2021/03/19

時間外労働のカウント

法定労働時間である、日8時間、週40時間超えたところから、時間外労働となります。日で時間外とした時間は、かさねて週ではカウントしません。週について就業規則に規定してなければ、暦に従い日曜に始まり土曜日で終わります。規定してあればその曜日を境に1週間とします(例:土曜起算なら土曜から翌週金曜までの1週間)。なお、法定休日とした日(0時から24時まで)はこのカウントには入りません(⇒法定休日とはいつか)。

それでは具体的に見ていきましょう。(カッコ書きで週累計時間を記載していますが、週の時間外労働算出する計算過程をわかっていただけるように併記しました。)

 労働時間時間外労働の部分
週(週累計)
休日0:00(0:00)
8:000:00(8:00)
8:000:00(16:00)
8:000:00(24:00)
8:000:00(32:00)
8:150:15(40:00)
8:000:008:00
この週の時間外合計8:15

これが、週の途中で祝日休、代休、年次有給休暇でお休みした場合はどうなるでしょう。

 労働時間時間外労働の部分
週(週累計)
休日0:00(0:00)
8:000:00(8:00)
8:000:00(16:00)
代休0:00(16:00)
8:000:00(24:00)
8:150:15(32:00)
8:000:000:00
この週の時間外合計0:15

同一週にお休みが入ると、週の時間外判定に余裕ができ、法定外休日労働しても時間外労働にならないことがわかります。この時間に割増つけて賃金を支払うかは、就業規則(支払規定)によります。

次は、1日所定7時間40分の場合のカウントを見ていきましょう。

 労働時間時間外労働の部分
週(週累計)
休日0:00(0:00)
7:400:00(7:40)
7:400:00(15:20)
7:400:00(23:00)
7:400:00(30:40)
8:150:15(38:40)
8:000:006:40
この週の時間外合計6:55

最後に、残業したり早退したり不規則な場合のカウントを見ていきましょう。

 労働時間時間外労働の部分
週(週累計)
休日0:00(0:00)
7:400:00(7:40)
10:402:40(15:40)
7:400:00(23:20)
5:000:00(28:20)
8:150:15(36:20)
8:000:004:20
この週の時間外合計7:15

36協定との関係

協定では時間外労働を月枠、そして年間で上限である限度時間を協定します。時間外労働が発生したら月、年それぞれに累計時間を積み上げていきます。週の途中で月の切れ目がはいった場合、その切れ目でもってそれぞれの月に計上することになります。次の表で青で着色した日の属する月に計上することになります。

日付労働時間時間外労働の部分
週(週累計)
8/29休日0:00(0:00)
8/308:000:00(8:00)
8/318:300:30(16:00)
9/18:000:00(24:00)
9/28:000:00(32:00)
9/38:150:15(40:00)
9/48:000:008:00
9/5-11日-土51:050:4510:20
9/12-18日-土51:050:4510:20
9/19-25日-土51:050:4510:20
9/26休日0:00(0:00)
9/278:000:00(8:00)
9/288:300:30(16:00)
9/298:000:00(24:00)
9/308:000:00(32:00)
10/18:150:15(40:00)
10/28:000:008:00
9月時間外(  の合計)3:0039:00

(2021年3月19日投稿 2023年6月4日編集)

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2021/03/15

契約と実際

労働相談や労働法の理解を困難にしている原因のひとつについて、考察してみます。

雇用(労働)も契約の一形態です。労働者は労務を提供し、使用者は「実際」働いてもらった働きに対価を支払う、ということを「あらかじめ」取り決め意思の合致することで、契約が成立します。

この「あらかじめ」「所定」「契約」という概念と、それにしたがって労務が提供され賃金が支払われる「実際」とが区別されることなく相談がなされ、それに応じてどちらともつかない回答がみられます。たとえば「振替休日」と「代休」を混用している人にとって、両者の違いが理解できないのもその表れです。前者は契約の変更であり、後者は働いたのちに発生する権利(使用者にとっては義務回避)についての制度です。休日と休暇の違いが理解できないのもその一端でしょう。

この両者の混用混同の極みは、「働き(労働者の義務)」なのか「賃金(使用者の義務)」なのかでも見られます。

たとえば「固定残業制」や「割増賃金」の相談がそのいちばんいい例でしょう。相談者は残業代の相談なのに残業時間で相談し、回答者は回答者で残業代の回答になっていて、両者の混乱に拍車がかかっています。時間外労働と代休とでは時間の相殺はできず、相殺できるのは賃金においてであって、支払うものは支払い、控除するものは控除して、賃金相殺することになります。賃金控除したからといって休日・時間外労働させた時間も同等に控除されることはありません。休日・時間外労働させた事実は残ります。

質問者さんは、結んだ契約の相談なのか、契約に応じて提供した労働の相談なのか、はたまた使用者が結んだ契約にそって賃金支払いに応じてくれてない相談なのかしっかり区別して相談されてください。そうして回答者も相談内容が所定なのか実際のことをさしての相談なのか不明ならそれを質問者に問いただし、相談内容を取り違えないよう回答することが望まれます。

労働法の勉強をされるかたも、契約なのか実際なのかしっかり区分けされて学習されてください。

(2021年3月15日投稿、2021年5月1日編集)

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