算曜日があればその曜日、なければ暦週として日曜起算の1週間ごとに、40時間の判定をします。

午前0時をはさんで、前日夕から8時間つづけて8時間と各日に8時間わりふっての2日勤務でなく、前日からの1勤務16時間連続勤務として扱い、1か月単位の変形労働時間制をとらない限り、法違反に問われます。

通常の勤務が、時間外労働として翌日0時に及んだ場合、0時で分断することなく翌日の始業までの労働を前日の勤務として扱います(翌日が法定休日の場合は0時で分断)。

週2日のパートタイムであっても、継続的に雇われる者は労働者数に入ります

労働時間とは、客観的に使用者の指揮命令に従い労働者が事業のために服していると評価される時間を指します。

休憩時間に昼休み当番として来客にそなえ待機させれば労働時間です。一斉除外事業でないかぎり労使協定が必要となります

使用者の明白な残業指示、あるいは業務量が客観的に見て正規の所定労働時間にこなせないといった黙示の業務指示により、法定労働時間をこえた時間は時間外労働となります

手持ち時間が大半でも、出勤を命じられ一定場所に拘束される場合は労働時間です

作業内容により終業後入浴が不可欠でも、労働時間にはいりません

使用者が実施する教育に対し、制裁低評価等の不利益取り扱いがなく、出席の強制がない自由参加であれば、労働時間ではないです

労安衛法59条60条の安全衛生教育は、所定労働時間内に実施し、労働時間として扱うこと

安全・衛生委員会の会議時間は労働時間です

定期健康診断は所定労働時間内に行い賃金を支払うことが望ましい。有害業務に従事させることで実施する特殊健診は、事業者の義務として労働時間として扱い賃金支払うこと

勤め先が火災に見舞われ、帰宅途上の労働者が任意にかけつけ消火作業した時間は労働時間である

一か月単位の変形労働時間制

  • 労使協定
  • 就業規則
  • それに準ずる書面

において、変形期間の各日、各週の労働時間を具体的にあらかじめさだめることを要し、変形期間を平均して週40時間に収まっても使用者都合で任意に変更するのは、該当しない。就業規則には各日の労働時間の長さだけでなく、始業終業時刻を定めることを要する

業務の実態にそって、就業規則には各直始業終業時刻、各直勤務の組み合わせ方、勤務表の作成周知方法を定めておくにとどめ、具体的に勤務表において変形期間開始前までに確定すればよい

3交替の番方転換を行うことを就業規則等に規定し労働者に明示し、変形期間を平均して40時間に収まること。欠勤者に代勤のために労働時間を変更することは、変形労働時間制にあたらない

労使協定によるか、就業規則等によるかは、使用者が決定できる。労使協定による場合でも、就業規則の規定する事項を定め、周知する必要がある

労使協定による場合、有効期間は3年以内とする

就業規則「その他これに準ずるもの」とは、就業規則制定義務のない使用者に適用される

対象労働者に周知しないなら「定め」にあたらない。

変形期間の法定総枠とは、40×変形期間の暦日数÷7。変形期間の所定労働時間の合計が、総枠に収まらなければならない

「特定された日」「特定された週」とは、就業規則によって日8時間、週40時間を超えて労働させる日、週の意味です。その特定された時間が、日8時間を超え、週40時間をこえていても、時間外労働とならず、時間外割増賃金の支払対象となりません

特定している時間といえども臨時にあるいは随時に業務の都合で延長し短縮し、遅刻欠勤と相殺し、法定労働時間以内であることをもって割増賃金を支払わないことは、法違反です

特例事業の労働者数の変動は、臨時に雇入れまたは欠員が生じたときは、変動として扱わず、ボーダー上の事業所は、週所定40時間以下とすることが望ましい

振替休日の結果、特定されてない日に8時間、特定されてない週に40時間超えた部分は、時間外労働となる

一年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定により変形期間にわたり労働日、労働日ごとの労働時間を具体的に定めることを要します。業務の都合で使用者が任意に労働時間を変更する仕組みは該当しません

1年単位の変形労働時間制を採用する場合においても、就業規則に始業終業時刻、休日の定めを要する。ただし労使協定で1か月以上の区分ごとに労働日数、総労働時間を定めた場合は、就業規則に勤務の種類ごとに始業終業時刻および休日、勤務の組み合わせ方、勤務表の作成周知方法を定めておき、各日ごとの勤務表は最初の期間は当該勤務の開始前に、以後各期間の初日30日前に具体的に定め、労働者代表の同意を得ることでたります

労働者代表の同意が得られなかった場合は、その期間原則的な法定労働時間、日8時間週40時間の範囲での就労となります

特定した日、週

就業規則に1年単位の変形労働時間制を規定せず、労使協定に就業規則の内容となる始業終業時刻等が定めることは可能ですが、その場合は就業規則に労使協定の条文番号を記載し、労使協定は就業規則の別紙として扱います。 夏の3カ月にかけ夏季休日3日を与えると規定しただけでは、休日が特定されてないことすなわち労働日が特定されてないことにあたります

変形期間の途中で、随時特定した時間を変更することは労使合意があっても認められません

繁忙期として特定期間を変形期間の相当部分を占めることや、特定期間を期間中に変更することは認めらません

特定期間を複数設けることは可能です。特定期間を設けないなら「特定期間なし」と労使協定に定めること、あるいは記載ない場合「特定期間なし」とみなします

通常の業務の繁閑により振替休日が通常行われる業務に、変形労働時間制を採用できません。予期しない事情でやむなく振替休日を行う場合は、

  • 就業規則に振替を行う旨の規定を置き、振り替える具体的事由、振り替える日をあらかじめ特定すること
  • 特定期間は週1休日、特定期間以外は6連続勤務が最長となること
  • 振り替える労働日が所定8時間をこえた日である場合は、8時間超えた部分は時間外労働となること

1の事業所で、期間、対象労働者の異なる変形労働時間制を複数並置することは可能で、それぞれ労使協定を締結して届け出ることになります

異なる変形労働時間制への労働者の異動は、同一事業所内でも労基法32条の4の2に定める清算の対象です。

週48時間超える週連続3週等の制約をさだめた週は暦週でなく、対象期間の初日の曜日起算の週です

週48時間超える週連続3週等の制約をさだめた週が、3カ月ごとに区切った期間を跨いでも、その週48時間超えるなら週の初日を含む期間にカウントされます。 3カ月を超える1年の所定労働日数の限度は280日。3カ月を越え1年未満の場合は、280日×対象期間の暦日数÷7で求まる日数が限度です

変形期間の所定労働時間の限度は、40時間×対象期間の暦日数÷7で求まる労働時間が上限です

有効期間は、1年程度が望ましいが、3年程度以内であれば受理してさしつかえない

派遣労働者を派遣先で1年単位の変形労働時間制で就労させるには、派遣元で労働日、各日の労働時間を具体的に定めた労使協定を締結する必要がある

1年のうち、変形労働時間制を適用する期間、適用しない期間を設けることは可能です

1週間単位の非定型的変形労働時間制

日ごとに著しい繁閑が生じ、予測して就業規則等に特定できな事業として、小売業、旅館、飲食店の事業でかつ30人未満の事業所に限る。 1日の所定労働時間の上限は10時間(週は40時間)。労働者への通知は、1週間分を開始前に書面で通知する


(2022年8月16日投稿)