労働法上の休日の解説につていは、wikipedia に詳しく解説されていたのですが、今の記述はwikipediaの方針にそっていると理解します。かつてぐだぐだな記述のほうがてんこ盛りだったので、ここに記録しておきます。
労務を提供する労働者に、雇用主が与えなければならない休日については、労働基準法(以下、この節では単に「法」という。)で抽象的に規定されているにとどまる。逆に述べると、法にかなっていれば、いかような休日設定が可能となる。
法に定める休日は、休憩時間と違い労働者一斉に与える(法第34条第2項)必要はなく、労働者個別に設定可能であるため、事業全体としては「24時間体制」ないし「年中無休」での運営をとることができる。
労働法上における休日とは、労働者が労働契約上、労務提供義務を免除された日のことをいう。暦日の0時からはじまる丸1日の休みが原則だが、8時間3交代といった24時間稼働する交代勤務などの番方変換で暦日の休日付与が難しい場合、終業から起算して継続24時間の休みをもって休日とすることも可としている。このほか宿泊業においても独自の例外を認めている。
法第35条では、使用者は労働者に対して、少なくとも週に1回の休日を与えなければならない(第1項)。1週につきこの1日を法定休日という。この週休制に対し、4週間を通じ4日以上の休日を与える場合については、第1項の規定は適用しない(第2項)としている。これを変形休日制または変形週休制といい、4週の起算日を就業規則にて特定しておかねばならない(同法施行規則第12条の2第2項)。週あたりまたは4週あたりの法定休日(1日または4日)を超えた日数の休日を法定外休日(所定休日(狭義))とよび、法定休日とあわせて所定休日(広義)と呼んでいる。
休日 | 労働日 | |||||
就業規則・労働契約等の定めにより当初から労務提供義務のない日 | 労働者が雇用契約に従い労務に服する日 | |||||
所定休日(広義) | 代休 | 休暇 | 欠勤 | 休業(使用者責め) | ||
法定休日 | 法定外休日 所定休日 (狭義) | 休日労働の後にその代替として労働日の中から日を指定して労働者を休ませるこ | 労働日の中から日を指定して労働者が休むこと | 労働者の責めにより、労務提供を履行しないこと | 使用者責めにより、労務受領を果せないこと | |
原則:毎週1回(週休制) 例外:4週4日(変形休日制) | 法定以上に付与される休日 | |||||
0時から24時までの 労働に対し休日割増賃金の対象 | 法定労働時間を超えた部分が時間外割増賃金の支払い対象 | 有給か無給(賃金控除)かは就業規則による | 年次有給休暇は有給 (算出方法は就業規則の定めによる) | 無給(欠勤控除) | 刑事上:平均賃金6割 民事上:所定賃金満額 |
この意味で週休制における休日は、祝日法で定める休日や一般的な休日(土・日曜日、お盆、年末年始など)と必ずしも一致させる必要はないが、就業規則に週の起算曜日を特定していない場合、暦に従い日曜日にはじまり土曜日までの7日の週(変形週休制であれば起算日からの特定の4週。4週を月に読み替えたり不定の任意にとった4週とすることはできない。)ごとに休日を設定する必要がある。就業規則には、絶対記載事項のひとつとして始業終業時刻・休憩時間とあわせて休日について規定しておく必要がある。
法第32条において、1週40時間まで(第1項、ただし法第131条に該当する場合は44時間まで)、1日8時間まで(第2項)と、法定労働時間が定められており、使用者が労働者に対してこの法定労働時間を超える労働をさせることを原則禁じている。1日8時間労働を同一週に5日させると週40時間に達するため、この場合は自動的に週休二日制となる。(企業によっては週休三日を確保するため、変形労働時間制を採用して労働時間を1日10時間×4日 = 1週40時間としている場合もある。)
原則として、法定休日には労働させることはできないが、災害などその他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合(法第33条)や、その事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、これがない場合は労働者の過半数を代表する者との協定(法第36条による協定。いわゆる三六協定)を締結、行政官庁の許可を得、もしくは届け出たうえ、就業規則などに「休日出勤を命じることがある」との定めにより法定休日に労働させることができる。なお、時間外労働と違い休日出勤をさせる回数に法令上の制限はなく、すべての休日に休日出勤をさせる労使協定も労働組合等との合意の上締結届け出可能である。平成31年改正労働基準法施行により、時間外労働と休日労働時間を合算して月100時間未満、2カ月ないし6カ月平均80時間以下という規制が設けられた。
法にいう法定休日に労働者を働かせた場合には、使用者は3割5分(35%)増し以上の割増賃金を支払わなければならない(労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。一方、法定以上に与えている休日(法定外休日)における労働は、休日労働とはならず、週あたりの法定労働時間を超過しない限り賃金に割増を加算しなくともよく、日または週あたりの法定労働時間を超過してはじめて、時間外労働として2割5分(25%)増し以上の、ただし月間時間外労働60時間超部分は5割(50%)増し以上の割増賃金が発生するにすぎない。逆に休日割増が付加される法定休日労働とした日の勤務は何時間働いても、時間外労働の対象とはならないし、週の法定労働時間の算定にも加わらない。
週休制 (法定休日の特定がない場合)
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
パターン1 | 休日(法定休日) | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 休日(法定外休日) |
パターン2 | 休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 休日(法定休日) |
パターン1-1 | 休日(法定休日) | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 休日出勤(法定外休日) |
パターン2-1 | 休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 労働日 | 休日出勤(法定休日) |
パターン3 | 休日(法定休日) | 労働日 | 労働日 | 祝休日(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 休日(法定外休日) |
パターン3-1 | 休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 祝休日(法定休日) | 労働日 | 労働日 | 休日(法定外休日) |
パターン3-2 | 休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 祝休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 休日(法定休日) |
パターン3-3 | 休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 祝休日出勤(法定外休日) | 労働日 | 労働日 | 休日出勤(法定休日) |
変形週休制(法定休日の特定がない場合、休日のみ表示、4週6休日を例示)
第1休日 | 第2休日 | 第3休日 | 第4休日 | 第5休日 | 第6休日 | |
パターン4 | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 | 法定外休日 | 法定外休日 |
パターン4-1 | 休日出勤(法定外休日) | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 | 法定外休日 |
パターン4-2 | 休日出勤(法定外休日) | 休日出勤(法定外休日) | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 |
パターン4-3 | 休日出勤(法定外休日) | 休日出勤(法定外休日) | 法定休日出勤 | 法定休日 | 法定休日 | 法定休日 |
パターン4-4 | 休日出勤(法定外休日) | 休日出勤(法定外休日) | 法定休日出勤 | 法定休日出勤 | 法定休日出勤 | 法定休日出勤 |
同一週内に休日が複数、変形週休制においては特定の4週内に4休日を超えて(以下この段落内の括弧は変形週休制における説明)ある場合、いつが法定休日かという問題がある。平成22年改正労働基準法施行で月間60時間時間外労働の把握において峻別を要することとなった。法定休日を就業規則で曜日特定等をしている場合はその休日が法定休日となり、特定していなくともいずれの休日労働において3割5分増し以上の割増賃金を支払う規定が就業規則にある場合は、(4)週内の後順の(4)休日を法定休日とする(平成6年1月4日基発第1号)。いずれの規定もない場合は、その(4)週内に労働者が実際休めた(4)休日があればそれで法を満たしたことになり、以後同一(4)週の休日は法定外休日となり、(4)週の最初から休日労働をしてきた場合、最後にのこる(4)休日が法定休日となる。
また、同法にいう休日とは別に、使用者は法第39条に従い労働者に年次有給休暇を与えなければならない。労働義務のある日を指定して労働者が休むことを「休暇」といい、使用者が与える休日とは区別される。
前勤務日の終了までに休日と労働日を特定して入れ替えることを休日の振替(振替休日または休日振替)という。休日から労働日となった日の労働については休日労働の割増の対象にならないが、週あたりの法定労働時間を超過した時間については時間外労働となり、割増が発生することがある。
この手続をせずに、あるいはしても振替の要件を欠くまま労働させた場合、休日出勤として割増対象になり他方労働日は休日とはならず代休でしかない。代休とは使用者が、または労働者が勤務日の中から日を指定して労働を免除する(される)日のことをいうが、その日はあくまでも勤務日であるから、法が求めるその週の休日は別途必要である。このことは先の年次有給休暇の取得した週にもいえる。
ただし、代休は法定されていないため、必ずしも与える必要もなく、法定の有効な36協定の存在並びに割増賃金を支払うことで、法はそれ以上の施策をもとめておらず休ませたものと同義に扱われる。逆に代休を与えることで上の法定義務を免除されることはない。なお、使用者が日を指定して代休として労働者を休ませかつ無給(あるいは賃金控除)とするには、使用者都合の休業(法第26条、休業手当が必須)と峻別させるため、少なくとも就業規則に代休を命じる根拠と賃金取り扱いの規定が必要である。労働者が行使した年次有給休暇日を、代休(ただし、賃金控除あり)または休日に振り替えることは、法を逸脱しており許されない。
また、一般的な休日・週休とは別に企業の創立記念日、メーデーなどを各企業において独自に休日と定めることがある(会社休日《社休》、特別休日《特休》などともいう)。
wikipedia -ja 休日 2017年9月4日 (月) 00:38 UTCの版(労働基準法における休日)の節 をさらに編集、今後さらに編集する予定
(2019年07月13日投稿、2021年8月23日編集)