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2024/05/01

2024雇用保険みなおし

雇用保険制度の見直しが予定されています。

支給制限

自己都合退職ですと、給付制限2カ月(重責解雇、過去5年間3回目以上は同3カ月はそのまま)を1カ月に短縮し、離職中、離職前1年間に自ら教育訓練を行った場合は、給付制限そのものを解除することとしています。(令和7年4月施行予定)

対象者拡大

被保険者の対象は、平成元年におこなわれたフルタイムの3/4以上から1/2(週20時間相当、当時は22時間)以上へ拡大されたのに匹敵する改正が、令和10年10月に予定されています。フルタイム1/4にあたる週所定10時間以上(20時間未満)労働者を被保険者とするものです。すると今まで11日以上といった基準が根こそぎ変更されることになります。

 改正後改正前
賃金支払基礎となった日が月間6日以上月間11日以上
ない場合働いた時間が月40時間以上月80時間以上
失業認定基準日2時間未満日4時間未満

これまで失業認定にひっかからない、半日に達しない時間で小遣い稼ぎできたのが、2時間でアウトになるのでは働いていないのも同然で、そういう仕事があるのかも含め厳しいものがあります。

副業関係

社会保険とは異なり、複数の雇用主のもとで働いていても、雇用保険はどちらか主とする方のみ資格取得となります。これが10時間で資格取得できるなら、複数雇用主に雇われている対象者が増えるでしょうが、雇用保険に関しては1社のみの扱いにかわりありません。マルチジョブホルダー制度として65歳以上をして複数勤務いずれでも満たせないが合算して雇用保険資格満たすなら労働者申し出で加入扱いを令和4年から施行しており、その制度の長短をこれから検証するとのことで、それが将来的に全年齢展開されるとしても、まだもう少し先になるでしょう。

その後の経緯

改正雇用保険法が成立し、2024年5月17日公布されました。これとは別の法案で、育児休業給付金8割給付が審議中です。

(2024年5月1日投稿、2024年5月17日編集)

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育児休業給付金の計算 

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2023/12/16

短時間被保険者の定時決定

社会保険(健康保険、厚生年金保険)の定時決定のルールです。正規の労働者より短い時間で働く(「正規の3分の4」(だいたい週30時間あたり)以上)被保険者へのルールです。短時間「就労者」といい、適用される定時決定は複雑です。なお特定適用事業所で働く短時間「労働者」(週20時間以上「正規の3分の4」未満)は11日以上の月で算定となります。以下は短時間「就労者」への適用されるルールの説明です。

定時改定
協会けんぽの説明
年金機構の説明

複雑というのは17日以上がどうだ、なければ15日以上のなんたらかんたら、、、。そこで表にしてまとめてみましたらなんのことはない単純明快で、拍子抜けしました。ともあれ理解のたしになるであろう一覧にしておきます。

凡例

支払基礎日数が

 17日↑17日以上
↓17日 17日未満
 15日↑15日以上17日未満
↓15日 15日未満

算定対象月が単月、2カ月の場合は、4,5,6月のいずれかにあてはまる場合を含みます。

優先
順位
4月5月6月摘要
 17日↑ 17日↑ 17日↑3か月平均
 17日↑ 17日↑↓17日 17日未満の月を除外して平均
 17日↑↓17日 ↓17日 17日以上ある月を対象
 15日↑ 15日↑ 15日↑3か月平均
 15日↑ 15日↑↓15日 15日未満の月を除外して平均
 15日↑↓15日 ↓15日 15日以上ある月を対象
↓15日 ↓15日 ↓15日 従前報酬月額のまま

以上は定時決定の場合で、随時改定はすべての月が17日(短時間労働者は11日以上)以上あることが条件です。

(2023年12月16日投稿、2024年3月3日編集(※お詫び:短時間就労者と短時間労働者とをかき分けました。))

年金機構の説明(随時改定)
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定時決定、随時改定の1年平均 

社保拡大適用 

月変・定時カレンダー 

社会保険拡大適用・いくら余分に働けばいい? 

随時改定の判断基準 

2023/10/13

定時決定、随時改定の1年平均

毎年4月から6月にかけて受け取る給料が残業等で他の月より多い労働者にとって、年収では同じ層の労働者に比べ割高な社会保険料を通年収めるといった不満がありました。

そこで、平成23年ごろの定時決定から、年平均をベースに保険料設定できる制度が始まりました。一方定時にくらべ複雑な随時改定は、遅れて平成30年10月に年平均が始まりました。

両制度ともたまたま対象期間と業務多忙がかち合ったというだけではだめで、毎年同時期の繁忙期にあたる、といった恒常性が必要です。また労働者が希望するたけでもだめで、使用者がその必要を認める、といった双方性が条件です。

両者は1年かけて平均をとるのですが、対象となる賃金が微妙にことなります。それをイメージで図示してみました。

定時決定の1年平均

単純に3か月平均とのこり9か月を加えた1年平均を求め比較し、諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として9月からの保険料適用します。

 固定的部分非固定的部分
前年7月   
8月   
9月   
10月   
11月   
12月   
本年1月   
2月   
3月   
4月   
5月    
6月    

次に説明する随時と異なり、3か月平均と1年平均との差が2等級以上ある場合が該当します。

随時改定の1年平均

定時とは異なり、1年平均は非固定的賃金を対象とし年間の月平均を求め、固定的賃金は変動月以後3か月のみを対象とし月平均をもとめ合算比較します。諸条件に合致しているとの申請をし、年平均の標準報酬月額として第4月からの保険料適用します。

 固定的部分非固定的部分
-9月    
-8月    
-7月    
-6月(計算対象外)   
-5月    
-4月    
-3月    
-2月    
-1月    
変動月   
第2月    
第3月    

月変における主要な要件を列挙してみます。

  1. 現在の標準報酬月額
  2. 従前の3か月平均
  3. 1年平均
  • AB間に2等級差以上あること(これがないと従前の月変にあたりません)
  • BC間に2等級差以上あること(1等級差以下ならさわぐことでもないのでしょうか)
  • AC間に1等級差以上あること(1等級でも抑えたいということです)

(2023年10月13日投稿)

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表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2023/10/01

メリット制の概観

ある一定規模以上の事業が払う労災保険料については、自動車任意保険に似た保険料率アップダウンする制度があります。メリット制と言いますが、自動車保険は事故に対し等級、割引率がさがり、無事故を続ければ年々回復していくしくみ(多少こみいった部分あり)ですが、労災保険は「保険給付にかかった費用」と「支払保険料」の比で直接割引率を設定する方式になります。

ここでは、主に継続事業(事務所、工場)の説明を中心にしています。

対象事業
  • 100人以上の労働者を使用する事業
  • 20人以上100人未満である一定料率以上の事業
対象期間
第1年度第2年度第3年度第4年度第5年度
     
← 収支算定期間 → メリット率適用

第1年度からの3年間に納めた保険料額を分母、同期間の保険給付した額を分子にして収支率を算出。求めた収支率に応じた増減率(-40%~+40%)を、第5年度の保険料に乗じます。たとえば今年度に起こした業務上災害事故(上表では第3年度)による影響は、はやくて2年先(同第5年度)の保険料に現れ、以後3年間(同5~7年度)にわたり影響します。第6年度保険料は、第2年度からの3年間の収支率を元に算定します。

算定対象
メリット収支率 = 3年度の保険給付の額 × 100
3年度の納付保険料

分母の納付保険料には、業種に応じ調整率(林業0.51、建設港湾0.63、その他0.67)がかかり、分子の給付額には、特別支給金を含み、また障害遺族の補償年金は実際の支払い額でなく等級に応じた一時金に換算します。また分母分子には通勤災害にかかる保険料、給付は除外します。

増減率

求まった収支率を増減率に換算します。換算率は-40%から+40%の範囲で5%刻みです。収支率75%以下ならマイナスに、同85%超ならプラスに作用します。

メリット収支率メリット増減率のイメージ
~10% -40%
 
  
  
  
  
  
  
75%~85% ±0%
  
  
  
  
  
  
  
 150%~ +40%
保険料率

換算した増減率を、第5年度の保険料に乗じますが、全体に乗じるのでなく、通勤災害等に対する料率(1000分の0.6)を省いた率に乗じたのち、省いた通勤災害料率等を足しこみます。

メリット料率 = (労災保険料率-0.6) × 100+メリット増減率(%)  + 0.6
100

実業を行わないおおかたの事務所に適用される「94その他の各種事業」3/1000で計算例を示してみます。 3年間無災害の増減率(-40%)場合、

メリット料率 = ( 3 - 0.6) × 100-40 + 0.6 = 2.04
100

災害多発の増減率(+40%)場合、

メリット料率 = ( 3 - 0.6) × 100+40 + 0.6 = 3.96
100

無災害の場合、保険料率は約2/3に低減(3 ⇒ 2.04)される反面、災害多発事業所の場合、同4/3倍(3 ⇒ 3.96)となっており、さらに保険料率が高い事業ほど、増減率の効果が効いてきます。実際の納付時には、保険料確定申告書に「メリット」と表示されて、増減後の率にしたがって保険料額を納めることになります。


参考サイト

厚生労働省 労災保険のメリット制について(概要)

厚生労働省 労災保険のメリット制について(PDF)

参考記事

労災勘違いあるある 

労災保険給付手続きは誰がするのか 

労災保険未加入に罰則がない 

表や数式の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2023/07/15

雇用保険制度の沿革

1947年(昭和22年) 失業者の生活の安定を目的として、「失業保険法」(昭和22年法律第146号)制定。その中に、失業保険制度をが創設。
1974年(昭和49年) 失業者の生活の安定、および三事業(雇用改善事業、能力開発事業、雇用福祉事業)を目的として、「雇用保険法」(昭和49年法律第116号)が制定され、失業保険法を廃止。失業保険制度に代わって雇用保険制度創設。労働保険の保険料の徴収等に関する法律が制定され、保険料の徴収手続きが労災保険と一本化。
1977年(昭和52年) 雇用安定事業が規定され、三事業は四事業となった。
1989年(平成元年) 雇用改善事業が雇用安定事業に統合され、四事業は再び三事業となった。
1994年(平成6年) 高年齢雇用継続給付の創設、育児休業給付制度の創設。
1998年(平成10年) 教育訓練給付制度の創設、介護休業給付制度の創設。
2003年(平成15年) 就職促進手当の創設、通常労働者と短時間労働者の給付内容の一本化。
2005年(平17.3.31)一般保険料料額表の廃止
2007年(平成19年) 雇用福祉事業が廃止され、三事業は二事業となった。被保険者および受給資格要件の一本化(短時間被保険者という区分を無くし、一般被保険者に一本化)。
2009年(平成21年) 特定理由離職者区分の創設。
2010年(平成22年) 船員保険の失業部門を切り離し、雇用保険に統合。
2017年(平成29年) 1月から65歳以上も、雇用保険への加入義務づけ、それまでは、65歳前から雇用され引き続き65歳に達した以後雇用されている者を対象とした「高年齢継続被保険者」として扱われていた。雇用保険料の支払いはひきつづき免除。
特定受給資格者の基準を見直し(被保険者期間12カ月から6か月に短縮等)
2020年(令和2年)4月から雇用保険料免除の措置がなくなり、65歳以上の従業員でも、雇用保険料の納付が必要。これまでは、毎年4月以降に64歳以上が労使とも免除。被保険者期間の算定にあたり、月間日数だけでなく、労働時間による基準を補完的に設定(令和2年8月施行)。65歳以上のマルチジョブホルダーの創設(令和4年1月施行)
10月から、自己都合退職者の給付制限3か月から原則2か月に短縮。
 雇用期間所定労働時間年収要件
昭和50年~反復継続して就労通常の労働者3/4以上かつ週22時間以上年収52万円以上
平成元年~1年以上雇用見込み週22時間以上年収90万円以上
平成6年~1年以上雇用見込み週20時間以上年収90万円以上
平成13年~1年以上雇用見込み週20時間以上年収要件撤廃
平成21年~6か月以上雇用見込み週20時間以上
平成22年~31日以上雇用見込み週20時間以上

注:ほうぼうからの寄せ集めです。正確性は保証できません。

(2023年7月15日投稿、2024年5月14日編集)

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2023/07/09

社保拡大適用

将来見返すときに備えてのメモです。

根拠法

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金機能強化法)

対象企業
501人以上2016年10月から
101人以上2022年10月から
51人以上2024年10月から

従業員のカウントは、同一法人番号にて雇用される厚生年金被保険者数(週所定労働時間が正規の3/4以上)、個人事業は事業所ごと。

閾値にある企業は、過去1年間に6カ月上回る場合に適用。

特定適用事業所以外の事業所が、対象労働者の過半数同意をもって任意特定適用事業所となることができる。 特定適用事業所が、閾値を下回っても特定適用事業所とするが、被保険者の4分の3以上の同意とりつけ申出で、該当しないものとして取り扱い可。任意特定適用事業所も同様。

対象労働者

被保険者でない短時間労働者が、下記4条件すべてあてはまる労働者を対象とする。

週所定労働時間が20時間以上30時間未満※1
月額賃金は8万8千円以上※1
2か月を超える雇用見込み(2022年9月までは1年見込み)※2
昼間学生でない(卒業見込みで卒業前に就職、休学中を除く)

※1:契約上から導かれる理論値。臨時に払われる賃金、時間外休日深夜割増 精勤、通勤、家族手当を含まない一方、資格取得時の標準報酬月額は、残業代、通勤交通費等を含んだ額で算定。契約時間は、実績時間が2カ月連続して該当する場合は、3カ月目から対象。

月等で所定労働時間を定めている12倍して52週で除す
特定の月で例外的な長短がある特定の月を除いて判断
年単位で所定労働時間を定めている52週で除す
週所定労働時間が短期的周期的に変動加重平均で算定

※2:2カ月以内契約でも、更新する場合がある、同様の契約で更新されている場合は、当初から対象とします。従前は、正規の3/4時間で2か月以内契約は、更新してからの資格取得。

(2023年7月9日投稿、2023年10月14日編集)

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2023/06/01

労災勘違いあるある

労災保険給付にまつわる勘違いあるあるです。

使わせない理由

被災労働者に労災保険給付使わせない理由が、保険料に跳ね返るというものです。跳ね返るのはメリット制が適用されるそれなりの規模の事業所が対象です。メリット制の適用のない事業所は保険料に跳ね返りません。また労災保険の対象である通勤労災もメリット制の対象外ですので、事業規模の大小にかかわらず、跳ね返りません。

自ら補償

通勤災害の給付をのぞき、業務上災害で労災保険給付使わせず、事業者が自腹で補償する分は問題ありませんが、その場合でも、医療機関で健康保険をつかわせると、詐欺罪を構成するので注意が必要です。詐欺罪には罰金刑がありませんので、猶予のつかない実刑判決は収監を意味します。かならず自費で治療を受けさせ事業者がその治療代を全額もつことです。自由診療扱いとなると、医療機関の言い値(保険診療の10倍相当)ですので、すなおに労災保険給付しておくのがいいでしょう。

労災隠し

労災保険給付使わせないことをもって「労災隠し」呼ばわりするのも困ったものです。労災隠しは、労災保険使わせないことにではなく、休業日数に応じ、労基署に死傷病報告をなさないことをいいます(労働安全衛生法違反)。先に述べたように、労災保険つかわなくても事業者が労基法にさだめた補償をすればいいのです。この補償をしない場合は、労基法の罰則が待っています。

通勤災害
業務上災害通勤災害
療養補償給付療養給付
休業補償給付休業給付
傷病補償年金傷病年金
障害補償給付障害給付
遺族補償給付遺族給付
葬祭料葬祭給付
介護補償給付介護給付

労災保険給付に通勤災害を対象としています。昔は通勤(帰宅)途上のケガは健康保険でカバーされていましたが、法改正で労災保険で受け持つこととなりました。この経緯をしらない識者が、通勤災害も雇用主の責任だと論説するのをたまに見聞きします。通勤災害は、あくまでも制度上労災保険でカバーするのであって、私傷病の範疇です。給付名も、「休業補償給付(業務上災害)」「休業給付(通勤災害)」と「補償」がつくつかないで使いわけていることからもわかります。通勤災害に、使用者の補償責任は生じません。ですので、後に記述する休業最初の3日の補償義務もなく、通勤被災労働者は休業給付でるまで年次有給休暇をあてるか欠勤無給になります。なお、帰宅途上でも事業者敷地内での被災は、労災保険上業務上災害として扱われます。業務上被災とみなすのでなく、施設管理者責任ということでしょう。

打切補償

打切補償といって労基法の補償で、労災保険にない補償があります。この打切補償をすれば、今後事業主の労災補償しなくともよい、というものです。治療継続して休業でも在籍している限り、社会保険料の会社負担が重くのしかかりますので、打切りたいのはわからなくもないです。平均賃金の1200日分を一括で支払うことになります。3年経過時、労災保険の傷病補償年金を受給していれば、打切り補償したものとして、解雇可能となります。ただ受給に至らないものの治療を受け続けている場合、解雇したければ高額の打切補償となります。これをどう解釈するのか、1200日は3年ちょっとなので、これまで払った休業補償3年分に置き換え、1円もはらわず打切りしてくるという、ぶったまげ事業者がいます。あくまでも追加の一括払いです。

労基法の災害規定

労災保険法として立派な制度があるのに、なぜ労基法におなじような労災補償の規定がいまだに死文かのように取り残されているのかという点について触れておきたいと思います。労災保険法は手続法としての役割があり、対して労基法は、使用者に無過失責任として補償義務を負わす実体法です。被災者が労災保険給付を受けた範囲で使用者は労基法上の補償義務を免れるという立ち位置になります。労基法の補償規定は、無意味化して削除されないまま放置されているのではありません。

休業補償

勘違いというほどではありませんが、休業最初の3日間は労災保険給付からはありませんのでこちらは雇用主が直接補償せねばなりません。休業4日目から労災保険の給付が始まりますので、4日目以降労基法の補償義務から免れます。給付のない最初の3日は労基法の義務となります。休業する場合、被災日が第1日となりますが、所定労働時間後の被災は、翌日起算となります。事業主の補償は平均賃金の6割でいいのですが、賃金出る場合、平均賃金6割下回る差額でなく、平均賃金ともらい受けた賃金の差額の6割となります(労基法施行規則38条)。

(2023年6月1日投稿、2023年10月1日編集)

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メリット制の概観 

労災保険給付手続きは誰がするのか 

労災保険未加入に罰則がない 

2023/05/20

労災保険給付手続きは誰がするのか

勤務中にけがしたのに、いつまで待っても会社が労災保険給付の手続き進めてくれない、進めてもらうにはどうしたらいいかという質問を見かけます。

業務上被災にかかわらず通勤災害もそうですが、給付手続きする義務は勤務先にありません。被災者本人(あるいは遺族)にあります(労災保険法12条の7)。それでもしてくれる会社があるのは、従業員福利の一環、給付さえ受けてもらえれば、労基法上の会社に課せられた補償義務から免れるという理由もあるでしょう。

本来は、被災者本人が立ち回って、労基署に様式を取り寄せ(※)、必要事項を記入し、勤務先や病院に証明をもらい、労基署(療養給付は医療機関薬局)に提出となります。

では勤務先はまったく義務はないかというと、そうではなく先に述べたように、労基法上直接補償する義務があります。そこを被災労働者(あるいは遺族)が労災保険給付を受けることで、事業者は補償義務から免れます。労災保険法上、被災労働者からからまわってきた申請書に、すみやかに会社記入欄に記入証明し、また被災労働者が入院して動けないなら、申請までこぎつけられるよう助力義務があるのです(労災保険法施行規則23条)。

※しっかりした印刷機能環境をもちあわせているなら厚労省サイトにて様式集が掲載されてあり、印刷出力して利用できます。

(2023年5月20日投稿、2024年5月11日編集)

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労災保険未加入に罰則がない 

労災勘違いあるある 

2023/05/11

労災保険未加入に罰則がない

任意でない強制適用の事業所が、雇用保険、健康保険、厚生年金保険に未加入(正しくは被保険者手続き懈怠)の場合、次のような罰則がまっています。

  • 健康保険法 48条違反(208条 懲役6月、罰金50万円)
  • 厚生年金保険法 27条違反(102条 懲役6月、罰金50万円)
  • 雇用保険法 7条違反(83条 懲役6月、罰金30万円)

ところが労災保険にはこの手の罰則がありません。なぜでしょう。まず労働者であればだれでもカバーするので、労災保険に被保険者手続きというものがありません。そして事業主が手続きしていない労災保険未加入でも、次の条件みたしていれば被災労働者(遺族)の申請請求で労災保険給付されるからです。すなわち被災者が事業者に雇われた労働者であること、事故が業務上(通勤)災害であること。

そもそも業務上災害については、一義的に労働基準法(第8章 災害補償)が無過失責任にて補償義務を事業者に課しています。その事業者が補償しないと刑事罰が待っています。ただ被災労働者が労災保険から給付をうければ、その範囲で雇用主は補償義務を免れます(労働基準法84条)。

その代わり、未加入、保険料滞納中の保険事故への給付に要した費用を政府は怠慢事業主に求償します(労災保険法31条(徴収法4条の2第1項の規定による届出、同法10条2項1号の一般保険料を納付しない期間))。

(2023年5月11日投稿)

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労災保険給付手続きは誰がするのか 

労災勘違いあるある 

2023/05/03

当月締め、当月支給の離職証明書の書き方

賃金支払いの違いで、離職証明書の書き方が異なる2タイプを比べて説明してみます。パターンAは月末日締め、翌月支給の場合、パターンBは、同じく末締めですが、基本給当月支給、残業代、欠勤控除は翌月支給での清算の形をとる場合です。月給制(日給月給を含む)の労働者が、締め日に退職した形です。月給制は本来なら、(A)に基本給、残業代合算した額を記載します。ここでは視認性高め、理解の一助となるため(A)基本給、(B)残業代に分けて書いてあります。実際は記載要領に従い記入願います。また基本給、残業代の1桁目は何月分のかを示しています。

パターンA:月末締め、翌月支給

⑫賃金額 給与明細
賃金支払
対象期間
⑩の基礎日数 基本給残業代総支給額
(A)(B) 200,0061,236201,242
6月1日離職日30200,0061,236201,242 200,0052,345202,350
5月1日5月31日31200,0052,345202,350 200,0043,454203,458
4月1日4月30日30200,0043,454203,458 200,0034,563204,566

パターンB:月末締め、当月支給(当月残業代は翌月支払)

⑫賃金額 給与明細
賃金支払
対象期間
⑩の基礎日数 基本給残業代総支給額
(A)(B) -1,2361,236
6月1日離職日30200,0061,236201,242 200,0062,345202,351
5月1日5月31日31200,0052,345202,350 200,0053,454203,459
4月1日4月30日30200,0043,454203,458 200,0044,563204,567

(2023年5月4日投稿)

参考サイト

ハローワーク  業務取扱要領50451(1)「賃金日額の算定の基礎となる賃金」

同  記載例「残業をした月に戻して記入」

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2023/03/09

育児休業給付金の計算

よく見かける質問に育児休業や介護休業の給付金受けられますか、受けられるならいくらもらえますか、というのがあります。雇用保険から出るのですが、被保険者資格期間の確認と、受給額計算の要領がよく似ていているので、質問内容が混乱しがちなのでしょう。そこで整理して説明してみます。

※:11日ない月は月80時間以上就労した月を含む(以下同じ)
資格期間受給額計算
育休開始前日より応当日ごとに区切った月育休開始前日より賃金締日ごとに区切った月
区切った各月に賃金受けた日11日以上ある月が※
最新2年のうち12月以上あること最新6カ月が対象

なお、下記の説明は簡略化した事例にしています。個々の事案にあたっては、いろいろ制約がつく場合があります。詳しくは厚労省サイト 育児休業給付金について 同パンフQ&A介護休業給付金Q&Aをご覧ください。

期間確認

被保険者資格期間の確認は、雇用保険の失業給付(正確には基本手当)と同一です。過去2年間に賃金を受けた基礎日数11日(80時間)以上ある月が12カ月以上あることです。被保険者期間は前職と通算しますが、職につくまでに1年以上合間が空いたり、ハロワーで求職の申し込みをしていた場合、その時点の過去の期間は消滅します。会社都合退職による場合の救済措置(過去1年間に6カ月)はないですが、その2年間に産休、育休等賃金を受けない期間30日以上ある場合は、その期間分さかのぼって延長されます(最大通算4年)。

そのスタートとなる日は、育休(産休ではない)に入る前日(産休最終日)となります。次の節で説明する賃金締日ではありません。産休を経ない場合も同様に、育休入る前日からひと月ごと区切ってのカウントとなります。

育休開始10/2賃金支払
基礎日数
備考
その前日10/1
-9/210/10日(産休中)
-8/29/10日(産休中)
-7/28/10日(産休中)
-6/27/110日(産休開始)
5/26/120日
4/25/121日
-3/24/19日(欠勤あり)
2/23/120日
1/22/118日
12/21/119日
…(中略)
7/28/121日
6/27/120日
5/26/121日

欠勤がかさんだ月をとばしても、2年内に12個月あることが確認できました。上記で確認できない場合は、産休開始前日から起算しての過去2年間(延長およびカウント方法同じ)での確認となります。

給付額の計算

賃金日額は、賃金締日からさかのぼること同11日(80時間)以上ある月6か月の賃金総額を180で除した額です。被保険者資格期間との違いは、賃金締日を含む完全月ですので、育休に入る前日が締日でない限り、入った月の賃金はカウントしません。20日締めの会社を例にしてここでは説明してみます。

-9/2110/10日(産休中※)
-8/219/200日(産休中)
-7/218/200日(産休中)
-6/217/202日(産休開始)
5/216/2019日
4/215/2021日
-3/214/206日(欠勤あり)
2/213/2018日
1/212/2019日
12/211/2018日
11/2112/2021日

月ごとの基礎日数は例です。前表との整合性をとっていません。

※産休を経てない場合は、この月は締日を含んでいませんので、この期間の賃金は対象外です。

当月払いかの違い

最後に、対象となる6か月の総支給額には、基本給、残業代、各種手当、通勤交通費(複数月定期券の場合は月割り)を含み、賞与は含みません。ただ対象となる賃金手当がそのまま、計算に乗るとは限りません。月ごとに残業多かったり少なかったりして支給額が激しく増減を繰り返している場合は、受給額がいくらになるのか気になるところです。

例1:20日締め翌月15日払いといった締めた同月の基本給と残業代が、同一支払日に支払われる場合は、そのまま計算してよろしいでしょう。

 基本給残業代合計
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2009,009292,209
283,20053,847337,047
283,20061,293344,493

計算:6カ月の賃金総額(税引前)1,823,374円÷180日=10,130円

180日まで10130円×67%=6787円(月換算:約204千円)
181日以降10130円×50%=5065円(同:約151千円)

例2:上の例1どおりの支払を受けていても、20日締め翌月15日払いは残業代だけで、当月の基本給が当月15日に先支いする場合、例1第⑥月に払われる残業代は前月締めの賃金として計算から除外されます。その他の月の残業代等も繰り下げられます。

 基本給残業代合計
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2000283,200
283,2009,009292,209
283,20053,847337,047

支給日基準でなく締日基準の賃金という理屈ですが、ただ担当者がよくわかっていなくて、例1の記載のしかたで、申請してしまう場合もあります。

計算:6カ月の賃金総額(税引前)1,762,119円÷180日=9,790円

180日まで9790円×67%=6559円(月換算:約197千円)
181日以降9790円×50%=4895円(同:約147千円)

単純に例1と例2の比較をしますと、最古の残業代約6万円が計算からはずれたので6カ月平均約1万円減、その67%、50%相当が減となりました。

(2023年3月9日投稿、2023年6月6日投稿)

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2023/03/02

随時改定の判断基準

社会保険の月額変更届をだす条件として

  1. 固定的賃金の変動
  2. 変動月から3カ月平均(非固定的賃金を含む)からの標準報酬月額と現同月額と2等級差以上
  3. 支払基礎日数が3カ月全月17(11)日以上

すべての条件みたした4か月目に標準報酬月額の改定を届出しその月から保険料が改定されます。 ところで、1の増減の向きと2の向きが一致しての改定となります。向きが一致しない場合は対象としません。そのことを一覧表にしてみました。定時改定に対し随時改定があり、その届け出を月額変更届、略して月変と呼んでいます。変動のあった月(例外翌月)を起算月として3か月平均をとります。

固定的賃金減少
等級増減-2-1+1+2
月変の実施××××
固定的賃金増加
等級増減-2-1+1+2
月変の実施××××
固定的賃金増加減少あわせて±0
等級増減-2-1+1+2
月変の実施×××××
固定的賃金増加減少不定
等級増減-2-1+1+2
月変の実施×××

上、4パターン書きましたが、パターンCは、複数の固定的賃金変動を足し合わせてプラマイ0のケースです。一方、パターンDは、複数の固定的賃金変動あるも、そのうち変動が各月一定しないケースを含む場合です。たとえば、通勤手当で単価の増減したが毎月不定の出勤日数倍するケースです。ただし、変動しない方が変動する方を上回っている場合は、AまたはBとなります。

随時改定の対象

  • 昇給、降給
  • 日給から月給へといった給与体制の変更
  • 日給、時給、通勤手当等の基礎単価の変更
  • 請負給、歩合給の単価、率・制度の変更
  • 固定的賃金の支給額の変更
  • 固定、非固定的手当の創出、廃止

年金機構から手引き 事例集のほかに、疑義照会回答(厚年保険 適用)がでています。その回答集の中から随時改定につながるものを抜粋要約しました。適用される場合は、必ず原文にあたってください。

(取得27)月の中途入社で、月例手当の一部が全額翌月支給となる(日割り支給しない)場合、取得時決定では含めず、翌月支給をもって随時改定の起算月となる。
(月変1)基本給が毎月変動する場合でも、固定的賃金の変動として扱い、変動したそれぞれの月を起算月として随時改定の可否を判断する。
(月変2)育休終了後時短開始の契約変更で、通勤手当が2カ月遅れで支給する場合、時短の賃金支給月が随時改定の起算月となり、通勤手当は実支給月に計上する。
(月変3)翌月以降の各月に改定された通勤費を半年分まとめて支払われる場合、支払月のみをもって起算月とする。
(月変4)4月からの6カ月定期券代を2月に支給する場合において、期中住所変更に伴う定期券も含め支払われた場合、定期券の開始月でなく、支払い月の2月から6カ月に分割して割り振り起算月となる。
(月変7)固定的賃金の変更が月ごとに支給額が変動する(例:通勤手当単価の変更×出勤日数で支給(A)するタイプ)、固定的賃金の変更が複数あって、各月の増減が確定しない場合のうち、変動しない固定的賃金の変更(B)>Aなら、Bの変更で比較、B<Aなら3カ月平均の増減で改定をおこなう。
(月変9)役員から従業員といった身分変更で、基本給がさがり、残業代がつくといった変更がともなう場合、それぞれの固定的賃金変更があったものとして変動が反映された月ごとに起算月とします。
(月変10)同一月に固定的賃金変動複数生じる場合でも、実際反映する月が異なるなら、それぞれ反映された月ごとに起算月とします。
(月変11)残業代の締め日変更は、固定的賃金変動とはならない。また固定的賃金の変動による時間外手当の時間単価変更は、固定的賃金の変動にあたらない。
(月変12)すでに支払った手当の遡及的減額は、減額を行った月を起算月とする。遡及部分は控除前を算入する。
(月変13)固定的賃金変動の平均とる3か月間に、さらに遡及の昇給があった場合、最初の3カ月はそれぞれの月の実支給額で、新たな3カ月でも随時改定にあたるかになります。
(月変16・21)時給制の1日の所定労働時間の変更、月所定日数の変更も起算月となります。
(月変17)非固定的賃金の創設廃止であって、当該月(廃止なら前月)に支給がない場合でも、当該月が起算月となる。
(月変22)担当現場ごとの日給単価が変わったり、異なる日給単価の複数受け持ちが単数受け持ちになれば、起算月となる。
(月変23)懲戒減給は改定の対象とならず、降給のみ改定対象となる。
(月変26)固定的賃金の変動が賃金計算期間の途中にあった場合、翌支払い月が起算月となる。
(月変27・31)複数の固定的賃金の変動は、増減たしあわせた増加、減額の一方での改定となる。増減たしあわせて増加減なしなら、改定とならない。
(月変32)育児時短、就業規則に規定した理由による時短の場合、改定の対象となる。

問答集のうち、一時帰休、休職、休業のケースは割愛してあります。必要な方は、上の手引き等をお読みになるか、年金事務所にお問い合わせください。

(2023年3月2日投稿、2023年6月7日編集)

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表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/12/13

自己都合か、会社都合か

ハロワサイトに掲載されている特定受給資格者、特定理由離職者の範囲を一覧表にしてみました。いわゆる会社都合退職と言われているのは、「Ⅰ.」「Ⅱ.1」(当面※)です。

  項目詳細 / 例示対象外
Ⅰ.特定受給資格者の範囲
1倒産等による離職
 (1)倒産等破産、民事再生、会社更生、手形取引停止等 
(2)大量離職再就職援助計画申請 
(3)事業所の廃止再開見込みのない事業活動停止を含む 
(4)事業所の移転による通勤困難(概ね往復4時間以上) 
2解雇等による離職
 (1)解雇 重責解雇
(2)雇入れ時に明示された労働条件の著しい相違 
(3)賃金遅配2カ月連続、または半年間に3回遅配額が1/3以下
(4)賃金低下85%未満に低下した場合低下が予見可能であるもの
(5)過重労働離職前6カ月間に
・連続3カ月45時間以上
・1か月100時間以上または連続する2カ月以上平均80時間以上
・行政指摘による健康障害防止措置を講じなかったために離職
 
(6)産休育休介護休等の不当な利用制限により離職した者 
(7)職種転換に際して必要な配慮(研修等)を受けられずに離職した者 
(8)3年以上の有期雇用者への不更新 
(9)更新(延長)確約のある有期雇用者への不更新本人更新希望していない場合
(10)各種ハラスメントに対する雇用管理上の措置が講じられなかったために離職した者 
(11)退職勧奨・直接の勧奨
・人員整理等退職募集(募集期間3カ月以内)
常設の早期退職優遇制度
(12)3カ月以上にわたる使用者責めの休業 
(13)法令違反業務を理由に離職 
Ⅱ.特定理由離職者の範囲
1有期雇用期間満了し、更新がないことによる離職(更新確約はないが、更新する場合があるケース)※本人更新希望していない場合
2正当な理由のある自己都合離職
 (1)体力減退、心身障害、疾病負傷等 
(2)妊娠出産育児等で離職し、給付期間延長した者 
(3)父母の死亡疾病負傷等で、家庭事情急変による扶養義務履行によりやむを得ず離職した者 
(4)配偶者、扶養親族との別居生活継続困難により離職したもの 
(5)通勤不可、または困難者・結婚による住所変更
・育児による保育所、親族への保育依頼
・事業所の通勤困難地への移転
・自己の意に反する転居(住居立ち退き、天災被災等)
・公共交通期間の廃止、運行時間変更
・転勤(出向)命令による別居の回避(配偶者側を含む)
・結婚転居で離職から転居までひと月超える場合
(6)Ⅰ.2(11)に該当しない人員整理に応じた離職 

表に転記するとき、簡略・言い換えした部分が多分にあります。また随時内容の見直しが行われています。ご自身の退職のいきさつ境遇があてはまるかは、ハロワーが個別に両方の言い分等をもとに判断します。そろえる裏付け書類(就業規則、給与明細、出勤簿、通勤関連は時刻表等)に何が必要かはハロワーに照会ください。

※:離職の日が平成21年3月31日から令和7年3月31日までの期限付き暫定措置。到来のつど延長されてきました。


(2022年12月13日投稿、2023年5月27日編集)

出典

ハローワークインターネットサービス
特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

同 判断基準

参考記事

特定受給資格者、特定理由離職者 

表の表示が崩れる場合は、横長画面か、ウェブバージョンでご覧ください。

2022/11/01

月変・定時カレンダー

実務から離れて久しい(30年前か)のですが、当時はひと月ずれていたと思います。5~7月平均の8月届出、10月保険料改定だったか。月変も届出てから保険料改定に同月でなくひと月余裕があったような気がします。

注:◎:届出月(定時)、▽:届出月(月変)/保険料改定月(定時/月変)、源泉月
種別固定増減月届出月保険料改定月源泉月次回改定月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
定時の対象とならないもの
6月以降入社
6月末までに退社
翌年9月
10
定時の対象とするもの10翌年9月
101011翌年9月
111112
1212
10当年9月
11
12

おおよそのサイクルを可視化してみました。正確性は保証しません。正確な情報は日本年金機構や保険者(協会けんぽ等)サイトをご覧ください。次回改定月とは、月変・定時決定されて、あらたな月変がない限り、その保険料が次回定時決定で改定される月をあらわします。

(2022年11月1日投稿、2023年5月20日編集)

出典
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2022/07/27

社会保険拡大適用・いくら余分に働けばいい?

2022年10月から、企業単位の(従業員数でなく)被保険者数101人以上(500人未満)事業者の勤め先が、社会保険拡大適用されます。通常の労働者の4分の3以上が被保険者対象だったのが、所定週20時間以上、所定8万8千円以上といったいくつかの条件を満たした短時間労働者も、社会保険対象となります。



時給1050円、週3日24時間勤務だと、保険料がいくら増えて手取りがいくら減るか計算してみます(残業、通勤手当なしとします)。まず月額賃金は


1050円×24時間×52週/年÷12=109,200円/月

厚生年金保険料 4等級(標準報酬月額110千円)10065円

健康保険は保険者により保険料率がことなります。そこで協会けんぽ(東京)を例に、


   
健康保険料 7等級(同) 介護保険なし 5395円  介護保険あり 6297円

カバーしようと賃金増える分、雇用保険料(3.5/1000)も増えますが、100円未満の世界ですのでこれは無視します。


(厚年)10065円+(健保・介護あり)6297円=16362円

これに対する源泉所得税は、控除する社会保険料が増えるので、被扶養者の有無にもより確実に減るとは言えないので、これも無視します。求まった保険料総額を時給で割ってみます。


16362円÷1050円=15.58時間

そうすると、月当たり15時間半余分に残業して働くか、週あたり半日(約4時間)余分に働く契約をして、もとの手取りを確保できる計算になるのでしょう。ただ、そうすると、3カ月平均をとる定時算定により、おそくとも来年9月(源泉は10月)2等級上の保険料適用となり、2300円ほど負担が増えます。4月~6月に支払を受ける賃金、言い換えると3月~5月の働きを残業なしにするか、来年9月からもう2時間強増やして、増える保険料をカバーするかでしょう。ただし半日余分に本年10月契約ならその契約をもとに資格取得時決定になります。


週24時間契約の方は、時給単価が異なっても、比例するので多少でこぼこがあっても15時間半が目安になります。


契約時間数が異なると

同じ時給者同一条件で週30時間未満における2時間刻みで計算してみした。


週契約時間(時間)
2826242220
発生保険料(円)(a)1874217552163621457713090
余計時間(時間)
(a)÷1050円
17.816.715.513.812.4

20時間以上30時間未満の長短で、埋め合わせできる時間数が異なるようです。25時間も24時間と同じ等級に属するといったこともありますので、こういった傾向にある、というふうにとらえてください。


ここで前もってお断りした、「手当に通勤交通費が含まれる」、「時間外につく割増賃金」以外にも、資格取得時に従前からする残業時間をこみで算定に付される、年齢(保険ごとに加入が異なる)、保険者により異なる健康保険料率、雇用保険料(2022年10月からは保険料0.5/1000値上)、最低賃金の上昇、扶養家族の有無による源泉所得税の発生、働く配偶者のうける家族手当や税扶養の影響、といったもろもろの条件は考慮していません。

ちなみに月8万8千円ちょうどですと、健康保険料約4300円(協会けんぽ(東京))、厚生約8000円 計約12300円といったところ。40歳以上だとさらに介護保険700円プラスとなります。

(2022年7月27日投稿、2022年11月7日編集)

参考記事

協会けんぽ・都道府県別料額表

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