2023/03/26

法定休日とはいつか(演習2)

法定休日はいつか、前回週1休日の週休制で説明してみました。つづいてここでは、特定4週4日の変形週休制での法定休日はいつかを説明をしてみます。週休制の1週間とは違い、4週すべての日を並べるスペースありませんので、所定休日(広義)だけを表示し、その間の所定労働日は省略してみます。それ以外の条件は前回とほぼ同様で、4週の起算日、そしていつが休日かは就業規則等で特定されているものとします。

凡例:太線囲み:所定休日(広義)、 出勤情況:●:やすんだ日、○:出勤した日(休日出勤を含む)

例4

ここでは4週のあいだに6休日を設けている例です。

第1第2第3第4第5第6
      

という6休日ある4週間において、

第1第2第3第4第5第6
     

4週の最初から所定休日に休みはじめました。所定休日に休めた日は法の求める休日を満たしたことになり、休めたその日を法定休日と特定されます。

第1第2第3第4第5第6
  

4週の最初からひきつづき所定休日に休め続け4日に達していたら、法の求める4休日を満たしたことになり、その4週の法定休日がすべて特定され、それ以降の所定休日(この例では第5、第6所定休日)は、法定休日となります。それらの日に労働しても法定休日労働とはならず、日8時間週40時間超えたところから時間外労働と扱われます。

例5

上の例4において、途中休日出勤した場合はどうでしょうか?

第1第2第3第4第5第6
  

途中の所定休日に休日労働したなら、法の求める休める4休日を満たす日を数えてまつことになります。

第1第2第3第4第5第6
 

休めた日4休日をもって法定休日が特定され、それ以降の所定休日は、法定休日となります。途中労働した休日(上の例では第4所定休日)を含めそれらの日に労働しても法定休日労働とはならず、日8時間週40時間超えたところから時間外労働と扱われます。

例5-2

上の例5において、ひきつづき休日出勤した場合はどうでしょうか?

第1第2第3第4第5第6
 

途中の所定休日につづけて休日労働したなら、法の求める休める4休日を満たす日を数えるに最後の6休日目の到来をまたずに法定休日が特定されます。この第6休日に働けば、法定休日労働となります。

例6

では、4週の最初から休日労働を重ねてみた場合を考えてみましょう。

第1第2第3第4第5第6
     

最初の休日出勤では、まだ5休日ありますから法定休日は不定ですが

第1第2第3第4第5第6
    

第2所定休日も労働すると残る所定休日4つしかありませんので、未到来の4所定休日全部法定休日に特定されます。なお例示では触れませんでしたが、4週に所定4休日しかない場合(原則の週休制で1休日しかない場合)は、その4(1)休日が最初から法定休日となります。

追記

法定休日とはいつか(演習)の冒頭にも書きましたが、法定休日を特定していなくとも、いずれの休日労働を35%以上の割増賃金支払うと規定している場合は、週休制なら週最後の休日を法定休日と特定したものとして、変形週休制なら4週最後の4休日をもって法定休日と扱います。(H6.1.4基発1号)

(2023年3月26日投稿、2023年10月27日編集)

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2023/03/21

法定休日とはいつか(演習)

法定休日はいつか、事例で説明してみたいと思います。ここでは、法定休日を曜日特定等していない(していればその曜日等が法定休日)、していなくてもいずれの休日も35%以上の割増賃金を支払うとしていない(しているなら、その週最後の休日が法定休日)として、下記の説明をしています。またいつが休日かは就業規則等で特定されているものとします。

凡例:太線囲み:所定休日(広義)、 出勤情況:●:やすんだ日、○:出勤した日(休日出勤を含む)

例1
       

日土が所定休日という一週間において、

    

最初の所定休日に休めたので、この週の法定休日は日曜日で確定です。休日に休ませたことで、法の義務をはたしたことになり、月曜以降の出勤状況に左右されません。

例2

では週の起算曜日を土曜始まりと規定してある1週間ではどうでしょうか、

       

土日が所定休日という一週間において、

   

最初の所定休日である土曜日に休めたので、この週の法定休日は土曜日で確定です。日曜以降の出勤状況に左右されません。なお連続する土日は、日曜以外の曜日を週の起算曜日と指定しない限り、別々の週(例1参照)となりますので注意が必要です。

例1-2

最初にもどって、休日出勤していた場合を見てみましょう。

       

日土が所定休日という一週間において、

   

最初の所定休日を休日出勤しました。するとこの週の法定休日はまだこない土曜日で確定です。なおこの週月曜から金曜までの所定労働日の出勤状況に左右されません。年次有給休暇で休む、欠勤、あるいは代休で休んでも休んだ日は所定労働日にかわりなく(休日にならない)、所定休日とした日は不動です(事前に振り替える振替休日を実施した場合をのぞく)。

例3

最後に、所定休日が2つでなく同一週内3つ、たとえば祝日休がある週ではどうなるかを見てみましょう。

       

日水土が所定休日という一週間において、

    

火曜の時点では、法定休日は定まりません。

   

所定休日の水曜日にやすめたので、この日が法定休日と確定です。ではこの日も休日出勤したらどうでしょう、

   

最後にのこる所定休日の土曜日が法定休日と確定です。この日も休日出勤したら、労基法のいう休日労働、法定休日労働となります。

週1休日の週休制でみてきましたが、特定4週の変形週休制でも考え方は同じです。また週の途中で月(賃金計算期間)をまたいでも、法定休日の確定に影響しません。変形労働時間制でも同様です。例示では触れませんでしたが、原則の週休制で週内1休日しかない場合(例外の4週に所定4休日しかない場合)は、その1(4)休日が最初から法定休日となります。

(2023年3月21日投稿、2023年3月26日編集)

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2023/03/09

育児休業給付金の計算

よく見かける質問に育児休業や介護休業の給付金受けられますか、受けられるならいくらもらえますか、というのがあります。雇用保険から出るのですが、被保険者資格期間の確認と、受給額計算の要領がよく似ていているので、質問内容が混乱しがちなのでしょう。そこで整理して説明してみます。

※:11日ない月は月80時間以上就労した月を含む(以下同じ)
資格期間受給額計算
育休開始前日より応当日ごとに区切った月育休開始前日より賃金締日ごとに区切った月
区切った各月に賃金受けた日11日以上ある月が※
最新2年のうち12月以上あること最新6カ月が対象

なお、下記の説明は簡略化した事例にしています。個々の事案にあたっては、いろいろ制約がつく場合があります。詳しくは厚労省サイト 育児休業給付金について 同パンフQ&A介護休業給付金Q&Aをご覧ください。

期間確認

被保険者資格期間の確認は、雇用保険の失業給付(正確には基本手当)と同一です。過去2年間に賃金を受けた基礎日数11日(80時間)以上ある月が12カ月以上あることです。被保険者期間は前職と通算しますが、職につくまでに1年以上合間が空いたり、ハロワーで求職の申し込みをしていた場合、その時点の過去の期間は消滅します。会社都合退職による場合の救済措置(過去1年間に6カ月)はないですが、その2年間に産休、育休等賃金を受けない期間30日以上ある場合は、その期間分さかのぼって延長されます(最大通算4年)。

そのスタートとなる日は、育休(産休ではない)に入る前日(産休最終日)となります。次の節で説明する賃金締日ではありません。産休を経ない場合も同様に、育休入る前日からひと月ごと区切ってのカウントとなります。

育休開始10/2賃金支払
基礎日数
備考
その前日10/1
-9/210/10日(産休中)
-8/29/10日(産休中)
-7/28/10日(産休中)
-6/27/110日(産休開始)
5/26/120日
4/25/121日
-3/24/19日(欠勤あり)
2/23/120日
1/22/118日
12/21/119日
…(中略)
7/28/121日
6/27/120日
5/26/121日

欠勤がかさんだ月をとばしても、2年内に12個月あることが確認できました。上記で確認できない場合は、産休開始前日から起算しての過去2年間(延長およびカウント方法同じ)での確認となります。

給付額の計算

賃金日額は、賃金締日からさかのぼること同11日(80時間)以上ある月6か月の賃金総額を180で除した額です。被保険者資格期間との違いは、賃金締日を含む完全月ですので、育休に入る前日が締日でない限り、入った月の賃金はカウントしません。20日締めの会社を例にしてここでは説明してみます。

-9/2110/10日(産休中※)
-8/219/200日(産休中)
-7/218/200日(産休中)
-6/217/202日(産休開始)
5/216/2019日
4/215/2021日
-3/214/206日(欠勤あり)
2/213/2018日
1/212/2019日
12/211/2018日
11/2112/2021日

月ごとの基礎日数は例です。前表との整合性をとっていません。

※産休を経てない場合は、この月は締日を含んでいませんので、この期間の賃金は対象外です。

当月払いかの違い

最後に、対象となる6か月の総支給額には、基本給、残業代、各種手当、通勤交通費(複数月定期券の場合は月割り)を含み、賞与は含みません。ただ対象となる賃金手当がそのまま、計算に乗るとは限りません。月ごとに残業多かったり少なかったりして支給額が激しく増減を繰り返している場合は、受給額がいくらになるのか気になるところです。

例1:20日締め翌月15日払いといった締めた同月の基本給と残業代が、同一支払日に支払われる場合は、そのまま計算してよろしいでしょう。

 基本給残業代合計
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2009,009292,209
283,20053,847337,047
283,20061,293344,493

計算:6カ月の賃金総額(税引前)1,823,374円÷180日=10,130円

180日まで10130円×67%=6787円(月換算:約204千円)
181日以降10130円×50%=5065円(同:約151千円)

例2:上の例1どおりの支払を受けていても、20日締め翌月15日払いは残業代だけで、当月の基本給が当月15日に先支いする場合、例1第⑥月に払われる残業代は前月締めの賃金として計算から除外されます。その他の月の残業代等も繰り下げられます。

 基本給残業代合計
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2009,009292,209
283,20053,847337,047

支給日基準でなく締日基準の賃金という理屈ですが、ただ担当者がよくわかっていなくて、例1の記載のしかたで、申請してしまう場合もあります。

計算:6カ月の賃金総額(税引前)1,762,119円÷180日=9,790円

180日まで9790円×67%=6559円(月換算:約197千円)
181日以降9790円×50%=4895円(同:約147千円)

単純に例1と例2の比較をしますと、最古の残業代約6万円が計算からはずれたので6カ月平均約1万円減、その67%、50%相当が減となりました。

(2023年3月9日投稿、2023年6月6日投稿)

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2023/03/02

随時改定の判断基準

社会保険の月額変更届をだす条件として

  1. 固定的賃金の変動
  2. 変動月から3カ月平均(非固定的賃金を含む)からの標準報酬月額と現同月額と2等級差以上
  3. 支払基礎日数が3カ月全月17(11)日以上

すべての条件みたした4か月目に標準報酬月額の改定を届出しその月から保険料が改定されます。 ところで、1の増減の向きと2の向きが一致しての改定となります。向きが一致しない場合は対象としません。そのことを一覧表にしてみました。定時改定に対し随時改定があり、その届け出を月額変更届、略して月変と呼んでいます。変動のあった月(例外翌月)を起算月として3か月平均をとります。

固定的賃金減少
等級増減-2-1+1+2
月変の実施××××
固定的賃金増加
等級増減-2-1+1+2
月変の実施××××
固定的賃金増加減少あわせて±0
等級増減-2-1+1+2
月変の実施×××××
固定的賃金増加減少不定
等級増減-2-1+1+2
月変の実施×××

上、4パターン書きましたが、パターンCは、複数の固定的賃金変動を足し合わせてプラマイ0のケースです。一方、パターンDは、複数の固定的賃金変動あるも、そのうち変動が各月一定しないケースを含む場合です。たとえば、通勤手当で単価の増減したが毎月不定の出勤日数倍するケースです。ただし、変動しない方が変動する方を上回っている場合は、AまたはBとなります。

随時改定の対象

  • 昇給、降給
  • 日給から月給へといった給与体制の変更
  • 日給、時給、通勤手当等の基礎単価の変更
  • 請負給、歩合給の単価、率・制度の変更
  • 固定的賃金の支給額の変更
  • 固定、非固定的手当の創出、廃止

年金機構から手引き 事例集のほかに、疑義照会回答(厚年保険 適用)がでています。その回答集の中から随時改定につながるものを抜粋要約しました。適用される場合は、必ず原文にあたってください。

(取得27)月の中途入社で、月例手当の一部が全額翌月支給となる(日割り支給しない)場合、取得時決定では含めず、翌月支給をもって随時改定の起算月となる。
(月変1)基本給が毎月変動する場合でも、固定的賃金の変動として扱い、変動したそれぞれの月を起算月として随時改定の可否を判断する。
(月変2)育休終了後時短開始の契約変更で、通勤手当が2カ月遅れで支給する場合、時短の賃金支給月が随時改定の起算月となり、通勤手当は実支給月に計上する。
(月変3)翌月以降の各月に改定された通勤費を半年分まとめて支払われる場合、支払月のみをもって起算月とする。
(月変4)4月からの6カ月定期券代を2月に支給する場合において、期中住所変更に伴う定期券も含め支払われた場合、定期券の開始月でなく、支払い月の2月から6カ月に分割して割り振り起算月となる。
(月変7)固定的賃金の変更が月ごとに支給額が変動する(例:通勤手当単価の変更×出勤日数で支給(A)するタイプ)、固定的賃金の変更が複数あって、各月の増減が確定しない場合のうち、変動しない固定的賃金の変更(B)>Aなら、Bの変更で比較、B<Aなら3カ月平均の増減で改定をおこなう。
(月変9)役員から従業員といった身分変更で、基本給がさがり、残業代がつくといった変更がともなう場合、それぞれの固定的賃金変更があったものとして変動が反映された月ごとに起算月とします。
(月変10)同一月に固定的賃金変動複数生じる場合でも、実際反映する月が異なるなら、それぞれ反映された月ごとに起算月とします。
(月変11)残業代の締め日変更は、固定的賃金変動とはならない。また固定的賃金の変動による時間外手当の時間単価変更は、固定的賃金の変動にあたらない。
(月変12)すでに支払った手当の遡及的減額は、減額を行った月を起算月とする。遡及部分は控除前を算入する。
(月変13)固定的賃金変動の平均とる3か月間に、さらに遡及の昇給があった場合、最初の3カ月はそれぞれの月の実支給額で、新たな3カ月でも随時改定にあたるかになります。
(月変16・21)時給制の1日の所定労働時間の変更、月所定日数の変更も起算月となります。
(月変17)非固定的賃金の創設廃止であって、当該月(廃止なら前月)に支給がない場合でも、当該月が起算月となる。
(月変22)担当現場ごとの日給単価が変わったり、異なる日給単価の複数受け持ちが単数受け持ちになれば、起算月となる。
(月変23)懲戒減給は改定の対象とならず、降給のみ改定対象となる。
(月変26)固定的賃金の変動が賃金計算期間の途中にあった場合、翌支払い月が起算月となる。
(月変27・31)複数の固定的賃金の変動は、増減たしあわせた増加、減額の一方での改定となる。増減たしあわせて増加減なしなら、改定とならない。
(月変32)育児時短、就業規則に規定した理由による時短の場合、改定の対象となる。

問答集のうち、一時帰休、休職、休業のケースは割愛してあります。必要な方は、上の手引き等をお読みになるか、年金事務所にお問い合わせください。

(2023年3月2日投稿、2023年6月7日編集)

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