2020/01/05

年次有給休暇管理簿

2019年4月施行改正労働基準法、同法改正施行規則において、年次有給休暇管理簿なるものが、労働者名簿、賃金台帳といった重要な労働関係帳簿ではないものの、作成保管義務帳簿として制定されました。使用者に作成義務を課し、期間中に記録し、そして期間後閉鎖して3年保管です。同名の帳簿は従前から任意の様式で紹介されていましたが、法令で記載項目が制定されましたので、ネット検索したものを利用する際は、改正法令準拠の様式か確認する必要があります。

必須の記載項目として

  • 基準日(付与日のこと。付与日から1年経過する前に2度目の付与があればその第2基準日も記載)
  • 日数(上基準日から1年間の取得日数のこと、第2基準日があるならその1年後にいたる日までの取得日数を記載)
  • 時季(取得日付のこと)
管理簿のサンプル
基準日(第1)2022年4月1日(第2)
取得日数2.5日2時間
取得時季(全日)(半日)(時間単位)
4月2日4月3日4月4日(2時間)
4月5日  
   
   
   

太文字は法定項目。青文字は法定記載部分。灰色部分は、時季指定対象外を表します。付与日である第1基準日から1年経過するまでに法定数を新規付与する日を第2基準日として記入し、その日から1年間までを記録します。

前期からの繰越日数、当期の付与日数、次期繰越日数の記載を必須項目としていないことから、この管理簿は保持日数の把握でなく、付与日からの1年間、使用者に課した年5日時季指定義務の履行状況を把握する目的で制定されたものとみることができます。繰越日数等の記載は任意ですが、記載しなくてよいことから前期からの繰越数がない、あるいは新規付与から消化するという根拠にはなりません。

時季指定対象労働者は、施行日以降最初に法定10日以上付与されてからですので、入社日(のあと半年後)基準なら付与の都度、一斉付与基準ならその日全員にて作成です。ただ取得5日義務対象者か否かは、各人ごとに明記されたほうがよろしいでしょう。たとえば、8割未満出勤で付与してなくてもいい労働者に10日以上付与する、パートといった比例付与する場合の、法定は10日未満のところ会社独自に10日以上付与しても義務対象ではありませんから、区分けできる表示が望ましいです。

なお、日数には、半日休暇の回数、時間単位年休の時間数もあわせて記載のことと通達にありますので、時季は、1日単位、半日単位の日付、時間年休の日付と時間数を区分けしての記載をするといった工夫が必要でしょう。利用のたびに、日数は更新されますので、エクセルといったスプレッドシートで作成でしょうか。時間年休は法律上時季指定義務カウントの対象外ですので、別計上にて日(および半日)だけで5日満たしたかの区別も必要でしょう。


労働基準法施行規則
第24条の7
 使用者は、法第39条第5項から第7項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第55条の2において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後三年間保存しなければならない。

第55条の2
 使用者は、年次有給休暇管理簿、第53条による労働者名簿又は第55条による賃金台帳をあわせて調製することができる。

(2020年01月05日投稿 2022年9月3日編集)

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